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海外も「唖然」。でも、私たちが「森会長」と同じにならないために

こんにちは、アンロック・ジョーです。

カナダのトロントで暮らして約10年。海外暮らしや留学に関心があったり、外国人とのやりとりに悩んでいる方に向けて、「もう外国にはビビらない」をテーマに、海外生活で感じているリアルな情報を発信しています。

さて、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言が、世界から非難を受けていますね。私が住むカナダでも、アイスホッケー女子五輪金メダリストで国際オリンピック委員会(IOC)委員を務めるヘーリー・ウィッケンハイザー氏が「この男を朝食のビュッフェ会場で絶対に追い詰める。東京で会いましょう」と投稿して、SNS上で多数の「いいね」が集まっている状況です。

久しぶりに海外メディアで日本が話題になったと思ったら、日本の旧態依然な感じが露呈して、日本人として恥ずかしいし、残念で、悲しい。「日本は今だに女性差別に関しての認識が遅れているんだろうなぁ〜」と勘ぐられているところに、それを裏付けるような森会長の発言。そして、森会長を擁護している政府や組織委員会の取り巻きが、残念な感じを倍増させています。

この森会長の「女性蔑視」発言問題ですが、わたしは「世界の潮流への理解不足」と「自身のコミュニケーション内容を客観視できていない」ことに問題があると感じています。

「女性の話は長い」は、おそらく森さんの個人的な経験から得た知識や経験をベースにした森会長にとっての「常識」であり、当然、誰でもが持っている意見ではありません。よく言われるように、日本の常識は世界の非常識にもなりえるし、もっと細かいレベルで言えば、各家庭、個人でも常識は異なる訳です。その個人の常識を一般化して公の場でリーダーが発言をすることは、多いに問題あると感じます。

ましてや、海外(特に北米)は「個」を尊重する文化で基本であり、「インド出身の人はきっと数学が得意なハズ」とか、「40歳代で独身の男性は、結婚できない何らかの問題があるに違いない」などの個人の”常識”に基づいた偏見溢れる言葉は、発言の受け手にとても不愉快な思いをさせてしまいます。

コミュニケーションをする相手を、その属性で見るのではなく、あくまでも一人の人間として尊重して話をすることが大事です。特に、外国人に発言をする際には、自分が発言しようとしている内容を、世界的な視点から客観視して、個人的な常識に縛られていないかを確認する必要があります。「外国人のあなたを不愉快に思わせるとは思いませんでした」という言い訳は通用しないのです。

また、森さんのような女性蔑視の発言は問題外ですが、「自分の意見が無い」ということも、世界では許されなくなってきています。

特に会社や政府のリーダー、有名人などの影響力が高い人が、社会問題に対してコメントしないことは、従来であれば、世間から問題視されなかったかもしれませんが、今は、ハッキリとした自分の意見を求められます。「知らない」とか「コメントしたく無い」では済まされないのです。

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最近で言えば、大坂なおみ選手の「Black Lives Matter (BLM)」における彼女の行動(被害者の名前入りマスクの着用など)や記者会見での発言、ナイキがBLMをサポートするために国歌斉唱を拒否したアメフト選手を支援する広告を出すなどが好例です。世間には様々な意見があるので、必ずしも自分の考えを世間がサポートしてくれるとは限りませんが、自分のスタンスを明確にし、発言をしていくことで、人々の信頼を獲得していく、というのが世界の潮流だと感じています。

日本にいて、日本のメディアからの情報だけに触れ、近い価値観の友達のSNSだけを見ていると、どうしても絶対的な情報量が足りず、知らず知らずのうちに、自分の中に世界の潮流からズレた「自分だけの常識」が生まれてしまう可能性があります。私たちも、森さんほど、ひどいレベルではなくても、意図せず、森さんになってしまう可能性があるのです。

この問題を強く意識しすぎると、余計に外国人とコミュニケーションするのが面倒になるかもしれませんが、それを避けるためには、例えば、自分の好きな外国のニュースサイトを見たり、英語の情報へのアクセスが面倒な場合は、海外に居住している日本人が体験した異文化経験などの情報にアクセスするなどして、「世界の潮流」を知り、自分の考えや発言を「世界の目線から客観視するチカラ」を育てることを少しずつでも始められることをお勧めします。

いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。次回も皆さんにお役立て頂けそうな情報を、カナダからお届けしたいと思います。「好き」や「フォロー」をして頂けると、嬉しいです。では〜!

※森会長の写真は時事通信社の記事、大坂なおみ選手の写真はHuffpost (Matthew Stockman via Getty Images)より



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