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社会人留学振り返り

みなさまご無沙汰しております。お元気でしたでしょうか。
私は元気に日本でエンジニアをやっております。フリーランスでのエンジニアは半年ほどでやめ、現在は六本木のとある会社で正社員としてWebエンジニアをやっています。エンジニアとしての経験値は低いので日々精進、日々勉強です。

さてまたなぜ筆をとることになったかというと。

昨年、留学から帰国してすぐの頃は東京の人込みにうんざりしたり、日本の会社の文化に戸惑ったりと、逆カルチャーショックによるストレスをしばしば感じて、時々ほんとにハンガリーに帰りたいなあ、、、なんて思う日もありました。留学していた当時は、あんなに文句を言っていたのに笑、
帰国してしばらくは、住んでいたアパートの夢をよく見ていたりしました。喉元過ぎれば熱さを忘れるとはまさにこのことです。ないものねだりですね。

そして、帰国してから早くも9カ月が経過しました。

もうハンガリーの夢をみることはなくなったし、日本の会社の文化の感覚も慣れと諦めが出て、徐々に日本人に戻っているのを感じています。

そんな今振り返って、改めて留学していた1年は自分にとってどんな意味があったか、ということを考えています。

どんな学びも経験も、いずれは色褪せ忘れていってしまうものなので、いまここでまとめて書きとめておきたいな、と思います。

***

帰国して1週間は、転入届や税金関係などの色んな事務手続きを役所でしたのですが、期待以上にスムーズに進む事務手続きで、日本人の仕事のクオリティ・スピード感の高さに大変驚いたのを覚えています。
安くておいしい日本のごはんにありがたみを感じ、と同時に円安ジャパンも感じ。そうこうしているうちにあっという間に1週間は過ぎていきました。

帰国して2週間後から現場エンジニアとして着任したため、毎朝通勤ラッシュの電車に乗って通勤を始めました。
日本よりもずっとパーソナルスペースが広めのヨーロッパに居たため、人との距離の近さに違和感を感じました。人、近すぎだろ。

友人と一緒に外出しているとき、エレベーターに乗ろうとしたのですが、ほぼ満員でそのエレベーターが到着したため、乗れないな~と思い、次のエレベーターを待つ気でいたら、友人がさっさとそのほぼ満員のエレベーターに乗っていき、「何してんの?乗らないの?」と言われ「え?これ乗れるの??」と驚きながらエレベーターの扉のギリギリ手前に足を置いて乗ったのを覚えています。東京の人、他人との距離が近いことに慣れすぎている。

ヨーロッパと圧倒的に違うのは都市部に居る人口の多さなんですよね。
なんてったって東京は都市人口世界1位。

1位 東京 37,194,105人
2位 デリー(インド) 32,941,309人
3位 上海(中国)29,210,808人
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https://worldpopulationreview.com/world-cities

このランキングをずっと下に見ていくと、ヨーロッパの都市が出てくるのは30位のパリで、11,208,440人。東京の1/3以下です。

この人口の多さは海外の人から見ると異常だと感じるでしょうし、だからこそ渋谷のスクランブル交差点を観光客がこぞって見に行くのも分かる気がします。

余談ですがランキングを見るとアジア圏の国が上位を占めており、アジアは世界でも人口が多い都市が多い傾向にあります。アジア=人口が多い、という印象を持っている人も少なくないでしょう。
その理由は米食にあるという話を聞いたことがあります。欧米や西欧の国で主食のパンの原料小麦は、栽培面積あたりで賄えるカロリーが米の栽培面積あたりで賄えるカロリーよりも少ないため、米食のアジア圏の人口が増えたんだそう小麦食圏よりも増えたんだそう。お米は小麦より栽培面積が少なく、それでいて小麦より高いカロリーを人間に提供できるみたいです。
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010846075.pdf

そのため、日本は人口が多い分、システマチックに物事を進められるような社会体制にしているのも理にかなっているというか、そうせざるおえなかったのも理解できます。

例えば、留学していたハンガリーの授業ではプログラミングの演習の授業は1クラスあたり10~20人で授業を開講していました。そのため、先生との距離が近く、生徒ひとりひとりの顔と名前を完全に覚えている先生もいましたし、先生と仲良くなると積極的に授業中に当てられたり、「maki, この間のミニテストの解答あれなに?!wちょっと、説明するから来て!」と親身になって教えてくれる先生もいました。(あの学校では一番良い先生だと感じました)

またさらに数学のテストの形式もやや日本と異なりました。日本だと所定の解答用紙が配られ、算出した答えに対して〇か×が付きますが、留学していたクラスの数学のテストは解答用紙に白紙のA4を使用します。白紙のA4に計算式を綺麗に書き、回答を最後に書きます。教授はこのA4の紙を回収し、途中式から採点をしてくれます。つまり最後に計算ミスをして答えが間違っていても途中式まで合っていれば半分程度スコアをくれるようになっていました。前者の方法の日本式だと先生側の採点は楽で速いですが、生徒は完璧にミスしないで計算することが求められます。後者の方法だと先生側の採点の負担はかなりありますが、生徒は計算を導く方法や思考が合っていればスコアをもらえるのでかなり救われます。ただ採点に時間がかかるので自分の成績を知れるまでやきもきします。笑

またさらに学習において違った点は、何かを学ぶという行為をするときに、その学習の中に「どうやってこの科目を勉強するか」の勉強が含まれるところが日本と違うと思います。具体的に言うと、日本での学習体験の多くは「これを覚えればよい」という問題と解説、参考資料が提供されて、それをひたすらこなせば点数がとれる、というようなある意味システマチックな勉強のこなし方をさせることが多いですが、そのような資料や解説は一切配られないので、自分で勉強の仕方を工夫したりや資料収集をするところから始まることが多いです。

留学中にウクライナ人のリサという子と仲良くしていたのですが、この子は授業中とても積極的に発言をしていて、いつもすごいなーと思っていました。ある時リサに「いつも積極的に発言してすごいね!でもどうして?」と聞くとリサは「そもそも黙って授業を聞く習慣がない」と言っていました。講義の授業であっても先生と生徒は基本的に対話しながら進むため、授業とはそういう態度で聞くもの、という習慣があるようです。また、何人かの留学生と話していても、自分と他人の境界線がしっかりとあって、「あなたはこういう考え方なのね!」と、相手と自分が違う考え方であってもリスペクトしながら会話や議論ができる子が多いので、昔の自分と比べ、その子たちがとても大人びて見え、驚きました。

こういった教育文化の違いから、おそらく日本よりも海外のほうが一人ずつの問題解決の能力の育成がしっかりなされたり、個人の創意工夫を評価してもらいやすい、またミスに対してそこまで神経質にならないというような文化の違いが生まれるのではないかと、個人的に思います。

ただ、じゃあこのような教育のスタイルを日本で現実にできるかというと、かなり限られるんじゃないかな、、、と思います。ただでさえ先生不足の日本で、1クラス20人にしたら何人先生が必要になるのか。。。また、仕事内容のジャンルを細分化して担当部署を分けて仕事を分けるということをあまりしないので、全部先生が色んな仕事をこなさなくてはいけない、という点も海外と違う気がします。
もし日本が海外の教育スタイルをまねるのであれば同じように人口が多い国をお手本にした方がシステムとして取り入れやすいのでは、と思います。

人口の多さだけでは理由にならないかもしれませんが、システマチックに人を育て、人を評価する日本では、他人と足並みをある程度そろえなくてはならないのでしょう。だから多少海外の方が、自分の考えや感じていることを大事にできる感じがあるのでしょうね。

帰国してからエンジニアとして転職活動をしたのですがその中でこんな出来事がありました。某JTC大手のIT企業に応募して最終面接までいったのですが、そこに出てきた部門長らしき男性に、私の経歴(留学含む)を見て、「君は3年ごとにやりたいことが変わるね?」みたいなこと言われ、また少しネガティブなニュアンスを感じ、そのことについてとても違和感を感じました。

きっとこの人は私と違って、新卒で入ったその会社でずっと同じような仕事をしてきて、それが正義だと思っているんだろうと思いました。人それぞれ、いろんな考えも持ってていいと私は思っているので、もちろんこの人の考えは尊重できるし、私と違うものを持っていてすごいと心から思う。だけど、この時言われたニュアンスからは「否定」の意図が込められているように感じました。

この会社だけでなく他の日本の会社の面接でも、やはり社会人になってからキャリアを大きく変えたり、留学した自分に対してネガティブな側面を言ってくる人は少なくありませんでした。転職エージェントは特に「そのご年齢でそのキャリアだと厳しいです」というような感じで。リスキリングとか散々取り上げられてはいるけれど、やはりこういう「同じことをずっと続けられる人」が重宝され大事にされ正義だとされる文化はあるんだなと感じました。

大前提として、人生はみんなそれぞれ自分のものだと思っています。自分の命も自分のもの。だれかのために存在しているわけじゃない。だから、会社の都合で自分の都合が決まるのではなく、全く逆で、自分の都合で会社が決まると思っているタイプです。だけれど、日本の一部の人は、仕事や会社に不満がありながらも、めんどくさいから転職はせず、仕事が忙しくて~と言いながら体に無理を言わせ、文句を言いながらも働き続けます。自分の個人の考えよりも、世間体や自分が置かれている社会的な立場を重んじる傾向があります。

話が逸れましたが、社会人留学で得たもの、感じたことはまだまだ書ききれないくらい沢山ありますし、これからも気づくタイミングがあるでしょう。日本と海外どっちがよかったの?と聞かれたらそれぞれ良いところがある、というのが回答になります。

日本はすべてがシステム化されていて、物事の結果を想像しやすく不安がないこと、事務手続きもスムーズで、仕事のクオリティとスピードが高い。変な奴がそうそう居ない(笑)こと。何も分からない新卒に懇切丁寧に教育をして、きちんと立派な社会人に育てる文化があること。ごはんが安くておいしいこと。新しい物好きで何もかも便利なこと。日照時間が年間を通して安定していること。普通の人生を普通に生きたい人にとっては、こんな良い国はめずらしいくらい、良い国です。

私にとっては、友人と家族が住む日本はどの国と比べものにならないくらい大切で、私の幸福度に大きく影響しています。日本にも海外にも良いところはたくさんあります。海外経験した私は今までよりも一つ大きくなったと少し実感もありますし、今後もどちらの文化にも対応できるように柔軟に生きていけたらと思っています。リスペクトを忘れずに。

これからの目標としては、もう少し日本の中で自分にとって居心地のよい場所を探すことを決めています。日本の文化だけがしっかりあるところよりも、海外の文化が少し混ざっているようなところを探し、そこでしばらく生きていきたいなと。海外の友人も増やしており、今年になってからは日本に住むアメリカ出身の子と友達になりました。

社会人になってから海外にいくのは結構おすすめで、なんでかというと、色んな知識や経験がある上で海外に行く方が学びになることが多くあるからです。また、自分の中の正義や正解が作り上げられたうえで、その考えがすべてひっくりかえるくらいの経験をするため、視野や考え方、人生における幸福度の感じ方など大きく変わり、きっと帰国後の自分の方が生きやすくなると思います。

海外留学に行く前の自分は、メディアに踊らされて「日本はダメ、海外は良い」という思考に陥っていたのですが、今はそんな簡単に他人の言うことを信じなくなりました。実際に海外で留学をする経験をすると、自分なりの考えができ、書かれている情報や考えと自分の考えを分けて考えられるようになったみたいです。

私が海外留学をして得られたことはこんなところかな。また思いついたら加筆します。

ではまた。


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