見出し画像

Webサイトの改善に役立つ、ユーザーシナリオの基本と考え方。

ペルソナがユーザーを点で捉えているのに対し、ユーザーシナリオはユーザーの行動を線で捉えることでWebサイト全体やコンテンツやデザインの改善や導線設計の検討に役立てることができます。ここではその基本的な手法とユーザーシナリオについて理解していきましょう。

ペルソナについては下記をご参照ください。

ユーザーシナリオとは?

ユーザーシナリオではユーザーがどのようなきっかけや理由でWebサイトに訪れ、Webサイト上でどのような行動をたどり目的を達成していくのか、さらに目的を達成した後にWebサイト外でどのような行動をとるのか、その一連の流れをストーリーで描き可視化していきます。ここで言うユーザーはペルソナを想定するのが一般的です。

例えば次のようなものがユーザーシナリオになります。

敏感肌の山田一郎さんは近頃肌荒れに悩んでおり、低刺激でしっとり潤い、保湿ができるスキンケア商品が欲しいと思っていました。①早速、検索エンジンで「スキンケア 敏感肌」「敏感肌 乾燥 化粧水」「メンズ 化粧水」といったキーワードで検索し、当社サイトのスキンケア商品のページに到達しました。②そこでコンテンツとして掲載されていた化粧水の原料や製造方法、特徴等を知りこの商品に興味を持ちました。

③後日、競合他社の似たような製品とも比較検討し、当社の製品の購入手続きへ。④購入手続きの際にその他の商品とセットで購入した方がお買い得なことを知り、セットで購入することに。⑤コンビニ支払いが面倒だったためクレジットで一括決済。⑥平日夜の購入手続きだったため翌日には配送開始。3日後に東京の自宅に到着しました。

早速その日の入浴後に使用し、使用感も良く満足。⑦翌日、SNSで当社ページのURLを貼り口コミを紹介してくれました。

さて今回の場合、山田さんが商品を欲し、購入し、購入後に商品口コミを拡散するまでに上記のようなシナリオが考えられますが、このシナリオからは次のような課題が抽出できそうです。

①検索エンジンで検索したときに当社ページがある程度上位表示されること
②商品の特徴を詳しく説明すること
③競合他社の同一商品と比較した時に優位となる部分やメリットの訴求をすること
④決済前にカート内で初品の追加がスムーズにできること
⑤クレジットカード決済を含めた柔軟な決済方法を揃えること
⑥配送状況などがわかるような配慮
⑦SNSでシェアされる際の適切なOGP設定

このように、Webサイト内外でのユーザーの一連の行動を展開することで、ユーザーにとって必要なコンテンツや機能などの要件が明らかになり、課題抽出と改善に結びつけるきっけけとすることができます。

サイト規模が大きかったり、場合によってはペルソナと同様ユーザーシナリオも複数のパターンで描くケースがあります(後日別の製品をこう場合や、製品を返品する時の場面など)。課題抽出は担当ディレクターやマーケターだけではなくデザイナーやエンジニア、クライアントを交えて行うのが理想です。1人で見るより複数人で多角的に見ることで見落としがちな課題も拾うことができますし、各々の専門分野の視点から見ることで様々な角度からの有効策を抽出できるからです。

ユーザーシナリオから導線設計を考える

先ほどのユーザーシナリオから、ユーザーがたどる検索エンジンから商品詳細ページ、SNSでのシェア行動までの導線がイメージできますね。これを手がかりに、サイトにどのようなコンテンツを置くのかをはじめ、Webサイト上でどのような導線設計をすればユーザーが目的を達成できるのかを考えていきます。

例えば以下のような点です。

①今いるページからどのコンテンツ・ページに移動してもらいたいか
②ユーザーが移動したくなるタイミングはどこか
③移動してもらうためにどのような手段を整備するのか(リンクやボタン)
④移動した先がユーザーの目的に沿ったものか

例えば自社リクルートサイトの場合であれば「求人応募」のボタンはどこに配置すべきか。ページの冒頭なのか、説明記載が終わった直後に置くべきなのか、もしくは数カ所に配置した方がいいのか、といったことも考えます。「求人応募」ボタンの先にどのようなページを置くのか、さらにどのタイミングで「求人応募」ボタンがあれば求職者にとって自然かを考えることで、ユーザーにとって適切な導線を設計していきます。

現代ではさらに、1人のユーザーの行動プロセスがPC以外の複数のデバイスにまたがるのが当たり前となりました。例えばスマホでSNSを見ていた時に友達がある商品を紹介していて、後日その商品につてPCで詳しく調べて購入するなどがそうです。このようなユーザー行動までも網羅していく新たな手法として、近年ではカスタマージャーニーマップが使用されるようになりました。

カスタマージャーニーマップのメリットとは?基本を解説

近年ではユーザーシナリオとは別に、カスタマージャーニマップを用意するケースが増えてきました。ユーザーの行動をシナリオ化すると言う意味ではユーザーシナリオと同じですが、大きく違うのはカスタマージャーニーマップではオンラインとオフライン、さらにデバイスの種類も問わずユーザーと情報の接点とそこで生じるユーザーの感情の起伏までを可視化していく点です。

例えば山田一郎さんのスキンケア商品のプロセスで考える場合、ユーザーシナリオでは検索エンジンやSNSといったオンライン上でのみの接点を想定するのが普通ですが、カスタマージャーニマップの場合はテレビで商品を知った、店頭で実際に触ってみた、インターネットで商品の特徴や口コミを見た、他社製品と比較検討した、購入し自宅で使ってみた、といったオフラインを含めた一連の行動全てをイメージし想定ていきます。ユーザーシナリオの範囲を超えた物になるので、言うなればユーザーの行動「全て」を検討しWebサイトやSNSといった限られた接点以外の部分を改善していくためより高いレベルでのシナリオの最適化につながるわけですね。

ただし、カスタマージャーニーマップはオフラインの課題抽出を含めているため、ユーザーとのオフライン接点(オムニチャネルなど)での改善が求められている場合は効果的ですが、Webサイト改善に絞る場合はサイトそのものの品質向上に努めた方が効率的です。課題範囲にに合わせてうまく使い分けましょう。

以上、ユーザーシナリオの考え方と課題抽出の流れについて簡単に説明しました。現代ではユーザーの行動をマップ化する際はカスタマージャーニを使った方がより本質的な課題に迫ることができますが、カスタマージャニーマップもユーザーシナリオの概念の延長にあるものなのでここでしっかりとその概念を理解しておきましょう。


この記事を配信している『URBAN』では即戦力のWebディレクター・マーケターをお客様のプロジェクト専属で起用することで『結果の出るサイト企画』を「高いコストパフォーマンス」で提供しております。

Webサイトに関することでしたらお気軽にご相談ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?