第4回「『ふたり』の例③:恋人・夫婦」

1. 『ふたり』の例

1.3. 恋人・夫婦

本論では一般に知られる関係よりも、あまり知られていない関係について深く掘り下げていきます。

1.3.1. 恋人

本来は家族ではありませんが、夫婦に準ずるものとしてこのカテゴリーに配置しました。赤の他人ながら非常に近い関係として、歌、小説、漫画など、様々な形で描かれることの多いのがこの関係といえるでしょう。一方で後に述べる「LGBT」と呼ばれる人々の関係も決して無視できない、というのが、「ふたり論」における基本的な考えです。

1.3.2. 夫婦

一般に、「結婚」をして関係が築かれるのが夫婦と呼ばれます。他方で、後で少し触れるとおり、法律で定められた結婚届を出さず、事実上の夫婦(ニュースでは「内縁の~」)として暮らすケースもあります。創作としては、描きたい方向性により、仲の良い、悪いがはっきり分かれるように見えます。

1.3.3. 事実婚(内縁関係)

先述の通り、法律で定められた手続きを取らずに、事実上の夫婦となっている関係のことを指します。創作としてはあまりこういうような表現は使われず、第5節で触れる「契約結婚」などの関係が近しいものかと考えられます。

1.4. LGBT(最近ではLGBTIQ+とも)

1.4.1. 恋愛的指向

今回は、LGBT(性的少数者)を扱うに当たって、認識合わせのためにこの用語を使用します。創作作品ではあまり明確な区別はされていませんが、特にLGの人々を描くにあたって、性的嗜好と混同して(または恋愛的指向の延長線上として)表現されますが、本論では単に「恋愛感情を抱く方向」として『恋愛的指向』という用語を用います。また、この用語の便利なところとして「誰にも恋愛感情を抱かない」という『アセクシャル』という人々を扱うことも出来る点が挙げられます。

1.4.2. ゲイ(Gay)

英語表記は、単に「同性愛者」を総称する場合もありますが、区別のため「homosexiality」(ホモセクシュアリティ)とも表現されるようです。

狭義のゲイは「男性の同性愛者」を指します。本論では、あくまで恋愛的指向として「男性に恋が出来る男性」という意味で使うのが適切かと考えております。海外では、ハリウッドの男性俳優がゲイであることを告白したりなどすることがありますね。日本では「世界で一番パパたちが好き!」というエッセイ漫画が連載されています。ほのぼのとした家庭を描いた漫画としてお薦めです。

1.4.3. レズビアン(Lesbian)

本論では「女性に恋が出来る女性」と定義します。日本においては、同性愛者の中でも、特にSNSやエッセイ漫画で、よくレズビアンの人々が取り上げられることが多いです。恐らく、美人であるほうが見栄えが良いといった理由でしょうか。ともあれ、同性愛者について知るのであれば、まずこのような人々を知るのも一つの入り口だと考えております。

1.4.4. バイセクシュアル(Bisexual)

本論では「男性女性どちらにも恋が出来る人」を指すこととします。これにLGBTQ+の人々も対象として加えた人を「多性愛者」、全てを対象と出来る人を「全性愛者」とも呼ぶそうです。バイセクシュアル自体は、異性にも恋愛感情を抱きつつも、同性にも同様に恋愛感情を抱くことが出来る、という傾向にある人を指すものとなります。

1.4.5. トランスジェンダー(Trans-Gender)

意外と認知度が低いように感じるトランスジェンダーですが、意味としては「体の性とは逆のせいで社会生活を行いたいが、外科手術を望まない人」(三省堂 大辞林)とされています。今回は恋愛的指向としては固定せず、説明のみに止めます。

1.4.6. クエスチョニング(Questioning)

こちらも恋愛的指向としてはまだ理解の深まっていない分類ではありますが、意味合いとしては「自己の心の、あるいは社会的な性について定めかねている」といった状態を指すようです。

1.4.7. LGBTQ+の人々への誤解について

LGBTQ+の人々に対しては、「同性が好きなんだから、性行為もすぐしてしまうんだろう」といった差別的な誤解(特に性的嗜好と混同したもの)が多いように思います。正直なところ、その人(仮に異性愛者としましょう)が異性に対してそう扱うようにも聞こえてしまうので、いくら自分が異性愛者としても、あまり快く思えないです。

本論では、性的嗜好ではなく、あくまで恋愛的指向として扱い、また実際にもそのように考えた上で話を深めていきたいと思っておりますので、その点、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

以上、恋人・夫婦について扱いました。内容は慎重に精査した上で記載しておりますが、もし誤り等ございましたらお知らせ願います。

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