詩ことばの森(154)「夜のオルゴール」
夜のオルゴール
子どもの頃 自転車で
坂をかけ登り 振り返ると
町が ずいぶん下に広がっていて
遠くから吹く 風の匂いがした
僕たちの世界は 小さな箱庭だった
夕暮れまで遊び 小さな冒険をした
夜になると 不思議な音色に
どこからか オルゴールが聞こえてきた
星たちの楽曲が 町に降りそそいだ
あの音は何だったのだろう
友だちとも話したことはなかった
あれは幻聴だったのかもしれない
子どもの僕の耳に いつまでも残り
夢の星空に漂い 小さな冒険をした
(森雪拾)
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