日本の美意識 ~世阿弥『花鏡』より~

舞台上での余白の美を言語化したのは、世阿弥なのだろう。動作と動作の間(隙)がよいのだと。"見所の批判にいはく、「せぬところが面白き」などいふことあり。”『花鏡』

『世阿弥芸術論集』(校注者:田中裕、平成30年、新潮社)より以下引用

" 見所の批判にいはく、「せぬところが面白き」などいふことあり。これは、為手の秘するところの安心なり。
 まづ二曲をはじめとして、立ちはたらき・物まねの色々、ことごとく皆、身になす態なり。せぬところと申すは、その隙なり。このせぬ隙は何とて面白きぞと見るところ、これは、油断なく心をつなぐ性根なり。舞を舞ひやむ隙、音曲を謡ひやむところ、そのほか言葉・物まね、あらゆる品々の隙々に心を捨てずして、用心を持つ内心なり。この内心の感、外に匂ひて面白きなり。"『花鏡』

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