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障害者雇用促進法の違反で厚生労働省から会社名を公表される罰

令和6年3月27日に厚生労働省から「障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について」という発表がありました。

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001233254.pdf

今回は、昨年に続けて再公表という形になった横浜に本社を置くジュエリーショップの株式会社ベリテだけでした。上記URLのPDFファイルには、2ページと3ページに行政指導の経緯・内容が記載されてますが、要は、お役所から何度も注意・指導をしたけれど法律違反の状態が改善されず、最終手段として会社名公表の罰です!という説明のように見えます。

その説明の中、2ページ目の下部にこのような表があります。

不足している数の推移ですが、毎年提出する6月1日時点での雇用状況報告書(6/1報告書)で5~7の不足が続いており、今年の年明け時点でも法定雇用を達成してないということで社名公表になっています。一方で、6ページ目を見るとベリテの他にも行政指導を受けていた会社が47社あったことが開示されてます。

これを見ると、今回社名公表されたベリテ以外の会社は法定雇用義務を達成したか、達成する見込みがある等になったから社名公表はされなかったとされてます。社名公表されなかった各社が障害者採用&雇用を頑張ったのは間違いないと思いますが、逆に考えると、ベリテは行政指導を5年以上も受け続けて、昨年も社名公表されてなお、今年も再公表されるほど、お役所に抵抗したと言えます。

お役所に抵抗したことを誉めるつもりはありませんが、行政指導を受けた47社の中には「とにかく社名公表だけは避けたいから、誰でも良いから不足数だけ障害者を採用しろ」と動いた会社が大半だったと推測される中で、そういう拙速な採用をしなかったともいえるベリテが、何を考えて面倒な行政指導を数年にわたって受け続けているのか尋ねてみたい気もします。

ただ個人向けのジュエリーショップが主な事業の会社であれば、公共関連の仕事が受託できなくなったり入札資格を剥奪されることになっても、元々公共関係の売上がほぼ無いので このような社名公表で受けるダメージは、公共関連の事業に携わることが多い建設土木・金融・情報システムなどの会社よりも少ないのかもしれません。

そういう観点で指導対象となった47社の産業別を見ると、卸売業・小売業の区分が14社と多いのは、もしかすると「最悪、社名公表になっても、大してダメージは無い」と思っているのか、むりやり数合わせの障害者採用をしても店舗での雇用維持は大変だから無理はしないと考えているのか、真相は分かりませんが、卸売業・小売業においては障害者の採用&雇用が大変であることを示すデータでもあります。

障害者雇用が法律で義務化されているから、義務のためにミスマッチでも数合わせの採用を行い、短期離職者を多数生み出しながら、辞めた人数・足らない人数の採用を繰り返しつつ、6/1報告書の時だけ帳尻を上手く合わせた会社が行政指導を免れるという実態があるから、法律違反の罰の重さも軽くみられるのかもしれません。こんなことを続けた先に、共生とかインクルーシブな社会があるのか甚だ疑問です。

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