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誰も知らない国から

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転校生の天野君は、なんだか不思議な人だった。 有泉は、一緒に掃除当番をしながら、彼に興味を持っていく。 「僕はね、誰も知らない国から来たんだ」 「……はあ」 「そこは、名前のな… もっと読む
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記事一覧

誰も知らない国から 23

どこへ……どこかへ④  ころっと寝れたのはよかったけど、その反動でなのか、早くに目が覚め…

高田朔実
5時間前

誰も知らない国から 22

どこへ……どこかへ③  舗装されていないながらもそれなりに平らだった道路は、次第にぼこぼ…

高田朔実
1日前
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誰も知らない国から 21

どこへ……どこかへ② 「こういう弦楽器を持ちながら旅して、即興で歌を作ったりして、お金を…

高田朔実
2日前
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誰も知らない国から 20

どこへ……どこかへ①  そうしてまた一週間が経った。  来たばかりのときは満月に近かった…

高田朔実
3日前

誰も知らない国から 19

再び山の上⑤ 「サリリは、陽が出るところを何度も見に行ってたの?」 「うん、戻って来たら…

高田朔実
5日前

誰も知らない国から 18

再び山の上④ 「この国には、旅人がたくさんいるの?」 「旅人も他の職業と同じで、ある程度…

高田朔実
6日前
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誰も知らない国から 17

再び山の上③  家族の顔を思い浮かべてみる。多分彼の言う通りだろう。私ですら、黙って一人で出ていくことは、よほどのことがない限りしないし、できない。 「それが悪いわけではないよ。多くの人がそうだし、こういっちゃ悪いけど、君らくらいの年ごろの子が一人で旅をしていたって、悪者に騙されていいように利用されるだけだしね。窮屈でも、ある程度生き延びる力を身に着けないと、やたらめったら冒険はできないものだ。  サリリだって、旅人の石があったから普通の子よりは断然危険が少なかったわけだけ

誰も知らない国から 16

再び山の上②  本といえば、あの少年は、ここでゆっくり腰を落ち着けて本を書きたいとか言っ…

高田朔実
8日前
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誰も知らない国から 15

再び山の上①  日向ぼっこを始めてからいったい何時間経ったのだろう。もうあくびしか出てこ…

高田朔実
9日前
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誰も知らない国から 14

モナムを訪ねて⑤ 「その鳩は、どうなったの?」 「旅の途中で、新たな居場所を見つけて、そ…

高田朔実
11日前

誰も知らない国から 13

モナムを訪ねて④   私も、袖の下で旅人の石をはずそうとしてみる。手芸屋さんで買ってきた…

高田朔実
12日前
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誰も知らない国から 12

モナムを訪ねて③  今は何時くらいなんだろうと思う。腹時計によると、午後三時をちょっと過…

高田朔実
13日前
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誰も知らない国から 11

モナムを訪ねて② 「毎日同じ景色の中で、同じことをして、同じような日々がずっと続いていく…

高田朔実
2週間前
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誰も知らない国から10

モナムを訪ねて①  目が覚めると、窓の外の平原をダチョウが駆け抜けて行くのが見えた。  一瞬、ここはどこだったっけと思う。隣でまだ眠りの世界にいる、このバスの中でたった一人の見知っている人を見て、ああ、と思った。  思い出してみたところで、もちろん、ここがどこだか正確に説明できるわけではないのだけれど――、もし地図があったとして、その上で「今だいたいこの辺にいる」と示すことはできたとしても、地図の上でどう表されているかということは、この場所が持っているいろいろな要素の一つに