バトンタッチ

どうでもいい話をしよう
今日はそれとなくそういう気分なんだ。
世間はAIと仕事の話だとか
核兵器を積んだ列車の話で冷え切ってるから
どうでもいい話をしよう。

アンコウがそろそろ役目を終えてさ
南から呼んでいるマンゴーに
バトンを渡す用意をしているんだ。
冷たかった水も温まって
ちょうど飲みやすくなる頃なんだろう
水分補給したマンゴーがラストスパートしてさ
今に顔を真っ赤にして走ってくるよ。

冬は酒も美味かったよな
梅酒なんかドンドン進んでさ。
もう去年の分は完売しちゃったけど
また新しい梅が蕾をつけてるのを
公園で見かけたよ。
早咲きの寒梅の花びらを形見に持って
春の梅にバトンつなぎに花見に行かなきゃ。
みんなで輪になって乾杯するんだ。
春の酒もきっと美味いよな。

外もずいぶん暖かくなってさ
冬物の服もそろそろ終わりの時期みたい。
ダウンコートから交代したジャンパーも
とうとうこの季節のアンカーだ。
まだ夜はちょっと肌寒いけど
薄地のセーター1枚くらいがちょうどいい。
もう少しすればもうそれも終わって
春物のシャツにバトンタッチだ。

祝辞をもらった卒業生たちは
どんな想いで旅立つんだろう。
十人十色の門出があって
きっとひとまとめになんか表せないんだけど
みんな何か変化するんだろうな。
先の未来に期待してる人も
してない人もいるんだろうけど
絶対視界は広がってて
何かを春に思いいれてる。
思い出になる後輩たちにバトンをパスして
繰り返してるうちに歳をとって
僕らもいつかサロンパス貼らなきゃ歩けなく
なっちゃうのかも。

こんな話本当にどうでもいいし、
実際何が面白いってわけでもない。
けどAIがどんなに優れていたって
マンゴーの代走はできないし
列車がどんなに頑丈で
何を積んでも壊れなくても
想いを運べるのはその人たち自身だけで
形のないものは積み込めない。

どうでもいい話ばっかだけど
どうでもいいくらいが丁度いい。
考えすぎると疲れちゃうし
どうでもいい話をしよう。
また季節の変わり目に。

#詩形詩吹
#自作詩

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