傷痕

傷口から溢れる涙は後を絶たず
瞬く間に現実を鈍色に覆い尽くす

閑散とした感情に木霊するのは
心拍音と希死念慮のメトロノーム

日常の相対速度は変わらないけれど
加速度的に増加する哀、哀、哀…

エレジーは枯れ果てました
声帯は焼け切れました
憧憬は光を失いました

ベンゾジアゼピンは一過性の抱擁
妖精たちは空に消えた

喜劇に魅入った時期もありました
でも肉体はノンフィクション

叩くと青く色づきました
切れば赤く泣き腫らします

社会は今日も無表情
不要不急の厄介ごとには
ソーシャルディスタンス

ニューロンは蜘蛛の糸
柔い指先も固い刃先

赤い格子に垣間見える
嘆きは今日も闇に溶ける

#詩形詩吹
#詩
#自作詩

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