キング・アーサー

2017/7/12 ☆5.0
(ネタバレ有ります)

今は21:10。帰るには少し早い。
映画.comを開くと、今から10分後にずっと見たかった作品が始まると表示されていた。
僕たちはダッシュで劇場に駆け込んだ。

パッと明かりがつく。もうあと20分ほどで終電が来る。
ニヤニヤが止まらない。
時計を見る僕を「どうした?終電やばいか?」と心配してくれる先輩に、僕は「パンフ買う時間ありますよね」と返した。


ガイ・リッチーさすがだな!あんたは天才だよ!
なぜ僕は公開日に見に行かなかったんだろうか。こんなにも素晴らしい映画を!
まぁ、日本版の予告映像がかなり気に食わなかったんだよね。ツダケン使っとけばいいわけじゃないぞ。だから当時は見に行くモチベーションが下がっていたんだ。

もうガイ・リッチー好き。今年1番良かったと言ってもいい。
僕の好きなジャンルは後味が悪いやつなので、そういう好み爆発させると今のところの1番は「マン・ダウン」だったり、「お嬢さん」だったりするんだけど、後味スッキリ100%の映画だとこの「キング・アーサー」が1番だね。

まず、OP(をどこまで指すのかは少し疑問)が素晴らしい。タイトルが出て来るまでのあの流れは文句がつけられない。
そもそも幼少期から始まるのは意外で、青年期が描かれて途中途中で幼少期が挟まれていくのだと思っていた。だからまずその時点で心を掴まれた。
タイトルの出方で心掴めば勝ちだよな。特に昨日見た邦画のタイトルの出し方が死ぬほどダサかったので余計だったと思う。
そしてそのOPで過去を全部描いてしまっていいのか、と思った。
でもさすが、そんなバカなことしない。僕が全部見たと思った過去はそれだけじゃなかったんだ。

ジュードロウの悪役はすごいハマってたね。
人ってあんなにも権力に固執できるんだな。
僕たちの目にはあいつが悪魔に見えるけど、あいつはきっと「なぜ私がこんな思いをしなければならないんだ」くらいは思ってるよ。自分で望んで捨てたのに、自分で望んで払ったのに、思ってるよ。
彼は一体どこで道を間違えてしまったのだろう。その代償は払うべきではなかった。
権力に固執し、権力を誇示する自分に陶酔する。
彼は寂しかったのだろうか。みんな兄ばかり見て、もっと自分を見て欲しかったのだろうか。いや、もしそうだったとしたら、最後に自ら殺してくれと願うと思う。あの最後、彼はそんなこと思っていないと思う。やはり終始"なんで私が”ではないかな。ということは純粋に権力に酔っているのだ。囚われていると言った方が正しいかも。自分の妻と娘を殺すくらいにはね。
ブルーという少年。あの子は次のアーサーになり得るキャラクターだ。
目の前で父親を殺され、自分にはどうすることもできず。王にはなれないかもしれないけど、英雄になる。

時間経過の表現の仕方はああ、ガイリッチーだわ、といういつものおっしゃれーなアレ。金を隠して棚を閉めて、開けたら大人。めまぐるしく時間が過ぎて行く。もちろんセリフなんかなくて、全て映像で理解できる。そんなパッと過ぎて行く映像に見惚れていると、音楽と映像がリンクする。そこでまたぶわっと興奮が僕を包む。曲もまたかっこよすぎんだよな。昔話の伝説を基にしつつ、しっかり”いま”になってる。
過去を話す時、これまたガイリッチーだし、未来を話す時もこれまたガイリッチーだよね。ガイリッチー作品のあの編集が大好物だよ。
アクションシーンはこれ一体どうやって撮ってるのよ。なにをしたんだガイリッチー。あんたの頭の中を覗きたいよ。

ガイリッチー好きならテクノブレイクするかのような興奮を感じるだろうよ。
つまり好みが分かれるってことです。

明日で公開終了らしい。地域によっては今日までのところも。
それじゃ、僕は今からもう一度テクノブレイクしに行くから。

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