豆電球 おいしい

小さくて丸い
豆電球はおいしい
噛むとパリッと
中から光が溢れる

色とりどりの
豆電球はおいしい
舌で転がすと
虹のようにキラキラする

甘くて酸っぱい
豆電球はおいしい
飲み込むとぽかっと
心が温まる

豆電球はおいしい
だけど食べ過ぎないでね
電気代が高くなるから

とうもろこしのヒゲ用カミソリ

あなたはとうもろこしのヒゲを剃るために
特別なカミソリを持っていると言った
私はそれを見せてほしいと頼んだけど
あなたは笑って首を振った

あなたはとうもろこしのヒゲが好きだと言った
それは自然のままで美しいと言った
私はそれを信じられなかったけど
あなたの目は嘘をついていなかった

あなたはとうもろこしのヒゲを触るときに
優しく微笑んだ
私はそれを見て心が揺れた
あなたは私にも同じように微笑んだ

あなたはとうもろこしのヒゲ用カミソリを持っていると言ったけど
本当はそんなものはないと思う
あなたはただ私と話したかっただけだと思う
あなたはただ私に興味があっただけだと思う

でも私はとうもろこしのヒゲ用カミソリが欲しいと思う
それはあなたと私の秘密の合言葉だから
それはあなたと私の特別な関係だから
それはあなたと私の愛の証だから

だるまさんが滅んだ

だるまさんが滅んだ
目をつぶって数えた
一、二、三、四、五

だるまさんが滅んだ
振り向いて見たら
赤い顔が笑っていた

だるまさんが滅んだ
手を伸ばして触った
ふわふわと崩れていった

だるまさんが滅んだ
足元に残ったのは
一つの目玉と願い事

爪の破片でピザを焼く

チーズとトマトの香りに誘われて
キッチンに入ったら
オーブンの中には
爪の破片でピザを焼いている

あなたは笑って
「これは新しいレシピだよ」と言って
私に一切れを差し出す
でも私は食べられない

爪の破片は
あなたが昨日切ったものだと思う
あなたはいつも
自分の爪を切っては
どこかに捨てる

私はそれを見つけては
拾って集める
あなたの一部を
失いたくないから

でも今日は違う
あなたは私の気持ちを知って
わざと爪の破片でピザを焼いたのだと思う
私に嫌がらせをするために

私は泣きながら
キッチンから逃げ出す
あなたは後ろから追ってくる
「ごめん、冗談だったんだ」と言って

でも私は聞き入れない
あなたの冗談は
私の心を傷つける
爪の破片でピザを焼くなんて

あなたは本当に私を愛しているのか？