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お母さんは知らない。

同じくらいの子供を持つお母さんとの、何気ない会話だった。

自分の娘には「女の子として生まれたのだから1度は結婚をして子供を持って欲しいよね」と、そのお母さんは何気なく言った。
わたしは一瞬 戸惑って言葉を失ってしまった。

わたしにも娘が2人いる。でも結婚をして子供を持つのが当たり前とは思っていなかった。

職業柄、色々な人と出会いがある。そんな中、女の子になりたい男の子や、男でもなく女でもない子も普通にいる。親に話せなくて悩んでいる子も結構多い。

わたしはそもそも性別に対して無頓着なのかも知れない。

物心ついた時には、男の身体を持つ 心は女のおじさんが身近にいたのだ。
わたしはその綺麗なおじさんが大好きだった。
家に遊びに行けば、キチンと整理された部屋に、趣味のいい飾り物が置かれていて、良い香りがして、生活感のないとても素敵な部屋だった。綺麗なおじさんが憧れでもあった。
でも 時代的には 人目を憚りながら 世間からは後ろ指を刺され 生き辛かったのかも知れないな、と思っている。

もし子どもが、違和感を言えずにいたとしたら?
もし子どもが、性別が分からず苦しんでいたとしたら?

「女の子として生まれたからには、1度は結婚して子供を持って欲しいよね」なんて お母さんに言われたら、その思いはきっと口にしなくなってしまうのだろう。

そしてそれを知らないのは 正しくそれを言う、そのお母さんなのだから…。

胸が痛い。

そのお母さんは知らないから仕方がないと思うのだけれど、人を傷つけるのは 何気ない言葉なのだと気付かされる。

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