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八戸【詩】

犯罪都市、八戸シティー
この街の平和を守る者たちに安息の時はない

それはおもに雪のない季節の週末
市内数ヶ所で、まだ日の昇らぬうちから
彼らは密かに活動をはじめる
わずかな時間で
手際よく築きあげられるその場所に
日の出とともに取引相手が姿を現し
品物と現金が交換されていく
取引が終わると
彼らはやはり手際よく撤収して
そこには何の痕跡も残ってはいない

冬の明け方にもまた
恐るべき犯行の気配が漂う
市中心部某所、フェンスで囲まれたそこから
乾いた打撃音が鳴り響く
防具に身を固めて
靴に鋭い刃を仕込んだ子供たちから
何度も何度も、それは執拗に打たれつづける

また、七夕祭りでは
港付近の会場でUMAが目撃されている
その生物は通行人をひきつけておいて
不意打ちのように火を吐いたという
河童ではないかという話もあるが
未だ捕獲に至らず、それは推測の域を出ない

野鳥に餌を与えるのは
幼鳥が狩りを覚えられなくなる
などの弊害があり
もちろん御法度とされているが
ここの住人は、ちょっとつつけば
うみねこはかっぱえびせんが好きだ
と、口を滑らせる

右を向いても左を向いても
一線を越えてしまったものたちが跋扈する
犯罪都市、八戸シティー
この街に、安息の時はない

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