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#生き方「ここにいると、言ってくれ」

大学時代、

エイプリールフールの日に、

私と友達とで協力して仕掛けた、

ある友達への嘘の話。



4月1日が誕生日の、

騙してくださいみたいな日に

生まれてきたK君という友達がいた。

当時、必ず春になると、

友達みんなでK君を騙すことが恒例だった。

高校時代からの付き合いで、

可愛い嘘はもう何度もついてきたので、

今度は手の込んだものを考えようと

友達同士で話し合った。

思いついた内容というのは、

「K君ドキドキ誕生日パーティー!」。

仲のいい友達を呼んで

K君の誕生日会をするというのを

2週間くらい前から本人に伝えて、

誕生日会への参加を取り付けた。

うりもの家で4月1日(土)夜7時から

友達をたくさん呼んで、

誕生日パーティーを開くので、

絶対に来てほしいと念を押した。

K君も、

今までにないパーティーということで、

誘いをとても喜んでくれた。

次に、

サプライズでK君の彼女も呼ぶことにして、

嘘とは関係ないが、

彼女も呼べば、

これからつく嘘も、

より面白くなるなと話し合い、

K君には内緒で

彼女にサプライズゲストとして、

パーティーに参加することをお願いした。

彼女も快く引き受けてくれた。

ここからが腕の見せどころだった。

K君を誘った数日後に、

別の友達グループで、

K君とは幼馴染の

Tくんにも協力してもらって、

4月1日(土)の夜7時半に、

居酒屋でコンパがあり、

急に人が足りなくなって、

どうしても

きてほしいことをK君に強く伝えてもらった。

もちろんコンパは全くの嘘の話で、

K君にとっては、

Wブッキングの状況になるようにしたのだ。

T君がその話を伝えたら、

K君はどんな反応するか。

どっちを選ぶのか。

4月1日のエープリールフールに合わせて、

準備を進めた。


T君がK君に伝えた時の様子を聞くと

K君は「その日、用事があるねん」と、

正直に答えたらしい。

ただ、

「でも、その用事を

 早く済ませて

 合流するわ!」

と、さらに正直に答えたらしい。

まずいことになった。

さすがに彼女には伝えられない。

申し訳ないが、

彼女には何も言わず、

当日のK君を信じて、

嘘を突き通すことにした。

前日までK君は、

私達にコンパがあるということは

ひと言も漏らさなかった。


そして当日を迎えた。

まず私の家で予定通り、

K君と友達4人くらいで

本格的なパーティーを始めた。

割と早い段階で、

家のチャイムを鳴らしてもらって、

彼女が来るサプライズを

まずは実行した。

すると、

K君の顔色が急変した。

それと同時に、

かなりソワソワし出した。

この様子を見て悟った。

おそらくK君は、

この誕生日会を抜けて、

コンパに行こうと思ってるなと。

でも予想外に彼女がきてしまった。

おそらくそんな状況に

追い込まれているのだと

手に取るように理解できた。

一方で、

幼馴染のT君には

事前に打ち合わせをしていて、

T君からエイプリルフール男K君に、

誕生日パーティーが始まった頃にポケベルで、

メッセージを送って貰って、

「今日の女の子、

 めっちゃ可愛いから、

 早めにきてな!」と

追加情報をK君に

流してもらうことになっていた。


誕生日会が始まって

30分くらい経ったらくらいから、

K君がいよいよ動きだした。

一旦トイレに行って、

部屋に戻ってきたK君は、

「ごめん、ちょっと連絡あって、

 家に帰らなあかんようになったわ」

と言い出したのだ。

彼女が目の前にいるのにも関わらず、

一体どうする気なのか。

こちらもドキドキし出した。

全く事情を知らない彼女がいてる手前、

私達も必死に、

「えっ、なんで、

 せっかく誕生日会やのに!」

と言って、

引き留める声かけを始めた。

しかしK君は

「いや、

 せっかく、

 祝ってもらったんやけど、

 早めに帰らなあかんみたいで‥」

と帰る方向性を曲げない。

頼む、K君。

ここにいると、言ってくれ。

私達は何度も願った。

もちろん彼女は、

Wブッキングのことは知らないので、

そんな彼女もK君の姿を見て、

友達が開いてくれたパーティーを

断りにくくなってると捉えたようで、

K君に協力するように、

「じゃあ、私も一緒に帰るわ」

と言い出した。

するとK君は、

益々ドギマギして、

「いや、さすがに誕生日会を

 みんなでやってもらったから、

 俺の代わりに参加しておいてほしい」

と彼女に告げたのだ。

男友達みんなはもう、

緊張と笑いで、

頭がおかしくなりそうになっていた。

ここまで必死になるのか、

K君よ。

彼女より、

コンパが好きだと、

言っているようなものだ。


こうなると、

K君にも彼女にも

申し訳無くなってきたので、

T君に私から連絡をして、

打ち合わせどうりに、

コンパに誘ったT君が

うりも宅に現れることで、

K君に事実を知らせる形を急いだ。

T君が来るまでの間も、

K君は

「うわっ、なんかお腹も痛くなってきだぞ、

そろそろほんまに帰らなあかんわ‥」

と急ぎ出すことをやめなかった。

ブレない男だ。

それを見た彼女も、

心配そうにK君を見つめ、

「あと15分したら出発しよう」と、

妥協案をみんなに提示した。

健気な彼女だ。

こんなにT君の登場を

待ち侘びたことはなかった。

そして自宅のチャイムがなった。

まるで黄門様の登場のようだった。

ホッとした。

急いできてくれたのであろう。

T君が部屋に飛び込んできた。

「誕生日おめでとう!」

と言って、

雰囲気を変えるように、

プレゼントの箱を

さっそくK君に渡してくれた。

K君は、

なぜかうりも家に現れたT君を見て、

あっという間に、

キョトンとした表情になった。

プレゼントにつけていた

メッセージカードに

「エープリルフール!

 飲み会は嘘でした!

 彼女を大切に!」

と書いてあるのを

K君がコッソリ読んで、

K君がうつむき出した。

そして

顔が真っ赤っかになって、

だんだん、

K君もニヤッと笑い始めた。

その姿を見た彼女が、

急に笑い始めたK君を心配して、

「もう帰ろう」って

荷物をまとめ出した。

今度はそっちの方で

K君もどうしたらいいか

わからなくなっていたが、

またわざとらしくポケベルを見て、

「あっ、もう大丈夫になったみたい」

と彼女に説明して、

そのまま誕生日会に参加することに

切り替えた。

そこからは、

お詫びをするように、

盛大に誕生日のお祝いをした。

家の冷蔵庫にあった卵も、

全部使った。


その後、

K君と彼女は、

数ヶ月後、

誰もが想像できるような

結果になったことは言うまでもない。


あの頃の私達は、

嘘を考えるのが、

行き過ぎてしまっていたようだ。

幸せになれるような、

嘘をつくべきだと、

ようやく学んだ出来事だった。



<本日のスタエフ>

褒め褒めします♡

本日、

4月3日(水)21時30分〜。

初めてのライブ。

「他力本願寺ライブ」。

皆さんから会話のネタをもらい、

他力本願で進めるエセ住職の

スタエフライブです。

頂いた会話(お布施と呼びます笑)に対して、

褒め褒めのお言葉をお伝え致します。

良いつながりエネルギーを

共有し合いましょう。

是非、

当寺に遊びにきてください。

合唱っ🙏笑。


<エイプリルフールにライブしました!>


笑える内容となっております🎙️✨。
気分転換にお聞きください😊。


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