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とても好き

ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン写真展に行った。1920-40年代のファッション写真やポートレート、彼が旅して撮った写真などの展示。銀座のシャネル・ネクサス・ホールで3月31日まで。
大好きな時代なので終始うきうき。

前にネットかどこかで見たことがあって、すごく好きだった写真。見られて嬉しかった。構図がとても好き。階段が生む幾何学模様的な印象、上に見える脚、スポーツウェア。すごく、20年代っぽい趣味が現れているというか。

バレエ・リュスの香りがしてよくよく見るとセルジュ・リファール。1931年の写真だからバレエ・リュスではなかった。リファールが当時在籍していたパリ・オペラ座の公演とのこと。

バレエ・リュスもあった!

『牝猫』(1927)のリファール

リファールは青年役。衣裳が面白い。不思議な格好で気になった。
『牝猫』は衣裳・舞台美術ともにナウム・ガボとアントワーヌ・ペヴスナーが担当したとのこと。舞台美術の写真を調べてみると、プラスチックのような素材で丸や四角、図形をたくさん並べた、抽象的なセットだった。衣裳も合わせてデザインしたんだろうな。

頭につけてるのは何だろう
『オード』(1928)のリファール

こちらもバレエ・リュスの公演のもの。この作品は女性ダンサーの全身タイツのような衣裳が印象に残っていたから(身体の線が全部出るものは当時のバレエ衣裳においてはとても珍しい)、リファールは普通の格好してるな、と思った。

ガブリエル・シャネルは、バレエ・リュスに金銭的援助をしたり、衣裳を手がけた作品もあったりと、とても関わりが深い。『牝猫』と『オード』は多分直接的には関わってないと思うけど(多分ね…)。

さて展示に戻ろう。

マレーネ・ディートリッヒ、ジャン・コクトー

大好きなお二人が並んでいて嬉しい。展示で頂いた作品解説には、シャネルの友人として紹介されていたコクトー。コクトーもまた、バレエ・リュスとの繋がりが大変深い人物。シャネルとコクトーが2人とも関わっているのが1924年の『青列車』という作品。
本当にね…バレエ・リュスは、みんなが仲良くしたり喧嘩したりしながらわちゃわちゃ作品つくってるのがすごく面白いから皆様におすすめ。大学生の頃ハマってた。だいぶ忘れてるからまた色々読みたいなぁ。

ジョセフィン・ベイカー

舞台関連からもうお一人。重要人物!!

この時代のマネキン、大好き。時代のメイクと髪型だからかな。細眉にフィンガーウェーブっぽい感じ。

一番好きだった写真たち。ドラマチックで夢のような雰囲気が素敵だなと。黒背景でモノクロだからこそ引き立つ叙情性。どこか現実離れした、スローモーションみたいな感覚をおぼえる。3枚の並びも綺麗。



体のパーツ。アイコン化。植民地主義。“異国”への眼差し。鑑賞中、そんな言葉たちも頭に浮かんでいた。雑誌や芸能のポートレートには、“その時代に美とされているもの”がかなり写し出されている。この頃の欧米文化は、主に白人男性がまなざしつくりだしたもので、今の価値観からすると、一概に“良い”とはいえない目線も多いと思っている。好きだからこそもっと学んでいきたい部分。性別の観点でいえば、シャネルは、衣服のデザインを通して、不自由だった女性の状況に風穴をあけた女性のひとりでもある。シャネルが変えていった世の中の要素も見えてくるような展示だったな、と思う。素敵な展示だった。


そして、余韻に浸りながらふらふら日比谷の方へと歩き、恋に落ちた。

お相手


良い日だったなぁ。

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