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「信教の自由」の未来は日本にかかっている マッシモ・イントロヴィニエ氏

今年1月に行われた国連人権理事会の第42回普遍的・定期的レビュー(UPR=Universal Periodic Review)のワーキンググループ会合に合わせ、UPF欧州・中東では今年1月31日、国連NGO「良心の自由のための団体と個人の連携」(CAP-LC)と共催で信教の自由をテーマとしたサイドイベントを開催しました。
UPF-Japanではこのほど、同イベントの模様をまとめた開催レポートを発行しました。
第四回は、新宗教研究センター理事長のマッシモ・イントロヴィニエ氏です。

 フランスの哲学者、ポール・リクールは1965 年、彼が「懐疑の達人」と呼ぶ、宗教に対する敵意を広めた3 人の破壊的な影響についての本を著しました。共産主義の創始者カール・マルクス、精神分析の創始者ジグムント・フロイト、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェです。
 マルクスにとって、宗教は「人民のアヘン」でした。それは貧しい人々に対し、現在ではなく来世で幸福になり、裕福な人々は地獄に落ちると語ることで、彼らを沈黙させ、革命を妨げる一種のドラッグなのです。マルクスは貧しい人も裕福な人もいない社会、すなわち共産主義が到来することで宗教は消滅すると信じていました。
 フロイトにとって、宗教は神経学的、心理学的な妄想の産物でした。彼は、現代医学と精神医学がこれらの問題を解決できるなら、宗教が必要とされる余地もなくなるだろうと考えていました。ドイツの哲学者ニーチェにとっては、宗教は国家が強い市民を教育する能力がないために、大多数が弱くおとなしい人々で構成されているがゆえに存在するものでした。しかし、新たな国家が子供たちを強く慈悲も情けもなく教育するようになれば、そうした弱者は消え去り、弱者とともに宗教も消滅すると考えていたのです。
 こうしてマルクス主義はソビエトと国際共産主義の基礎となりました。ニーチェの業績はナチスとファシストによって利用されました。フロイト理論は世俗的なヒューマニズムに新たな刺激を与え、多くの西欧民主主義国家において、政府、メディア、文化を支配するようになりました。
 共産主義、ナチズム、世俗的ヒューマニズムはそれぞれ異なるイデオロギーです。
しかし、それらに共通しているのが、宗教を好まないという点です。
 この3 つのイデオロギーの最終的なゴールは全ての宗教を破壊することにあります。しかし、20 世紀を通じて、彼らはそれが容易でないことに気づきました。宗教には強い抵抗力があり、迫害に負けないからです。そこで、これら3 つのイデオロギーの信奉者らは新たな戦略を採用しました。すなわち、少なくとも当面は脅威に感じるものは何もないと語ることによって、既成の伝統宗教を安心させようとしたのです。彼らは、「悪い」宗教を破壊することからはじめ、他の宗教は放っておこうとしました。中国では悪い宗教は「邪教」と呼びますが、これは帝国中国で皇帝を支持しない集団を識別するために用いられた古いレッテルで、今日では新しい皇帝である共産党を支持しない集団に適用されています。
 ロシアでは、政権を支持しないグループは「過激派」として分類され、粛清されます。フロイトのモデルでは「カルト」とラベル付けされ、ご存知のように、信者を洗脳して回心させたと非難されるいくつかの少数派宗教に向けられています。
 数十のグループがこのような攻撃の標的にされましたが、この3 つのイデオロギーを妨害しているという理由で、主要な3 つのグループが「悪い宗教」の象徴として迫害を受けました。世界平和統一家庭連合(家庭連合=旧統一教会)は、共産主義への反対運動で非常に成功したために標的となりました。サイエントロジーは精神分析学を悪とし、精神医学における金銭の乱用について、時に辛辣な批判を投げかけたために標的となりました。エホバの証人の、選挙に参加せず、軍隊にも入らない平和的なコミュニティは、国家によって統制されたいかなるイデオロギーにも明確に反対したことを理由に標的とされました。
 以上、西欧社会について言及してきましたが、「信教の自由」のための最も重要な戦いが今日、日本で起こっています。日本は、第2 次世界大戦で敗北したために、自らの誤りを認識し、信教の自由が平和的な民主主義を構築する上で欠かせないことを悟り、米国の権威的な勢力の人々に影響を与えた信教あるいは信条の自由を保護する法律と憲法原則を採用したユニークな状況を持つアジアの国です。しかし、一方で宗教に反対しているイデオロギー、特に共産主義は日本においてもまた影響を及ぼしています。
 1995 年に起こった東京地下鉄サリン事件は、広範な反宗教キャンペーンを推進するイデオロギーによって、悪意をもって、誤って利用された最初の国家的悲劇であり、2022 年の安倍晋三元首相の暗殺が第2 の国家的事件です。
 日本における家庭連合に対する現在の反対運動は、嘘や虚偽の証人に基づく、多くの明らかな虚偽の主張に根拠を置いています。私たちは(虚偽であると)証明することができますし、いくつかの記事ですでにこれを証明したと考えています。最終的には、どこでもそうですが、私たちは日本で、私がすでに説明した3 つの勢力が再び結集して信教の自由に反対するのを目の当たりにしているのです。
 その第1 が日本共産党です。彼らにとって、国際勝共連合を通して日本の共産化を阻止した文鮮明・韓鶴子総裁夫妻は許すことができない存在です。実際、日本共産党は最近、安倍元首相暗殺以降に始まった一連の動きを「統一運動に対する最終戦争だ」と明言しています。
 第2 に日本の過激勢力、ナチスのような存在がこの機に乗じて、時に物理的に家庭連合に対する(暴力的な)攻撃を行いました。第1 の理由は、こうした過激勢力が人種差別主義者でかつ嫌韓だからであり、第2 に、彼らはUPF とその他の組織が行ってきた、全体主義的に対抗し民主主義の価値を確立するための広範な努力を許せないからです。
 第3 に、日本の特定のメディアや弁護士が、単に金銭的な目的を含む異なる要因によって動機づけされています。彼らはまた、日本国内で目に見えて成功しているあらゆる宗教運動に対し、「洗脳」によって会員を回心させ、献金を集めていると非難することによって、国際的な世俗的ヒューマニストのイデオロギーを広めようとしているのです。これはよくある世俗的なヒューマニストのイデオロギーです。
 しかし、私たちは見誤ってはなりません。これらは実際、安倍氏を殺害した男についての話ではありません。そしてそれらは統一教会、家庭連合についてだけのものでもありません。それは、日本の心の問題であり、世界の信教の自由の未来についての問題でもあります。
 宗教の未来は、日本で今後起こることによって大きく左右されるでしょう。迫害の未来か、それとも自由の未来か。栄光の未来か、あるいは恥ずべき未来でしょうか。
 さて、私たちは今日、答えを出すためにここにいます。私たちは、3 つのイデオロギーが彼らの答えを日本に強要するのを防ぐためにここにいます。私たちは、自らの声を届けるためにここにいますが、同時にあなたの声を、また家庭連合の会員たちの声を、そして信教の自由について懸念する日本の人々の声を届けるためにもここにいるのです。

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