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老人が握るもの

今日も渋滞がひどい。

右車線にシボレーマスタング、左車線に我が社のトヨタプロボックス、歩道に自転車の男子小学生。いま、この3者が熾烈なデッドヒートを繰り広げているところだ。

やがて小学生の姿は遥か彼方に消え、残されたトヨタとシボレーが不毛な競争を続けている矢先、ふとこんな文字が目に飛び込んできた。

「本日…腐敗…老人…握り…本田圭佑」

準備中の小さな和食店の店先の地面に黒板が立て掛けてある。黒板の前に生ビールのタンクが積んであり、ちょうど「…」の部分が隠れて見えない。どういうことだろう。

恐らく店の若店主が誤って魚を腐らせてしまったのだ。そこで先代、つまりもう引退したはずの彼の父が「本日は寿司を握る」というお知らせではないだろうか。それにしても本田圭佑氏といったい何の関わりがあるのだろう。よく見たら「本日」ではなく「日本」だった。謎は深まるばかりだ。

家に帰って検索してみたところ、本田氏がSNSに投稿した次の文章であるらしかった。

「日本は…多くの腐敗した制度があり、無能な老人が権力を握り続けています」

この意見への賛否は色々あると思うが、少なくとも和食店の店頭に掲げるには適当でないかもしれない。