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詩ことばの森(105)「夏の波音」

夏の波音

目を閉じると
聞こえてくる
夏の島を訪ねた日
波の音が耳に残っている

あれは幻だったのか
きみと歩いた砂浜に
小さな貝殻をみつけては
子どもみたいに
はしゃいでいたっけ

もうずいぶんと
遠い旅を経てきたようだ
ぼくの耳は
波音をおぼえてはいるが
きみの声は
風にかき消されてしまった

もう一度
あの夏の島に行けたら
きみと歩いた砂浜で
きみの好きな貝殻を
耳にあてたなら
聞こえるだろうか
きみの声が

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