エヌの人
私は昔小説を書いていた。今は書いてはいないけど、無名人インタビューはその代わりになっている。人間とはなんなんだろうかというテーマを、ずっと、おいかけられている。
ところでみなさん、エヌ氏が主人公の小説をご存知ですか? そうです星新一の小説です。
星新一の「ボッコちゃん」という小説は、AIがスナックで接客するという話ですが、そうでですねもう何十年も前にこういう話できちゃってたんですよね。今Vtuber接客のスナックはあるとかないとかなので、中身がAIに変わっていくのもまたそのうちにね。
星新一という人のドライさは、その聡明さが、若いときに父を亡くし、父の会社の整理で人間の見にくい部分をわんさか見たからだ、という考察が、確かあったかなかったという話です。どっちなんでしょうね。
いずれにしろ、世の中を淡々と見ることや、洞察する力と、生の苦しみには、関連性があるようだ。
どう思うかはあなた次第かもしれませんがね。私qbcも多くの小説で、主人公に名前をつけなかった。エヌ氏の出てきた小説をたくさんたくさん読んできたからだよ。
また遊びにきてくださいね。無名人インタビューゴッ!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】
今回ご参加いただいたのは n さんです!
年齢:20代後半
性別:不詳
職業:しがないフリーター
現在:「生きててくれて嬉しい」とか。割とペラペラっと言いますね。
qbc:今、何をしてる人でしょうか?
n:法律事務所で事務員をしています。仕事柄、言えないことも多いんですけど、ざっくり言うと、依頼者が払う弁護士費用の計算とかをしてますね。
qbc:やりたくてやってる仕事ですか。
n:いや、今のお仕事は、言ってしまえば成り行きというか、いろいろあって、今のところに流れ着いたみたいな感じで。求人媒体から応募して、面接して、採用されてっていうような、正規のルートみたいなのは通ってないですね。
qbc:どういうルートだったんですか。
n:前の会社が廃業しますってなって、その前の会社の取引先みたいなところが、今働いてる事務所で。会社なくなっちゃうけど、ここの事務所で働くっていう選択性もあるよ、みたいな感じで、当時の上司に言われて。で、ちょっと1回そこの事務所見学させてくださいって言って見学させてもらって、そこの事務所の人と面談をして、じゃあよろしくお願いしますみたいな感じで、今のところは入社しましたね。
qbc:nさんは何がやりたい人なんですか?
n:仕事でってことですか?
qbc:いや、人生において。
n:人生において何をやりたいか。そうだなあ。うーん、むずいなあ。なんかこう、大層な夢とかは特にないんですけど、自分が言ったこととか、やったこととかで、誰かが
ちょっとだけ元気になったらいいかなとは思いますね。
qbc:自分がやることってどういうことですか。
n:仕事でも私生活でもいいですけど、例えば、何か話聞いてあげるとか、何か手伝ってあげるとか、そういう小さいことでも全然いいんですけど、そういうことで自分の周りの人が、ちょっとだけ嬉しい気持ちになってくれたら、それ以上に望むことはないですね。
qbc:仕事以外にしてることとか何かありますか?
n:仕事以外でしてること。将来副業するために使えそうなスキルの勉強とかは最近始めましたね。それぐらいじゃないですかね。
qbc:何に興味があるんですか。
n:プログラミングとか、ですかね。あと、動画編集とか。興味ありますね。
qbc:なんでIT・インターネット系なんですか?
n:習得してて困ることがなさそうだからです。
qbc:そっち方面が好きってわけではなくて?
n:ああー。でも、例えばYouTubeとか見てて、この動画ってどうやって編集してこの動画になってるんだろうな、みたいなのとかは、たまに考えたりはします。好きっちゃ好きなのかもしれないですね。
qbc:今日の昼ごはんは何でした?
n:今日の昼ごはんは、何も味のついてない白米のおにぎりと、なめこの味噌汁です。
qbc:塩むすびでもなく?
n:塩でもないです。
qbc:夜ごはんは?
n:まだこれからです。
qbc:朝ごはんは?
n:朝ごはんは、食パン一枚焼いて食べましたね。
qbc:何かつけました?
n:バター塗りました。
qbc:仕事以外の時間では、何か趣味などはされていらっしゃいますか。
n:趣味、無いんですよね。お休みの日何してるんですかって聞かれることあるじゃないですか。大人になると。即答できたことがないんですよね。何してるかなっていつも考えちゃって。いや何もしてないなあ、みたいなのはよくありますね。
qbc:インタビューはどうして受けようと思いました?
n:インタビューは、何だっけな。なんか、自分がツイートしたことに対して、いいねをくれたんですよね。無名人インタビューのアカウントが。そこで、こういう企画があるんだって興味持って。こういうことでもなきゃ、インタビューなんて一生受ける機会ないので。人生経験としてやっとくか、ぐらいな感じです。
qbc:無名人インタビュー、多くの人に露出はしているんですけれども、その中で実際に応募される方って、1%ないぐらいなんですよ。
その小さな確率の中で、どうして自分は受けたんだと思いますか?みんながみんな受けるわけじゃないんですよね。言い換えると、どこが人と違うのかという質問です。
n:うーん……。まあ、どこがって言われると、多分、全体的に人と違うんだろうな、とは思いますね。
なんかこう、定義はさておき、「普通の人」ってよく言いますけど、「普通の人」とは違うんだろうなと思いますよね、自分のこと。
qbc:何が違うんですかね。
n:何が違う。ええー、そうだなあ……。なんか、「普通の人」があんまり口に出して言わなさそうなことを、割と平気で言ったりしますね。
qbc:具体的にどんなことって、覚えてらっしゃいます?
n:「生きててくれて嬉しい」とか。割とペラペラっと言いますね。だからって、手当たり次第に言ってるわけじゃなくて。本当に生きててくれて嬉しいなって思う人に対しては、何も考えずにペラッといいますね。
qbc:誰に言ったんですか?
n:いやあ、なんかちょこちょこ言ってるからなあ。
qbc:家族とか友人とかそういう範疇で言うと?
n:家族には言ったことないですけど、大人になってから出会った人たちには、よく言う気がしますね。
qbc:どこで出会った人?
n:職場とか、私生活とか。
qbc:職場はわかるんですけど、私生活で出会った人ってどういう?
n:習い事とか、あとはそうだなあ、たまに行くお店の店員さんとかですかね。
qbc:習い事は何を?
n:あの、一瞬だけなんですけど、ボーカルとかギターとか習ってた時期がちょこっとあって。そのときの先生とかには、言いましたね。
qbc:音楽ジャンルはどんな?
n:日本のロックバンドの曲とかですかね。
qbc:例えばどんなバンド?
n:メジャーなバンドだと、ポルノグラフィティとか。
qbc:たまに行くお店って、どんな店ですか。
n:それは人には一切語りたくないです。たまに行くお店です。
qbc:言いたくないんですね。
n:絶対語りたくないっていうほどでもないんですけど……。
qbc:匿名なので、聞きたいっていうのはありますね。どんな人かっていうのを知るインタビューなので。
n:ああ……。一応生物学上は、自分も女性なので、あのメイド喫茶の逆みたいなお店があるんですけど。見目麗しい男の人が、お帰りなさいませって言ってくれるようなお店があって。そこのスタッフさん、もといお店の呼び方で言うと使用人さんになるんですけど、そこの使用人さんには言ったことありますね。
qbc:「お帰りなさいませ、お嬢様」ですよね。
n:そうですそうです。そういうやつ。
qbc:足を運んだことあります。
n:そうなんですね。
qbc:ご主人様って言われましたね。
n:そうですね。男性が行くとご主人様とか旦那様とか呼んでくれますね。
qbc:そういうところだと、(「生きててくれて嬉しい」など)割と言いやすいですよね。
n:そうですね。そういうことを言っても否定されないから。
qbc:否定されたことあるんですか。
n:ありますよ。「生きててくれて嬉しい」って言って、否定されたことはないですけど。人格とかを否定されたことは散々ありますよ。親とか。
qbc:性格のことについて聞きたいんですけど。周りの人からはどんな性格だと言われますか?
n:大人になってから出会った人たちには、「優しい」って高確率で言われると思います。あとは「喋ると面白い」も高確率で言われますね。
qbc:自分ではどう思いますか?
n:自分では、うーん、ハイパーネガティブだと思ってます。あと、優しくはないと思いますね。
面白いについては、面白くしようと思って喋ってるわけではないので、「喋ると面白い」は褒め言葉だと思ってないんですよね。
qbc:なるほど。笑わせてるつもりはないんですね。
n:そうですね。
qbc:どこが面白いんですかね。
n:うーん、どこが面白いんでしょうね。
どっちかっていうと、会話の中で、どう返すのが正解かを探りながら喋ってるので、人間と会話するのは疲れますよね。
qbc:どこら辺が疲れますか?
n:どこら辺が。なんかこう、会話という作業が単純に疲れるんでしょうね。どこがというよりは。
頭の回転が遅いんだと思います。こっちが何か聞いて、秒速で返ってくる人は頭の回転が速くてうらやましいなと思います。
qbc:家族とか恋人、親友、近しい友人など、身近な人からはどんな人だと言われますか?
n:なんて言われるかなあ。あんまり、家族とか友人から性格について何か言われたことがあんまりないんですけど。学生の頃は「真面目だよね」ってよく言われてた気がしますね。
qbc:友達から?
n:あとは先生とかからも。
qbc:自分ではどう思いますか。真面目だって言われることに対して。
n:自分では、そうだなあ。真面目だって言われることに対しては、褒められてるのか、貶されてるのか、いまいちわからなかったですね。どっちとも取れるじゃないですか。
qbc:なるほど。一番好きな食べ物を教えてください。
n:一番好きな食べ物。もう少しジャンルを絞っていた抱けると。
qbc:じゃあ、スイーツ。
n:ここ2、3年で言うと、ビターチョコレート。カカオ50%とか70%とかのビターチョコレートが好きですね。
qbc:それは何で好きなんですか。
n:好きなものに理由はないんですけど……。子供の頃とかは、ミルクチョコレートとかが好きだったと思うんですけど、年齢の変化もあってだと思うんですけど、ここ2、3年はビターチョコレートの方が好きですかね。
スイーツっていうのかな、これ。お菓子だな。
過去:普通の人と同じように生きられないことですかね。生きるっていう行為に対して、多分、そこら辺の人の何倍もエネルギーを使うんですよね。自分は。
qbc:小さい頃、どんな子供でしたか?
n:子供の頃は、あんまりよく覚えてないんですけど。母親が言ってたのは、まあ今もなんですけど、人見知りが激しかったらしくて。赤ちゃんのときとかは、知らない人に抱っこされると、この世の終わりのように泣いてたらしいです。
あとは、よく泣いてたらしいです。転んだ時とかに。
qbc:今は?
n:今は、まあ転んだ程度では泣かなくなりましたけど、生きるのが辛いとかでよく泣きますね。
qbc:何が辛いんですか。生きることの。
n:普通の人と同じように生きられないことですかね。生きるっていう行為に対して、多分、そこら辺の人の何倍もエネルギーを使うんですよね。自分は。
生きるっていう行為に対して、普通の人が一週間に使うエネルギーが200mlのコップ1杯だとすると、自分は1Lのペットボトル1本分とか。それくらい激しく体力を消耗するので。
qbc:5倍疲れるってことですか。
n:そういう感じです。
qbc:子供の頃は、どんな遊びをしてました?
n:どんな遊びをしてたかな。でも、その頃から既にインドア派ではあったと思いますね。外に出て何かするっていうよりは、室内で何かしてることの方が、多かった気がします。
qbc:小中高、それぞれどんな子供でした?
n:自分の記憶はほとんどないんですけど、多分先生たちからの評価は、おとなしくて、真面目で、手のかからないやつだと思われてたと思いますね。特に、何かやって親が学校に呼び出されたみたいな経験もないですし。
qbc:友達関係はいかがでしたか?
n:私、学生の時友達いなかったので。教室でもほとんど喋らない。地味で暗くて。俗な言い方すると「陰キャ」ですよね。そういう感じの人間だったと思います。
qbc:本当は喋りたかった?
n:いや、そんなことはないですね。いつも、クラスの連中を端っこから見ててうるせえなと思ってましたね。
qbc:有り余る時間は何してたんですか。10代の時とか。
n:全っ然、覚えてないです。そういう回答しかできないぐらい。
qbc:例えば、テレビを見ていたとか、漫画を読んでた、本を読んでたとか、そういうのは?
n:テレビ見てたのかなあ。まあ、人並みにテレビは見てたと思いますけど……。
qbc:これといってっていうのがないですかね。
n:そうですね。特筆すべきことは何もないですね。
qbc:家族からどういうふうに育てられましたか?
n:母親は、自分なりに愛情を持って、ちゃんと育てていたつもりだったと思います。
父親は、ナチュラルに暴力振るってくる人だったんで。もう自分の中の印象は、暴力振るってくる人。ランダムで不機嫌になる人。って感じですね。
qbc:兄弟姉妹は、いらっしゃいます?
n:姉が1人、弟が1人いますね。
qbc:家族は好きですか。
n:嫌いです。姉は好きですけど、それ以外は特に。好きか嫌いかの2択でって言われたら、嫌いです。
qbc:高校卒業後、進路選択はどういうふうにされたんですか。
n:普通に、何となく大学に行きましたね。
qbc:大学では何を勉強したんですか。
n:一応、心理学を勉強してましたね。
qbc:大学生活はどうだったんですか。
n:大学生のときは、アルバイトを始めて。大学は何となく周りに流されて進学しただけだったんですけど、アルバイトを始めたっていう面では、比較的楽しかった記憶はありますね。それまでの学生時代と比べると。
qbc:アルバイトは何されてたんですか。
n:大学生のときは、セブンでバイトしてましたね。
qbc:大学卒業後はどうされたんですか。
n:大学卒業後は、無職の期間があって、その後、大学生のときバイトしてたっていうのもあったんで、別のセブンで働き始めて。そこのお店で3年ぐらい働いて、その後前の会社に入社をして、その会社が廃業になって、今に至るみたいな感じですかね。
qbc:無職の期間があったということでしたけど、卒業後、なんで働かなかったんですか。
n:なんでですかね。
qbc:そのときは実家暮らしですか。
n:実家です。
qbc:いつから一人暮らしですか?
n:去年の9月とかです。
qbc:前の会社辞めた後?
n:いや、一人暮らししだして、2ヶ月後ぐらいに会社が消滅しました。
qbc:なるほど。その時、どういう気持ちでした?
n:どういう気持ち。そうだなあ。こんなに早く来るとは思わなかったなって思いましたね。
qbc:潰れそうだったんですか。
n:前々から業績がそんなに良くないっていう話は聞いてたので。じゃあ来年も会社が存続してるかって聞かれると、微妙だなとは思ってたんですけど。
ある朝突然言われたんで、今月で会社消滅しますっていうのを。だから、いずれ無くなるって未来もあるのかなと思ってましたけど、こんなに早く来ると思わなかったなって思いましたね。
qbc:その会社自体は、どういう経緯で入ったんですか。
n:その会社は、求人を見ていて、未経験でも働けるところを探してて。そのとき、自分が探してた職種が、実務経験1年以上ないと駄目ですみたいな感じのところが多かった中で、未経験でもいいですみたいな感じだったんで、飛び込んで、採用されたみたいな感じです。
qbc:職種は何されてたんですか?
n:Webライターですね。
qbc:なるほど。今の事務と、前職のWebライターではどっちが良かったですか。
n:まあ、どっちかっていうと現職の方が、自分の性に合ってるのかなっていう感じはしますね。
qbc:そうなんですね。
現在のパートで、人格を否定されたことあるっていうふうに言われてたんですけど、どんな感じだったんですか。
n:普通に父親とかに、お前がいなくても別に困らないからなって言われたりとか、普通に馬鹿とかも言われましたし。
qbc:暴力ってどれくらいの暴力を振るわれたんですか。
n:蹴られたり、顔面殴られたり。
qbc:何歳ぐらいですか。
n:全盛期だったのは、小学生のときとかじゃないですかね。まだ父親も若くて、血の気が多くて、みたいな感じだったと思うので。人格がこれから形成されていこうっていうときじゃないですか、その年代って。
qbc:小学校の、低学年、中学年、高学年だといつ頃ですか?
n:全体的にバランスよく暴力振るわれてたんじゃないですかね。
特にこの時っていうのはあんまりなかったと思いますけど。
qbc:自分の人生の中に、転換点、ターニングポイントみたいなものをつけるとしたら、どこにつけられると思いますか。
n:特にないですね。そんなターニングポイント付けられるほど、人生経験積んでないので。そんな偉そうにターニングポイントとか語れるようなあれじゃないと思いますね。
未来:本気で、自分が元気かどうかを気にする人なんてこの世にいるんだ、と思いましたね。それぐらいじゃないですかね、面白かったこと。
qbc:未来についてお伺いしていきますね。この先、5年10年30年40年、最後死ぬっていうところまで考えていただいて、未来について今どういうイメージを思い描いてますか。
n:どういうイメージ。そうだなあ。これからめちゃくちゃ楽しくなっていく、とかはあんまり考えられないですね。
qbc:悪くなっていく? そのまま?
n:まあ横ばいぐらいじゃないですか。
qbc:ここまでインタビューを受けてみて、話してみてどうですか。
n:話のネタがなくて、つまんねえ人間だなと思いますね。
qbc:どういう人生だと面白いと思いますか?
n:話の引き出しがたくさんあったら面白いかなとは思いますけど。
qbc:具体的にこういう引き出しがあったら、みたいなイメージはあります?
n:自分は子供の頃の記憶とかほとんどないんですけど、もっと鮮明に覚えてて、子供の頃こういうことをして、こういうことで親に叱られたよなとか、学生時代のときはこういうことをして、みたいなのがもっとスラスラと出てくれば、インタビューのしがいもあるのかなと思いますけど。
なんかこう、(インタビューに応募したこともそうだが)勢いで何でもやっちゃうところが、いいところであり悪いところでもあるので。自分で自分の話を客観的に聞いてて、つまんねえなと思いますね。
qbc:私は全然つまらないと思ってないんですけど、どうしてそういうふうに、つまらないと思います?
n:基本的に自分に厳しい性格なので、自分の言ったこととかやったこととかに対する評価が厳しいんですよね。だからなんか、全体的につまらんなあと思いますけど。具体的にどこがは、あんまりないですね。
qbc:今までの人生で一番面白かったことを教えてください。
n:そうだなあ。なんて説明したらいいんだろうな。
なんか、前に一瞬だけギターとかボーカルとか習ってた時に。そのギターの先生とボーカルの先生が元々仲良しだったらしいんです。その2人がご飯に行ったときに、ギターの先生が、私のことを「そういえば、nさん元気?」みたいな感じで聞いたらしいんですね。
それをボーカルの先生から聞いたときに、割と本気で、いや、割とじゃないな。本気で、自分が元気かどうかを気にする人なんてこの世にいるんだ、と思いましたね。
それぐらいじゃないですかね、面白かったこと。
qbc:それ、最近ですか?
n:そうですね、去年とか。
結構、本当にびっくりした記憶ありますね。「元気?」っていうのも、そんな深刻なテンションじゃなかったと思うんですけど。そんなこと気にする人いるんだ、おもしろーって思いましたね。
qbc:もしも未来の質問、というのをしてるんですけど。もしも過去から、何を奪い返せば、もっと面白いことが起きると思いますか。自分の人生に、引き出しが多くなると思いますか。
n:自己肯定感、ですかね。
自己肯定感が、びっくりするぐらい低い。というか、ほぼ皆無な人間なので。それがもうちょっとあれば、多少人間ぽくいられたんじゃないかな、とは思いますけど。
qbc:自己肯定感が低くなった理由は何ですか。
n:自己肯定感が低くなった理由は、元々の自分の性分とかもあると思うんですけど、学生時代とか、子供の頃とかに、親とか周りのクラスのやつから虐げられてた時間が長かったんで、そういうところじゃないですかね。自己肯定感が形成されていくであろう時期に、根こそぎ燃やされたのが原因かなとは思いますけど。
qbc:自己肯定感が低いなって思ったのって、いつ頃ですか。
n:12、13年前とかからですかね。高校生とか中学生ぐらいのときとかに既に思ってましたね。その頃は、自己肯定感っていう言葉が今ほど一般的じゃなかったと思いますけど。思い返してみると、その頃から既に、自分のことを悪く言うみたいな癖はあったと思いますね。
自分で自分のことを下げとけば傷つかないから、楽だった記憶はありますね。
qbc:明日から、1年間お休み。お金は一切困りません。ってなったら何をします?
n:そうだなあ、もらった生活費を貯金に回して、普通に生活すると思いますけどね。
qbc:3年だったら?
n:3年。そうだなあ。1週間働いて3日お休みして、1週間働いて3日お休みして、みたいな生活を繰り返すと思いますね。何もしないみたいなのは、あんまり考えられないですね。
qbc:一生だったら?
n:一生って言われたら……そんな人生いらないですって言って、返すと思います。
qbc:誰に?
n:誰に? いや、その「一生休みをあげるよ」って言ってきたアホな人に返しますね。
qbc:働きたいってことですかね。
n:そうですね、普通に働きたいかな。
そんな特別長いお休みとかいらないですね。社会人の長期休暇なんて1週間ぐらいでいいんじゃないですかね。
qbc:なんか自分のことを「ハイパーネガティブ」だっておっしゃるけれども、人に「生きててくれて嬉しい」みたいなこともおっしゃるっていうじゃないですか。
n:はい。
qbc:ちょっとギャップがあるんですけど、それって、自分の中ではどういう感じなんですか?
n:人にはそういうことをペラペラいうんですけど、自分に対しては、結構些細なことで、「自分って本当に駄目だな」とか「自分なんて別に生きてる意味ないよな」とか、よく思うんで。そういうところじゃないですかね。
それでもなんか、ここ最近とかは、一昔前よりはマシになった気がしますけど。でも、普通にナチュラルに、自分って別に生きてる意味ないんだよな、とはよく思いますね。
qbc:他人に対してはハードルが低いんですかね。そういう、ポジティブなことを言うことは。
n:そうですね。人に対しては、特に何も考えずに言えますね。なんて言ったらいいかな。言い方悪いけど、人に対してはもう言っちゃえばおしまいだから、こっちは。
でも自分に対して、自分で自分を褒めるみたいなのは、ハードル高いと思いますね。
qbc:でも、見方によってはものすごくいい人じゃないですか。「生きてて嬉しい」と言われる側からすれば、すごくいいじゃないですか。一緒にいて気持ちいい人なんじゃないですかね。
n:だといいですけどね。
qbc:「生きててくれて嬉しい」って、音楽の先生に対して言ったんですかね。
n:まあ、そうですね。音楽習ってた時の先生にも言ったことあります。
qbc:なぜ言ったんですかね。
n:それはあれじゃないですか。シンプルに生きててくれて嬉しいなって思ったから、生きててくれて嬉しいって言っただけです。
qbc:じゃあ、道歩いている人全員に言わないのはなぜですかっていうことですね。なんでその人たちには言ったのかっていう。
n:そうだな。その先生に限って言うと、自分の、人にはあんまり理解されないような表現の仕方を、「何それ」とか言わないで、受け止めてくれるって言ったらあれですけど。そういう先生だったし、先生ご自身でバンドのボーカルされてる先生だったんですけど、そのバンドの音楽も好きだったっていうのもありますし。
先生が生きてなかったらその音楽も聞けないし。っていうので、生きててくれて嬉しいっていう話をしましたね。
qbc:ありがとうございます。
最後の質問は、「最後に残したことは」というものなんですけれども。読者に向けたメッセージでも、インタビュー振り返っての感想でも、遺言とかでもなんでも構いません。
最後に言い残したことがあれば、お伺いします。
n:最後に言い残したこと……。そうだなあ……。うーん……。やっぱり、生きるのはつらいですね。
qbc:ありがとうございます。
n:はい。
あとがき
春がきて、季節がまためぐる。冬の時には春を思うし、夏には涼しい季節を切実に欲したり。
人間、そんなに優秀じゃないよ。
だからあいまあいまに、なぐさめを欲する。
小説、ここで読めますので。どうもー。
【インタビュー・あとがき:qbc】
【編集:toki】
マガジンで過去インタビューも読めますよ!
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