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ビワの鉢植え①

1月11日は「塩の日」だということをちゃっかりの担任の先生が発行している学級通信で知った。

いや、ちょっとびっくりした。

なぜかって?

ちゃっかりが帰宅する直前まで「塩」と格闘していたからなのである。

「塩の日」だとも知らずに、である。

今日は鏡開きの日でもあるが、わが家の床の間には毎年お正月を迎える準備として鏡餅と正月花を飾っているのもあり、鏡開きの日にはお花を処分し、鏡餅にくっついたカビを丁寧に剥がしてカチカチに硬くなった餅を小さく砕く作業をするのが恒例である。

「餅のカビ剥がさなあかんなぁ……。」

そう思っていた時ちょうど両親がやって来たのだった。

「uniちゃんごめんやっさ〜!」

お馴染みのコテコテの挨拶で登場である。

「uniちゃん、玄関の庭のビワの鉢植えが割れてるやん。あれさ、もう処分したら?お母さん手伝うし!」

根を張ったビワの鉢植えは年末に割れてしまったのであるが、割れた鉢を外してそのままにしていたのが確かに気にはなっていたのだ。

しかし何かとバタバタしていてそのままになってしまっていたのである。

「うん、じゃ根っこをほぐして枝を折って処分するから手伝って!」

母と私で割れたビワの鉢植えを処分する作業をしたのだ。

このビワの木というのは、亡くなった伯母、「さっちゃん」が生前わが家に買ってきたお土産のビワの種をちゃっかりと私の父が「ビワがなるかもしれん!」などと言い、冗談半分で植えたところ、芽が出て葉が茂り成長したものだったのだ。

いつまで経ってもビワの実はなることなく、枯れ木同然のようなビジュアルであったが、欲張るちゃっかりと父が「いつか実がなるかもしれん!」などと言い張るものだから、鳴かず飛ばずのアイドルのような有り様で、わが家の庭の片隅に居座っていた。

そのビワの鉢植えを今日ついに処分したというわけ。

一仕事終えてやれやれと晩御飯を作り、出来立てのおかずを何品か小皿に乗せて父と母にお味見させてあげる。
uni居酒屋にハマっている母にビールを手渡しながら、ちょっと引っかかっていることについて話をしてみる気になった私。

考えてみれば何故今日それを母に話す気になったのか不思議なのだけど。

「あのさぁ、ドカ弁とちゃっかりがさ、うちの家ってやたらとドンドンバタバタって物音がしてうるさいって言うんよね〜。」

「やぁ、気持ち悪いこといいな!」

母は大袈裟に言った。

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