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【レポート】ゲーム開発現場で役立つ講演ばかりだった「Unity道場 2021.1」 #Unity道場

2021年6月17日に、ゲーム開発現場で役立つ実践情報を講演するオンラインセミナー「Unity道場 2021.1」が開催されました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内外での感染拡大を受け、これまで実施していたUniteの開催中止が継続する中で、様々な開発会社、開発チームの方々が登壇しました。

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本記事では、講演内容の簡単な紹介や講演後のトークと併せて、各講演動画へのリンクを紹介します。


Unity新機能まとめ2021

オープニング講演は、Unity JapanスタッフによるUnityの最新機能紹介。

・LTSとTech Steamの違い
・Visual Scripting(Bolt)
・Netcode
・Render Pipeline(URP/HDRP)
・2D機能(と新しい2Dデモ「Dragon Crahsers」の紹介)
・Plastic SCM(バージョン管理ツール)

これらのトピックスが約40分で一気に紹介されました。


ごっこランドに於ける Addressables 活用事例のご紹介

続いては、もんりぃ先生(森哲哉さん)によるAddressablesに関する講演。

キッズスターさんが提供する知育アプリ『ごっこランド』で実際に活用した経験を踏まえ、Addressablesを使う上でのTipsが紹介されました。


【講演後のトーク】

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安原(Unity Japan - Field Engineer):開発現場でAddressablesを使った感想を短時間にまとめた、濃密な講演だったと思います。一方で、Addressablesは「自分が使う機能」だと感じている人が少ない機能だと思っているのですが、「開発がこのタイミングに来たらAddressablesを検討する時期なんだよ」みたいな勘所ってありますか?

:一概には言えないが、たとえばApp StoreやGoogle Playなど、アプリマーケットに出すことを考えた際は導入を検討した方が良いですね。アプリのデータサイズ制限などもありますし。



async/await,disposableを使って素直で読みやすいコードを書く

きゅぶんずさんの講演では、async/awaitやdisposableがゲーム開発においてどこで使えるか、そしてそれらの実例が簡潔に紹介されました。

「async/awaitは難しい箇所で実装しようとすると難しいが、簡単な使い道で使うには簡単!」と言うきゅぶんずさん。まさにこれから使ってみようと思っている人へのアドバイス的な内容になっています。(もちろん、すでに使っている人にも良いアドバイスになっていると思います!)


【講演後のトーク】

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荒木(Unity Japan - Coordinator of Advocates):コメントでの質問で「単純にポーズ画面作ろうってなった時にasyncが止まらなくて困るパターンがある」というのがありました。

きゅぶんず:今回の講演では簡単に説明するために省略したのですが、やはりCancellationTokenは重要で。ゲームはいつどんな時に中断処理が発生するか分からないので、自分はCancellationTokenをあらかじめ沢山作っておいて、丁寧に制御するようにしています。



インディーゲーム開発の現状と未来 2021

一條貴彰さんの講演は、Unite 2016 Tokyoで一條さん自身が講演した『Unityを使った個人ゲーム開発における「収益化」の現状と未来』の続編的内容。

自身が制作・販売したゲーム作品の販売実績などを赤裸々に公開し、そこから得られた知見を発表しました。


【講演後のトーク】

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安原:自分は、一條さんは天才的才能を持っているなぁと思うのですが、その部分を誰もが真似できるようにまとめて発表してしまうところに、一種の”愛”みたいなものを感じるんですよね。それはどこから湧き上がるものなんですか?

一條:自分がゲームを作ることも楽しいですけど、他の人が作った「狂気のゲーム」が世の中に沢山出てくることのほうがもっと嬉しいですね。そういう意味では、再現性のあるものについては講演でも話しましたが、逆にライター業や営業仕事など、自分だけの特技みたいな再現性の薄いものは、発表などではあまり主張しないようにしています。そうすることで、自分も含めた多くの人がコンテンツ制作で盛り上がって欲しいと思っています。



FANTASIANの明日使えない特殊テクニック教えます

「ジオラマでマップを作る」という、ゲーム業界でもおそらく初の試みとも言うべき坂口博信さんの最新作『FANTASIAN』の開発事例を、本作のディレクター兼プログラムリーダーであるミストウォーカーの中村拓人さんが紹介しました。

ジオラマからマップを作る手法だけにとどまらず、坂口さんのゲーム制作手法にどう対応するかをディレクター・エンジニア目線で説明する部分も興味深い内容でした。


【講演後のトーク】

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大下(Unity Japan - Developer advocate):今回の講演名に「明日使えない」とありますが、開発手法そのものが非常にクリエイティブというか、既存の開発方法ではなく手法を一から発明していこう・・・というものを感じました。

中村:本作は「どうやって作るか?」というところからかなり考えたプロジェクトでしたね。指針となったゲーム作品を挙げにくいのですが、敢えて言えばプレイステーション時代にあったプリレンダーと組み合わせて表現するようなゲームを参考にはしていました。


※中村さんのインタビュー記事がMade with Unityにて掲載されておりますので、そちらも併せてご覧ください。



Unityの基本機能を使用したグラフィック向上テクニック

ミニチュアの世界をベースとしたローグライクボードゲームをスマートフォンアプリで再現した作品『Fallen of the Round』の作者・埴田秀樹さんによる講演は、本作のグラフィック構築にフォーカスを当てた内容でした。

本作はStandard Shader、PostProcess、ライティング、Normal Mapなどの、Unityの基本機能を中心にグラフィックが作られており、誰でも真似できる汎用度の高いTipsになっております。


【講演後のトーク】

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大下:作品内でひとつひとつの効果が効果的に使われていると思う中で、DoF(被写界深度)の使い方が非常に素晴らしいと思いました。

埴田:DoFはミニチュア感の雰囲気を出すために使っていますが、他にはアセットの粗いところを隠すためにも使っていて、シーン遷移もそうした目的であのような表現になっています。あと、大規模のモバイルゲームでDoFを活用した作品が少ないので、そういう点で差別化が図れるかなとは考えていました。


「原神」におけるコンソールプラットフォーム開発

昨年リリースで爆発的な売上を記録し、今もなお人気の高いオープンワールド型アクションRPG『​原神』の開発事例がラストの講演でした。

講演者はmiHoYoのテクニカルディレクターのZhenzhong Yi氏。本講演は、2020年12月に韓国で開催されたUnite Seoul 2020の講演を日本語吹替えしたものです。

元々モバイルゲームとしてリリースされた本作が、いかにコンソールプラットフォームに移植されたかの事例が紹介されました。


【講演後のトーク】

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安原:講演を見て感動した部分は「根性が凄いな」と。ポーティングなので、PS4に切り替えてビルドすればできあがり・・・と思いがちなのですが、ここまで細かくやっていることには尊敬しました。

大下:講演内の話は私もすべてが分からないものの、でも一つずつ紐解いていくといろいろな資料を見つけることができ、これをキッカケに「こんな機能があるのか」などを探ることも良いのではと思いました。



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