インドシタン(Pterocalpus indicus)の発芽と熱帯作物の近況

輸入してから放置していたインドシタン(Pterocalpusindicus)の発芽に成功した。発芽といっても、あっけなく発芽してしまったので育てている熱帯作物の近況についてもついでに書く。

インドシタンとは

生息地は東南アジアで学名は「Pterocalpus indicus」。呼び名がいくつもあるので、いまいち呼び方がはっきりしない。
呼び名の例を挙げるとインドシタン、カリン、インドカリン、アンボンウッド、マレーパダウ、パプアニューギニアローズウッド、フィリピンマホガニー、アンダマンレッドウッド、ビルマローズウッド、ナーラ(フィリピンでの呼び名)、バダウッ(ミャンマーでの呼び名)、セナ(マレーシアでの呼び名)、ソノクンバン(インドネシアでの呼び名)と多岐に渡る。

ローズウッドやマホガニーと高級木材の名を冠しているところから、この木も高級木材の一種。といっても、ランクは数段落ちるらしく本家本元のローズウッドやマホガニーと比較すると安い。

参考文献。呼び名は英語版Wikipediaより引用。

インドシタンは木材の需要による伐採で絶滅の危機にあるため、レッドリストに登録されている。ランクは絶滅危機(EN)であり、これはオカピ、キンシコウ、トラと同じランクに位置する。ただ、インドシタンはCITES記載種ではないので取引は問題なく行える。

レッドリストとCITESの記載基準はよくわからない。例えばトラは絶滅危機に瀕しているが、テキサス州ではポコポコ殖やされている(トラの生息頭数が最も多いのはインドのジャングルではなく、テキサス州。テキサス州は猛獣の飼育の法律が緩い)。猛獣専門のブリーダーから1,300~1,800米ドル程度で買える。血統書付きの犬より安い価格だ。

参考文献。お店の住所はカリフォルニア州。

話が逸れたので元に戻す。インドシタンは絶滅危惧種で貴重な植物である。前回フランスから種子を輸入する時に一緒に買った理由も「ローズウッドをはじめとする高級木材は育てるのに100年単位でかかり、将来価格が高騰するから」である。いざとなったら売り飛ばせる珍しい植物を輸入する傾向が私にはある。

放置していたが、秋になって寒くなる前に芽を出させようと思い発芽させることにした。

発芽方法

赤玉土に埋めて、乾いたら水をあげる。温度は27℃以上(暖突の下に放置していたので多分それくらいはある)を維持したら2週間程度で発芽した。

鮮度が重要なわけでもなく(輸入から1ヶ月以上放置していた)、事前処理が必要なわけでもないので書くことはほとんどない。暖かい環境を用意してあげる点くらい。

インドシタンの北限は八重山諸島なので、冬は保温させるのが必須。カカオほど虚弱体質ではないにせよ保温が必要。八重山諸島の年間最低気温が17℃程度なので、それくらいまでは耐えられると思われる。-10℃までは耐えられると書いてあるサイトもあるが、そこまでスパルタにする必要もないので素直に保温しよう。

画像1

発芽した。マメ科らしい双葉。

今育てている熱帯作物の近況紹介。

カカオ

画像2

発芽した個体の内、いくつかは枯れてしまった。枯れるとわかっていたら、さっさと売り飛ばせばよかったと後悔している。カカオの苗木はあまり数が出回らないので、熱帯植物マニアに高値で売れる。

枯れかけた葉の一部は乾燥させてお茶にして飲んだが、その辺の草を煮込んだような臭いがして別に美味しくなかった。お茶が禁制品となった世界でなら、かつてのティータイムを懐かしむことがギリギリできるかな程度の味。

元気な個体には生きててほしいので、パネルヒーターを導入。これで急に気温が下がっても対処できる。


以前書いた依存性強化チョコレートを作る方法に倣ってフェニルアラニンを溶かした水溶液を与えている。成長速度は可もなく不可もなくで、植物の生長に影響をほとんど与えない成分だとわかった。

参考文献。


フェネチルアミンがどの過程でどの部位に濃縮されるかは未だ不明。葉に蓄積してくれれば、果実がなるまでの間も楽しめる。カカオの果実は最速で3年、平均5年かかる。

コーラナッツ

画像7

パカッと割れて根が出てきた。

発芽は半ば諦めていたが、発芽した。発芽しているのを確認した時は「オッ?オッ?」とバンジョーみたいな声が出た。人間は予想だにしないことが起きているのを見た時、バンジョーのような声を出す。

参考文献。voice22の声が出た。

ポットに赤玉土を入れて27~34℃の環境下(夏場の出窓に置いていた)に置いて2ヶ月くらい放置していたら、種子が割れて根が出た。

画像4

よくわからない生え方をしているが、コーラナッツの発芽過程の写真は英語で検索しても情報が出てこなかった。小さいヤシガラのポットだと発芽している途中でポットを破壊するので、大きめの植木鉢に最初から植えた方がいい。芽?は伸びてきているので、このまま育てる。

必要な気温はカカオとほぼ同じ(カカオのシェイドツリーとしてコーラナッツを育てることがある)。

アビシニアンバナナ

画像6

画像5

20日でここまで成長するあたり、すごい早さで成長している。「アビシニアンバナナは最初の1年で2m成長する」と書いてあり、「ゆうてそんなに早く成長せんやろ」と思っていたが、普通にそれくらいなら達成できそうな気がしてきた。バナナは植物の分類上は草なので成長が早い。
栽培地であるエチオピア南部の都市、アワッサの年間最低気温が約13℃なので、それくらいまでは耐えられると思われる。

参考文献。アワッサの平均気温と年間降水量。思ったより冷える。

文献によっては-2℃~2℃くらいまでは耐えられると書いてあるが、耐えられるだけでずっとその気温だと枯れそう。人間だって-50℃の世界でもすぐには死なないが、ずっとその気温だと死ぬ。

第2、3弾の種子も発芽した。2週間程度で発芽した個体もあるので、発芽までの期間は結構バラつきがある。

画像6

白いのが芽。

実の収穫は2年程度かかる。現地ではカカオのシェイドツリーとしてバナナを植えるので、ちょうどいい。

まとめ

熱帯作物の発芽は27℃以上の環境が用意できれば、わりと早く発芽する。
熱帯作物の成長が思ったより順調なので、部屋がジャングルみたいになってきた。部屋をジャングルにしたい方は熱帯作物を育てるといい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?