入籍して思う「事実婚って何が悪い?」

宮沢氷魚さんの事実婚発表があり、事実婚は良くない説がヤフコメで展開されていました。逆に入籍している立場から個人的に「事実婚のどこが悪いの?」と思う点をまとめます。私と同じ立場の方、似たような立場の方は「入籍する意味などほぼない」のではと思います。

「事実婚のデメリット」については、こちらを参考にさせていただきました。ざっと検索する限り、他のページでも大体同じことが言われているようです。

1.税金の控除などが受けられない?

「配偶者控除」や「扶養控除」が認められないということなのですが、配偶者控除は「配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下」、扶養控除は「103万〜130万円以下」の場合に受けられる控除なので、二人とも130万円以上収入があったら関係ないです。フルタイム、正社員だったらブラック職場ですら、関係ないのではないでしょうか。

メリットがあるのは二人のうち、片方の収入が低い(正社員等でない)場合だけではないかと思います。なお、子供に関する支援で「保護者のうち、収入が低い方」を基準とするケースがあったような記憶もありますので、税控除以外にそういうケースも入籍がメリットになるかもしれません。

2.遺産の相続や生命保険の受け取りができない?

子供がいない場合などは、それなりに問題になりそうですね。一方、子供がいて親兄弟も存命である自分のケースではピンと来ません。二人とも一般的に独立できる程度の収入があるため、少なくとも現時点では「自分が相手の遺産や生命保険を受け取れないと困る」という状況にはないです。富裕層でもないので、そもそも遺産になる資産もないし、生命保険も大してかけてないし、親族内(親、兄弟や子)で誰かが受け取れる状況なら特に問題ないかなと。ただ、親や兄弟が亡くなったりしたら、問題になるのかもしれません。

ちなみに、自分の親世代であさましい相続争い(貧乏で資産なんてほぼないのに、それでもわずかな金額を取り合いをする姿)を見たので、兄弟間で相続争いする気にはなれません。やるとすれば、実家の処分のなすりつけ合い、葬式の手間のなすりつけ合いくらいですかね…

3.事実婚では子供との関係も変わる?

事実婚では子供に対して父親側で「認知」が必要になるとのこと。上記の相続等について、私は「子供が相続できればいい」と思っていますが、認知しないと子供への相続もできないので、そこは手間かもしれません。

ただ、じゃあ「入籍していれば万事OKなのか」と言われると、そうでもないと思います。

私が子供を出産した際、夫は1ヶ月の海外出張中でした。そこで里帰り出産した先(本籍と違う場所)で、出産1週間後、出生届を出すために産後の疲れた体を引きずってバスに乗り、役所まで行きました。出生届に「結婚式を挙げた日」と書かれていたので、馬鹿正直に記入したところ、よく考えたら出産日の10ヶ月前より後。恐らくそれが懸念点となり、役所職員から「夫の認知が確認できないと受理できない」と言われ、夫に電話して確認するから電話番号教えろとのこと。「えぇ〜、向こう今、夜だし電話なんかしても出ないです」と話し、すったもんだの末、本籍地の役所に電話で問い合わせて入籍がギリ11ヶ月前であることを確認してもらって、なんとか終わりました。

出生届は奥さんが自分で出しに行ってはいけません。あらぬ疑いを招くだけです。旦那さんが行かねばなりません。で、旦那さんが行くのであれば、事実婚の場合はそのまま認知すれば終わるような気がしてならないのです…。

そして、よく「事実婚では夫に子育ての責任感が…」的なことが言われますが、入籍しても無責任な父親はこの世に五万といます。入籍しているか否かでなく、単に本人のやる気、資質次第です。我が夫の場合も子育てに関して物理的・経済的な責任を負う気はほぼゼロです。こんな時に「協力しないなら離婚してやる!」と思ったところで、離婚しても夫側はノーダメージです。もともと経済的な負担を担っていないアホが、離婚したからといって養育費など払うはずがありません。天引き・差押など税金のように確実に取り立てる仕組みを国の制度として作らない限り、払わないでしょう。むしろ離婚すると姓変更などの手続きが必要になりダメージを受けるのは妻側です。そもそも、結婚・入籍という制度自体に現代において欠陥があるとしか思えません。

こういう場合に妻側はどうやって夫側にダメージを与えようとするか。夫の勤め先に連絡をするのです。世の中的に「ダメ夫は仕事もしないダメ男」という幻想があるように思いますが、普通にちゃんと仕事している勤め人にも「ダメ夫」はいますので。ただ、私はその手は使いませんでした。自分の職場で、そのように怒り狂った奥様からの電話を受けたことがあるからです。職場への電話が原因だったのかどうかは分かりませんが、その直後、先輩(夫側)は退職しました。そして離婚して海外に移住、若い女の子と再婚して楽しそうでした。そんな先輩家庭の姿を見ると、夫の職場に電話をしたところで自分が虚しくなるだけだと思って止めたというのが実情です。

「恨みを晴らすために国の制度を使う」という発想はいかがなものか?と言われそうですね。それはその通りと思います。ただ、姓変更などの手続きがあると本当に手間で、なぜそのダメージを一手に妻側が引き受けなければならないのか?というのは腹立たしい限りです。夫婦別姓の選択肢を残していただきたい。その方が夫側に(背水の陣的な)責任感が生まれるのではないかと思っています。

4.夫婦関係の証明がしにくい?

賃貸契約や病院への入院手続き等で困るとのこと。これらについては経験がないので分かりませんが、例えば賃貸は揉めるだろうなというのが想像はできます。シェアハウスのような「また貸し」を懸念されるだろうなとか。

一方で、大学生のとき、友人二人(女性同士)がファミリー向けのマンション一室を借りてシェアしていました。なので、ある程度大家さんや状況によるのかなぁという気もします。

個人的には、現在は自分の借金持ち家に住んでいるので、関係ありません。

また、一人暮らし社会人の友人が海外旅行後にチフスだか赤痢だかにかかって国立感染症病院だかなんだかに入院した際、手続きの手伝いに行ったことがあります。感染症で病室から出られないので、病院窓口への書類提出や小銭の用意ができないから手伝って欲しいということでした。そこで赤の他人の私が手伝いましたが、特に問題はありませんでしたし、友人も一人で入院して一人で退院していました。こちらもある程度は病院次第なのかなという気もします。ただ、本人に意識がないような場合は困るでしょうし、その時に他人が補助できるのかどうか、なかなか難しい問題とは思います。


そうすると、私の場合入籍にしてメリットになるのは、親兄弟が亡くなった後に遺産・生命保険を受け取りたい場合とある程度深刻な病気で入院する場合くらい、ということになり、「若いうちに入籍しなくてもいいか」→「上野千鶴子パターンでいいんじゃん」ということになるという。やっぱり(元)東大教授って頭いいなぁ。

私にとっては、入籍すると夫婦別姓にできない点が大きなデメリットであるので、そのデメリットを回避するにはとりあえず若いうちは事実婚でもいいのかなという気がします。選択的夫婦別姓が導入され、夫婦に子育ての義務が負わされることがきっちりと制度化するなら、まぁ入籍しても良いか…くらいです、私にとっては。(もう入籍しちゃってるけど)

自分で希望として書いたけど、子育てが厳格に義務化されて国から監視されるとか、怖すぎる(笑)。冷静に考えるとね。



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