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内なる輝きよ、解き放て!〜Ariana Grande - eternal sunshine〜

 「Positions」以来、約3年ぶりのオリジナルアルバムをリリースしたアリアナ・グランデ。一聴して思ったのが、相変わらず素晴らしいボーカリゼーションの持ち主だなということ。マライア・キャリーとのコラボを聴いてもその美しさは変わらない。またアルバムには、内なる神秘性を信じているからこそ伝わるモノが込められている。そういった場合、スピリチュアリティの方向に行きそうな気がするが、そこまでスピリチュアルになっていない。彼女自身、スピリチュアルに関して興味がないわけではないと思うが(「Saturn Returns (interlude)」という曲もあるし)。少しアルバム全体を振り返っていきたいと思う。

 1曲目では「And if it all ended tomorrow / Would you be the one on mine?」と言っていたはずが、次の曲で「Boy, bye / It's over, it's over, oh yeah」と歌うから不意を突かれてしまう。3曲目で別れたくても別れられないと思いながらも、サターンリターンが起こり、別れる決断をして新しいパートナーを見つけても「You're just my eternal sunshine, sunshine」と彼女は歌っている。パートナーだった人が永遠の陽だまりとなって心の内に留めておくのだ。「supernatural」で自分は愛に支配されていると歌うほど、愛に忠実なんだなと彼女のパーソルな面も垣間見えるし、「true story」にはこんなリリックもある。

 I'll play the bad girl if you need me to
 If it makes you feel better
 I'll be the one you love to hate,
 Can't relate
 Too much on my plate

 「the boy is mine」では、「But I can't ignore my heart, boy!」と貪欲な姿も隠さずに露わにしている。そんな彼女でも、別れ・新しいパートナー・愛・人間関係と決して良いことばかりではない出来事に出くわしてしまう。それでも彼女は答える。「yes, and?」と。ダンスフロアであるかのように弾けていく。そして確信に変わる。これは「彼女自身の自立」についてのアルバムなんだと。どんどん聴いていくと、決して上手くいながらも「また私を好きになってくれるまで待つから」と辛抱強い面も見せたり(「we can't be friends (wait for your love)」のMVは以前のパートナーとの記憶を消去して新しい道を歩んでいくといった内容で少し恐ろしいと思ってしまった。)、別れた人に対する優しい眼差しや普通の枠には収まらない彼女の一面も見えていく。

 たとえ何かが起こっても、答えは自分の中にあるのだと。その内なる輝きを誰もが持っていると彼女は知っているのだ。だが、筆者は言う。アリアナ・グランデほど、内なる輝きを持っている人を私は知らない。それは彼女の声を聴けばわかること。マックス・マーティンとも良い関係性で作れたことが分かる1枚である。

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