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【SNK】時空の歪み【侍魂】

 前にも書いた、初代『サムスピ』当時のサンフランシスコはまだアメリカ領じゃなかったうんぬん、的な話。
『サムスピ』というのはモチーフが時代劇だからか、公式ストーリーや設定面に歴史的なガジェットが入り込んでくることが多い。ただ、一部のキャラでそのへんの要素にミスというか矛盾というか齟齬というか、「ん?」と首をかしげたくなるところがまま存在する。その筆頭が初代『サムスピ』の十兵衛である。
 ぼくはこの件に関して、時代背景が1788年に設定されていた初代『サムスピ』が、実は途中まで1600年代中盤を時代背景として作られていたのではないか? と推測している。そう考える一番の根拠は、登場キャラのひとりである柳生十兵衛の設定とストーリーである。

 ご存じのかたはご存じだろうが、『サムスピ』に大きな影響をあたえた山田風太郎の『魔界転生』は、実在の武士である柳生十兵衛三厳が主人公、復活した天草四郎時貞が敵役となっており、舞台となる時代は1600年代中盤である。一方の初代『サムスピ』は1788年が舞台であり、ゲーム中の十兵衛は隻眼で新陰流の使い手という点こそ一致するが、宮本武蔵のような二刀流だし、そもそも時代が違うので、十兵衛三厳とは明らかに別人である。
 まあ、十兵衛というのは武士によくある幼名なので(明智十兵衛光秀とかな)、もしかするとゲームのほうの十兵衛も、実は十兵衛信長とか十兵衛秀吉みたいな名前という可能性もなくはないわけだが、それはともかく。

 明らかにゲームの十兵衛と実在の十兵衛三厳は別人であるはずなのだが、初代『サムスピ』の十兵衛のストーリーは、なぜか1788年ではなく『魔界転生』と同じ1600年代中盤を背景として描かれている。
 たとえば、土佐のしがない武士の子に生まれた十兵衛は、幼少期にその剣の才能を柳生宗矩に見出され、その養子になったとされているが、実際の宗矩は十兵衛三厳の実父で1646年に死んでいる。また、十兵衛のエンディングでは、魔人・由井正雪が現れたと聞いてその討伐に向かう姿が描かれているが、正雪もまた1651年に反乱に失敗して自決しており、時代が合わない。
 ちなみに宗矩も正雪も、『魔界転生』では天草と同じく敵側である。

 ここでぼくは考えた。
 ひょっとして『サムスピ』は、『魔界転生』をモチーフとして開発が進んでいた時期があるのではないか? もちろんぼくも、ムックなどでの開発スタッフのインタビューから、『サムスピ』はもともモンスターが登場するベルトスクロールとして企画がスタートした、ということは知っている。
 ただ、それが江戸時代の侍をモチーフにしたものに変容し、当時の流行に合わせて対戦格闘モノへと変更されたあたりで、『魔界転生』への色濃いオマージュが持ち込まれたのではないか?
 ただそれが、
「さすがにまんますぎてやばいかな……? 直す? 直そうか……?」
 ということになり、時間軸を150年ほど後ろにずらしたのではないか? その名残があの判りやすい天草四郎というキャラ、そしてそのデザインであり、1600年代中盤から1788年へと時代設定の変更があったにもかかわらず、うっかり十兵衛にだけはその変更が反映されていなかったのではないか? とぼくは推測しているのである。推測。個人の感想です。
 ……まあ、十兵衛のストーリーにはこのほかにもツッコミどころがあるのだが、今回は割愛。なお、『真サム』以降のストーリーでは、ちゃんと十兵衛も1700年代終盤の天明期を生きている。

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老中はもちろん、将軍にじかに会えるということは、十兵衛ちゃんは旗本なのだな。

 とにかくこのように、ガルアース以外にも、大きな矛盾をはらんだキャラはいるわけだが、次回はいよいよみんなの魂のキャラ、王虎に立ち帰ってみようと思う。


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