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「好きな作曲家」と性差別

 なんか御大層なタイトルになってしまったのだが、そんなに大上段に振りかぶるつもりは毛頭ない。ただ素朴に疑問をもっただけだ。

「ブルックナーを聴くのは男性ばかりだ」
「女性にはこの良さがわからんのだよ」

 こういう言い方は、いったいいつからメジャーになったのだろう。

 自分自身もこの言い回しに、さして疑問をもたず「そうだよなあ」と思ってきていた。だが、なぜそういう認識になったのかの答えは知らない。

 シンプルにこの疑問をつぶやいたところ、いろいろな反応を得た。
 女性のフォロワーさんからは「女にはブルックナーはわからないと言われて悔しく、いっぱい聴いた」という話をきいたり。
 男性の、たぶん年上の方から「朝比奈隆がブルックナーを日本に広めた時、彼に男性ファンが多かったことが原因しているのでは」という意見をいただいたり。
 同意も反対もとりまぜた意見があがった。大真面目に研究しようとするととてつもない労力がかかるだろうことも理解した。
 こちらをおちょくるような引用リツイートもあったが、これはブロックして終了。だいたい令和にもなって「www」とかダサい。

 ホルモンバランスの違いなどによって、男女の体つきに差があったり、子育てに対する体の働きが違ったりすることは最近常識になりつつある、と思う。
 だから今更考え直そうとしたのだ。本当に男性ばかりがブルックナーを聴いているのか。男性のみにわかる「なにか」がそこにあるのか、あるいはないのか。20世紀の、性差別のおおきかった時代に男性だけに浸透した音楽だったゆえの差だったりしないのか。

 個人的には何を誰がどう聴こうが個人の自由だと思う。この意見はたぶん死んでもかわらない。こどもが電車で遊ぼうがリカちゃん人形にはまろうがそこに「男の子」「女の子」という目線は要らないと思うし、男性が白昼堂々フルーツパーラーに入ってパフェを食べようが、女性が日の高いうちから立ち飲み屋でビールをあおろうが個人の自由だ。それらと同じくらいに。
 そして、30数年生きてきたなかで自分の脳にこびりついた古いステレオタイプの垢を、気づいたタイミングできれいにこそげとって、ちょっとづつでもいいから価値観をアップデートしていけたらいいなあと思うだけなのである。

 シニシズムで武装した方々は、こんなみっともない投稿を見て笑うかもしれない。冷笑してなにか成長できるならわたしもとっくにやっているだろう。それじゃなんにもならんと思うからこそ、こうしてみっともなくあがくだけだ。

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