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つながり活動 〜 自転車でつながる 〜

風に吹かれながら、今日も爽やかに川沿いのサイクリングコースを走る・・・。

そんな話ではない。

今日もカンカン照りの中、ケアマネージャーのお仕事として、

汗だくになりながらも自転車を漕いで、担当する利用者のご自宅に訪問する。

自転車で少し細い道を入ったその時のこと。

私が進む反対方向から、

ロングスカートの裾を握った、

自転車に乗った女性がこちらに向かって走ってくるのが見えた。

それに気づいた私は、

細い道のため余裕を持ってすれ違うことができるように、

走りながら少し早めに端っこに自転車を寄せる。

私が左側にハンドルを切る。

すると、

向こう側から来る自転車の女性も、

私がハンドルを切った同じ方向に自転車を寄せてきた。

それを見た私は、距離が詰まらないうちに、

今度は右側にハンドルを切り返す。

すると向こう側からくる女性も、

また私がハンドルを切った同じ方向に自転車を寄せる。

「あらららら」。

これではいけないと、

もう一度、

左側にハンドルを切り返すと、

またまた女性も同じように、

私がハンドルを切った同じ方向に自転車を寄せてくるではないか。

近づく自転車。

「 えっ、あ、おーーーっ 」。

互いにオリジナルの声を上げながら、

互いに生まれたての子鹿が立ち上がる瞬間のように、

右に左に小刻みにハンドルを揺らしながら、

とうとう自転車は大接近してしまう。

「 あ、あぶないっ 」

「 ギ〜〜〜〜〜〜〜っ 」。

間一髪、

お互いの自転車が、

前輪のタイヤをすれ違わせる形で止まった。

私は思わず吹き出してしまった。

互いに気遣って先に避けようとしているのに、

全く息が合わず(いや、息が合いすぎてしまったのか)

優しさや気遣いがすれ違ってしまったのと、

うまく避けられなかったドジな自分にも笑ってしまった。

お相手の自転車の勢いを止めてしまった申し訳なさで、

「す、すいません (笑)」と私が言うと、

お相手の女性も、

「 す、すいませ〜ん (笑) 」と笑顔で応えてくださる。

なんて清々しい。

この場面で、

ムッとした顔をされたり、ブツブツ文句を言ったりする方もいるだろう。

ロングスカートを履いた女性は、

「 私、自転車の運転が下手なもので・・・」

と、その後も恥ずかしそうに言葉を付け加えてくださる。

なんて清々しい。


人が咄嗟にする反応や、何かに追い込まれた時の反応というのは、

その人の根っこの部分や、その時の精神状態が見えてしまう。

この女性は、

なんとも言えぬ清々しさを感じさせてくれた。

思わず、

『 シャル・ウィ・ダンス?? 」

と言ってしまいそうになる程の。


生きていると、

時に嫌なことや悲しいことは訪れてしまう。

でも、

日常の小さな出来事で、

優しさや気遣いのエナジーを補給できる時がある。

そうして、

人と人とのつながりの中で、

優しさエナジーを貰いながら、

もう一度、顔を上げて生きていくのだ。


「 自転車でつながる 」 。

お互いに軽く会釈をして、

それぞれの方向に顔を上げて、

再び自転車を漕ぎ始めた。


優しさエナジーをもらった瞬間、もう自転車は必要なかった

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