詩ことばの森(103)「高原の駅で」
高原の駅で
きみと出かけたのは
夏も終わりのころだった
高原の駅に 降りる人は少なくて
ホームでふたり 列車を待っていた
きみは 目を輝かせながら
会話に夢中だった
ぼくは草木が 風に揺れるのを
不思議な思いで みつめていた
あのときのことは
絵に描けそうだけど
言葉にはなぜかできない
今では 駅も風景も変ってしまったろう
ぼくの思い出のアルバムには
きみの微笑みだけが 残っている気がする
(森雪拾)
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