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ピーちゃん物語③〜人生の悩み〜

学校帰りに行った田中君お勧めの喫茶店は、図書館近くの可愛い喫茶店だった。
紅茶好きの私は、迷わず紅茶を注文した。田中君も紅茶を頼んだような気がする。

教室ではあんなにひょうきんな田中君だけれど、じっくり話してみると、本をよく読み物事を深く考えている子だと言うことがわかった。
ただ、好きな作家は太宰治で愛読書は「人間失格」だと言う。
「あれは読みすぎたらあかんでー。死んでまうで」
私は言った。

太宰治は、「走れメロス」のような前向きな話を書いた時期もあったが、心に闇を抱えていて心中未遂を繰り返し、結局命を落としてしまった。

私も中学生の時に太宰治の本を何冊も読み、底なし沼に連れていかれるような気持ちになった。
生きていくのが無意味で無駄のような……

小学校高学年の頃から、死ぬことを考えていた私は「どうすれば綺麗に死ねるのか」を調べたりもした。
でも、一見、「綺麗に死ねそう」と思っても、調べてみるとそうではなく、綺麗な死に方はみつからなかった。

私は、死ぬのは諦めて、「どうせ生きるのなら楽しく前向きに生きていこう」と決心した。
そう決心したものの、生きることに対する疑問はふつふつと湧いて出て、それを解決できずに悶々としていた。
その事から目をそらす為に、気晴らしばかりしているような毎日だった。


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