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「愛せよ」嬉野さんの言葉の切れはし#349

洋の東西を問わず。
おそらく手放しに好かれて嫌な気のする民は無く。
その好奇心でもって体外へ滲み出す「楽しくてしょうがない日本人」オーラが分かり易く、ゆえに、どこへ行っても現地の民に可愛がられるのでしょう。

愛せよ。さらば与えられん。

ーー嬉野雅道

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インドへ旅立っていた女房が、帰ってまいりました。

女房が撮った写真をチラチラみましても、
いたるところで怪しげなインド人と仲良く記念撮影をしております。
いやいや、あやしげなというのは、当方の偏見で、
どれも気さくなインドのみなさんだったようでございます。

呼び込みのお兄さんの大挙する香辛料屋街で、
出された香辛料を嗅ぎまわり、

「NOだ!」
「これもNO!だ」

と言い募り、
すっかり香辛料屋の親爺の闘志に火をつけ、
親爺、鼻息も荒く、店の奥からとっておきの逸品を持ち出し、

「日本人。これはどうだ。最高級品だぞ」

と名誉挽回の雪辱戦。

女房これをひと嗅ぎすれば、妙なる香りに食欲増進、
思わず笑みこぼれ親爺を見る。
親爺も会心の笑みにて交渉成立。

「日本人。汝は、いかほど買うのだ」

と聞けば、女房答えて言うには。

「4キログラムである」と。

これを聞いて親爺、驚き、目を剥きながら、

「汝は、レストランの買い付け係か」と、問えば、
「買い付け係りにあらず、我は、レストランのオーナーなり」

と女房、嘘を言い。
親爺、恐れ入って女房にかしずき、
いくばくか値引きしたとのこと。

アフリカへ行けば、アフリカ人に好かれ。
今また、インドへ行けば、インド人に好かれるという。
うちの女房のその辺のからくりは、いったいどのあたりにあるのだろうとかと、常々思いめぐらしておりましたが、

あぁそうか、おそらく女房は行く土地土地の、その町、そこに住む人々に対して、モーレツなる好奇心を抱き、楽しくてしょうがない。嬉しくてしょうがない。

洋の東西を問わず。
おそらく手放しに好かれて嫌な気のする民は無く。
その好奇心でもって体外へ滲み出す「楽しくてしょうがない日本人」オーラが分かり易く、
どこへ行っても現地の民に可愛がられるのであろうなぁと、今回思ったわけでござそうろう。

愛せよ。さらば与えられん。

ーー嬉野雅道(水曜どうでしょうディレクター)


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