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保障や保険ならではの効果も残したい、それなら払済保険も選択肢の一つです。

こんにちは、ユナイトnote担当です。

生命保険には、保険料の支払いを止めて保障を残す払済保険という制度があります。今回は以下のような場合にお読みいただきたく取り上げました。

  • 保険料の支払いを止めたい。

  • 払済保険を提案された。

  • 払済保険を解約すべきか迷う。


■払済保険に変更したときに変わること

一度払済保険にしてしまうと、多くの場合後戻りが効かなくなります。決める前に、払済保険にしたらどのような変化があるのか?をご覧いただき検討材料にしていただければと思います。

▼保険の種類が変わることもあります。

必ずしも元の契約と同じ種類のままとは限りません。ここでいう保険の種類とは、定期保険や終身保険、養老保険などのことです。定期保険を払済保険にした場合、定期保険のままの場合(払済定期保険)もあれば終身保険(払済終身保険)になる場合もあります。特約は消滅してしまいます。

▼保険金額は減ります。

元の保険より保険金額は下がることが多いです。というのも、変更するときの解約返戻金を元に保障額が決まるからです。解約返戻金が低いタイミングで払済保険にすると、元の保険金額よりも大幅に下がることも考えられます。

▼解約返戻金は、変更後増減します。

払済保険に変更後の解約返戻金は、増えるか減るかは状況によります。払済定期保険では、タイミングによっては最初増えて途中から減っていくことやすぐに減り続ける場合もありますし、払済変額保険では増減します。払済終身保険や払済養老保険では、基本的に増えていきます。 また、解約返戻率が低い段階で払済保険に変更すると、いつまでたっても払い込んだ保険料まで増えないこともあり得ます。 見られない場合もありますが、可能な限り保険会社や代理店に変更後の推移を見せてもらって判断材料にしたいところです。

▼保険料は支払いがなくなります。

保険料の支払いがなくなります。種類も状況も問いません。

▼復旧という制度があります。

払済保険に変更後、数年以内であれば元の契約に戻せる復旧が利用できる場合があります。ただし、復旧するには、未払いの保険料や利息の支払い、健康状態の告知が必要になります。また、復旧を扱っていない場合もありますので、保険会社にご確認ください。

▼法人の場合は税務処理が必要なことがあります。

個人の場合は税務はありません。法人で契約している保険の場合には、税務処理が必要になる場合があります。現在の通達では、払済保険に変更前と変更後の保険種類が同じか否かで対応が変わります。

例えば、
定期保険→払済終身保険は、税務処理が必要です。
定期保険→払済定期保険は、税務処理は不要です(以下の処理をしても構いません。)。

税務処理は、払済保険に変更したときの資産計上額をすべて取り崩し、解約返戻金額を資産計上します。差額が出ると思いますので雑収入または雑損失が発生します(洗替、と言われます。)。
また、変更後には資産計上額を毎年取り崩していくことになる場合もあります。

■払済保険を解約したいとき

すでに払済保険になっているけれど、もっと増やしたいときや、いま現金が必要なとき、この保険意味あるの?と思ったときなど、払済保険の解約を考えることもあると思います。解約したら、もう元には戻せませんので、どういった変化が起こるのかも知っておきたいところです。解約するか迷った場合に参考になればと思います。

▼預貯金と比べると、お金は増える可能性はあるものの税金がかかることも。

いま預貯金ではほとんど増やせませんので、預貯金で眠らせておくよりかは払済保険の方が増えていく場合が多いと思います。ただし、保険の解約返戻金は、受取時に法人税や所得税がかかる場合があります。この点はご注意を。

▼資産運用と比べると、リスクとリターンは減ります。

資産運用の方が増やせる可能性が上がることはあります。ただ、同時に減る恐れも上がります。払済保険では、増える量は見劣りするかもしれませんが、規定の推移より下がることはあまりありません。リスクとリターンを天秤にかけてご判断いただければと思います。
なお一般的な資産運用と同じリスクとして、変額保険では変動しますし、外貨建保険では円換算時には変動します。

▼保険金は、なくなります。

解約すれば、保障はなくなります。健康状態によっては、その後他の保険に入れなくなることも考えられます。

▼相続対策に保険は使われています。

保険の大きな特徴として、相続対策に使われているという点があります。相続税の非課税枠の利用、遺産分割資金や株の買い取り資金にしたり、特定の方に資産を渡したり、もし相続放棄を必要とする状況でも保険金は残せたり、と利用されています。払済保険でも、このような保険としての利用価値はあります。資産状況や家族構成なども視野に入れておいていただければと思います。

▼個人の税務処理は一時所得です。

解約返戻金は一時所得の扱いになります。他の所得と併せる総合課税ですので、状況によっては、所得税や住民税が増えます。一時所得の計算方法(国税庁HP)は、総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額。一時所得の金額を1/2したものを他の所得と併せます。

▼法人の税務処理は必要です。

解約返戻金は、資産計上額との差額が雑収入または雑損失になります。

▼解約以外の方法

減額も可能です。必要な金額の範囲で、解約返戻金を手に入れていく方法です。

■まとめ

今回は、払済保険について取り上げました。ちなみに解約返戻金がない保険の場合には払済保険にはできません。

長い期間、保険を続けていくと保険料を払い続けるのが酷な場面が、法人でも個人でも起こりえると思います。その状況は一時的なのか、保障は必要ないのか、など考えたうえで払済保険を選択いただければと思います。解約や失効などと比べると利用頻度は少ない制度ですけれど、状況によっては効果的な制度だと思います。

なお、払済保険への変更を前提とした保険募集は禁止されています。いざとなれば支払いを止めることもできる、というリスクへの対応策として記憶の片隅に置いておいていただければと思います、

お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。制度を使って、保険を活用していきましょう。

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※税務は一般論ですので、詳しくは税務署や税理士にお問い合わせください。
※私なりに言い換えた表現を使っているものもあるため、より正確な内容を知りたい場合は以下の■参考などをご覧いただければと思います。


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■参考

▼国税庁

8 保険料等|国税庁 (nta.go.jp)
第3節 保険料等|国税庁 (nta.go.jp)
一時払養老保険の保険金額を減額した場合における清算金等に係る一時所得の金額の計算|国税庁 (nta.go.jp)
No.1490 一時所得|国税庁 (nta.go.jp)