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オリジナル昔話

昔話によくある構造が

① 日頃の行いが良い貧乏な人にある日、幸運が訪れる。
② 日頃の行いが悪い意地悪な金持ちに罰が当たる

この二つである。
これを押さえれば私のような昔を知らない現代人でも昔話風の話が書けるのではないか?


書いてみた↓


 むかしむかし、あるところに、おじいAとおばあBが住んでいました。2人はたいそう貧乏で、おじいAが河原に行って捕獲してきたアマガエルやバッタを毎日2人で焼いて食べているのでした。
 ある日、いつものようにおじいAが食料を探しに河原へ行くと、普段は誰もいない河原に人がいるのです。それは隣の家に住んでいるおじいCとおばあDでした。2人はキラキラと輝く金の衣を身にまとい、おじいAの姿を見てニヤニヤと笑っています。おじいCは言いました。
「悪いけど、この土地はわしらが買ったんじゃ。出ていってくれ。カエル食いの貧乏人にはわからんかもしれんが、世の中は金が物を言うんじゃよ」
心優しいおじいAは嫌な顔一つせず、
「すまんのう。わしは別の場所を探すよ」
と言い、去っていきました。おじいCとおばあDは彼の反応がもの足りなかったのか、
「ちぇっ、つまんねぇの」
と言いながら唾を吐いていました。
 結局、おじいAは十分な食料を見つけられず、その日の夜はおばあBと一緒に雑草を食べました。しかし、その雑草には毒があったのです。2人は酷い腹痛にのたうちまわりました。おじいAは何度も
「すまんのう。わしのせいで」
と謝りましたが、おばあBは
「気にすんな。苦しい時を共にするのが夫婦というものじゃ」
と気丈に振る舞うのでした。
 どのくらい経ったことでしょう。もうすっかり真夜中になり、二人の腹痛は治っていました。やっと眠りにつけると思っていたのも束の間、近くで大きな物音と悲鳴が聞こえるのです。外に出てみると、巨大なカエルの妖怪が隣の家を破壊し、おじいCとおばあDを襲っていました。2人は
「助けてくれー!」
と叫んでいます。おじいAはどうすれば良いのかわからず、立ち尽くしてしまいました。すると、おばあBが言いました。
「そうだ、雑草!あの雑草を食わせるんじゃ!」
「なるほど!」
そう言うとおじいAはすぐさま家にある雑草を取ってきて、巨大なカエルの口に投げ込みました。カエルは勢いよく飛んできた雑草を飲み込み、苦しみながら逃げていきました。
 後日、おじいAとおばあBは隣の家の夫婦に呼び出されました。身体中に包帯を巻いたおじいCは大きな金の箱を差し出して言いました。
「おぬしらは命の恩人じゃ。今まで揶揄ってすまなかった。これを受け取ってくれ。」
箱をあけてみると中には光る財宝がたくさん詰め込まれています。おじいAは
「気持ちだけで十分じゃよ」
と遠慮しましたが、おじいCがどうしてもと言うのでありがたく受け取りました。
 その後、おじいAとおばあBは貰った財宝で幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。

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