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彼が言うんだから「Good morning」は直訳で良い朝なんだよ。

複雑な愛情で常にApple社を見つめている。
寝ぼけ眼で滑らかにTwitterを開きトレンドの「iPhone」に触れる。

表示された名前に叫ぶ。
「だっっっっっさい」
(個人の感想ですがMaxが究極にダサい。好きになる)

次いで、遅れて表示される英語字幕に助けられながら件のKeynoteを観る。見るではなく、観る。

Timが言う。
Good morningと言う。

おはようございます、だ。
ただのおはようございますだ。ありふれた毎日の挨拶だ。

でも壇上では、直訳がふさわしい。良い朝なのだ。なにかの喜びだ。一種の夜明けの、その挨拶だ。

掲げられた円のモチーフに相応しく時計で幕を開け、口に出してもやっぱりなんかちょっとダサい印象が拭いきれない電話の名前が告げられる。
イメージ映像の美しさ。被写体の多様性。macOSに連なるのか、砂漠のど真ん中の遠近感。砂丘に走る並行線がそのまま回路の話につながる。

二種の端末を重ねた画面に、まるで画面が盛り上がっているように見える待受の球体。背景の黒でうまいこと切り欠きがないようにすら見える。
同じ大きさの端末と見せかけて、手首を交差させて裏から表に返すときに初めて遠近感がわかる。言わずもがな製品名のXにかかっているのだろう。

画面の大きさをささやかに主張する、逆立ちして対角線いっぱいに収まるようなにこやかな被写体。
これも全部計算のうち。

それから色鮮やかなバリエーションの紹介ビデオ、目まぐるしいネオンの色はそのまま本体カラーに馴染む。
オープニングムービーの女性が走り出して直後、階段室と思しきガラスの扉を開けるとき、さりげなく「4」と映すことで「現在地が4階であること」を示している。もちろん「iPhoneが三つ、Apple Watchが一つで合計4つの新製品があること」「Apple WatchがSeries 4であること」も含まれているだろう。

穿ち過ぎかと思うが、多分そういうことをさらっとあの数秒でやってのけるだけの目論見はあるだろうと確信させることをやってきたのだ。
本当に毎度毎度、引き算の魅せ方がうまい。

読みやすい漫画を読んでいるようだ。
Steve Jobs Theaterの階段を駆け下り、一足先にエレベーターに乗ってしまったジュラルミンケースを追いかける女性。
数秒前までは映っていなかったはずの、彼女の腰でひらめく社員証。舞台裏に走り込む彼女が次に手にするのはまさにそれだ。

余計な説明はいらない。まるで彼ら彼女らの世に送り出す製品のようだ。
目で見て、目で見てわかるなら、言葉はいらない。必要なのは、直感だけ。直感だけを、持っておいで。

その直感に、体験を返そう。

彼女が走り抜けた池や、草刈りの間、それはきっと製品の防水防塵機能をさりげなく主張しているし、車輪をこぐ彼女の腕で時計が静かにその日の円を完成させる。
駆け込む場所は円形で、最後の最後、開演に間に合い大団円。

紛れもなく良い朝だ。
異なる言語の前提はあれど、だって今日は発表会だぜ。
良い朝だ。その挨拶が相応しい。

Good morning、おはよう新世界。
昨日までなかったものを、今日これからの世界に。

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以上が精一杯落ち着いて書いた文章ですが個人の心情をぶちまけると「名前が究極にだっっさいけどポートレートモードでf値調節本当にありがとう絶対機種変更しないという確固たる決意が最終的に超揺らいでいるので本当にありがとういつも"absolutely"とか"thiner"とか"so much fun"じゃねえよおおおお好き!!!!!!」です。
あとIve卿の低音ボイス本当にありがとうございます。以上。

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