[2022年]聴いた新譜レビューまとめ③(SCANDAL・Awesome City Club・三品瑠香)

ゆるふわ新譜レビュー、3弾目です。今回は2枚のアルバム、配信シングル1曲について触れています。星10評価です。

☆アルバムレビュー

SCANDAL「MIRROR

(2022.1)

ガールズバンド「SCANDAL」の10枚目のオリジナルアルバム。何だかんだで15年以上のキャリア。2014年、6枚目のアルバム辺りから徐々に自作曲に舵を切って次作で完全にセルフプロデュースに。
いわゆるこのバンドの名が一番通ってた時代、2009年頃に品川さん監督MVでめっちゃ雨に打たれながらアニソン歌ってた印象が強い彼女達ですが、セルフになってから完全にいま別バンドになってます。

これとか完全に「ロックバンド」としか言いようがないでしょ。

そして昨年リリースされたこの曲が2021年自分的ベストソングで4位に付けるくらい自分好みすぎて。

そんな感じで、期待しかしない感じで聴きました。以下感想。

M1:「MIRROR」(好き度:☆☆☆☆☆☆)

M2:「eternal」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)

M3:「愛にならなかったのさ」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)

M4:「彼女はWave」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)

M5:「愛の正体」(好き度:☆☆☆☆☆)

M6:「アイボリー」(好き度:☆☆☆☆)

M7:「夕暮れ、溶ける」(好き度:☆☆☆☆☆)

M8:「蒼の鳴る夜の隙間で」(好き度:☆☆☆☆☆)

M9:「プリズム」(好き度:☆☆☆☆☆☆)

M10:「one more time」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆)

<Bonus Track>
M11:「
Living in the city」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

M12:「SPICE」(好き度:☆☆☆☆☆☆)

(総合:☆☆☆☆☆☆☆)

8th「HONEY」では無骨にロックバンドとしての矜持を見せつけ、
自主レーベル「her」を創立してからの前作「Kiss from the darkness」でトレンドを取り込みつつアルバムとしての総合力が異常に高い名盤を作り出した彼女達ですが、
今回は現況のライフスタイルに基づきつつ等身大の楽曲にチャレンジしている印象。いわゆる8ビートの疾走ロックではなくエレクトロに接近した楽曲や緩めのバラードが多く、バンドサウンド然としている楽曲は少なめ。このバンドの新譜として聴くとやや賛否は分かれるのかもと。

ただ、本作がこういった「ロック・アルバムからの脱却」的なモデルチェンジを迎えた形の作品になるのは上記シングルの「one more time」やその他先行曲で必然であり、各楽曲も非常にクオリティが高かったのでその上での期待でした。

そして一聴した感想は、「良いアルバムだけど…」という感じ。
キャッチーな冒頭から締めの「one more time」で回収する流れは「HONEY」の構成に近いかもしれない。
新曲群では名バラードM3「愛にならなかったのさ」、エレクトロを軸にファンクなギターカッティング、心地いいボーカルエフェクトが残るM4「彼女はWave」などは素晴らしいけどもM5~M9の流れが上記2曲のようなもう1フック欲しかったなぁという感も。先行曲「アイボリー」がその役目を果たしてれば完璧だったのだけど、この曲も割と変化球よりではあるし。

なので10曲でさっと終わる形はアルバム作品として潔いのだけれど、
結果タイプ違いで収録されるボートラの先行配信2曲で評価を上積みさせる構成になってしまったなぁ、というのが一リスナーの印象。
本編10曲は「長いコロナ禍での原在地」、ボートラ2曲は「コロナ禍直後の私たち」と時期的にもテーマが違うので本編にこの2曲を組み込めなかったのは致し方ないのかもだけど。「Living in the city」とかめっちゃ良い曲だからもうちょい役割を与えられなかったかな。
なので本編のみでは星6、ボートラ含めた12曲で星7という自分的評価。

ただ普通に良い作品です。セルフになって今の彼女達の年齢と現況の中で新たなチャレンジを試みるのは必然でもあり、英断でもあるかと。上でも書いた通り王道ロックは8th~9thで完成されきった感もあるので。バンドの新規軸を見せてくれた良盤だったと思います。

オススメ曲:M3「愛にならなかったのさ」、M4「彼女はWave」、M10「one more time」



Awesome City Club「Get Set」

(2021.3)

「勿忘」で昨年メディアに引っ張りだこだった彼ら。実際この曲は映画を観てない自分でも名曲だと感じました。昨年のベストソング記事でTOP10には入れなかったけどTOP30には入る楽曲。

もともとはサブカル好きに刺さるシティポップをやっていたバンドだけど、3人編成になってから路線変更を打ち出しポップソング路線へと積極的に乗り出すように。それが実を結んだ形で昨年の大ヒット。実際ライブでは変わらず昔の楽曲も大切にやっているからバンドとしてのマインドはそこまで変わってないと思うのだけどね。
シティポップ自体は好きだけど、個人的に男女混合ボーカルとこのジャンルを組み合わせた当時のサウンドがnot for meだったので5人時代の時は積極的に聴いてこなかった自分としては今の路線はツインボーカルの声質にマッチして(るように感じるので)かなり好み。
昨年の「Grower」かなりの良盤だったよ。皆ちゃんとアルバムも聴こうね。

そして「勿忘」を経て否が応にも期待値が上がらざるを得ない今作。今作の10曲中9曲が既に先行配信されているという。
自分は昨年の冬辺りで「あっこれアルバム出る流れだ」と思ってあえて昨冬辺りから新曲を追いすぎずにいたら予想ビンゴで前作より1年スパンでの新譜。アルバムでまとめて聴こうと思ったので大半の曲が初見です。

そんな感じで一聴。

M1:「On Your Mark」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)

M2:「雪どけ」(好き度:☆☆☆☆☆☆)

M3:「夏の午後はコバルト」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

M4:「you」(好き度:☆☆☆☆☆☆)

M5:「Life still goes on」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

M6:「color」(好き度:☆☆☆☆☆☆)

M7:「息させて」(好き度:☆☆☆☆☆☆)

M8:「楽園」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

M9:「ランブル」(好き度:☆☆☆☆☆)

M10:「またたき」(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

(総合:☆☆☆☆☆☆☆)

「勿忘」のその先へ行こうとする姿勢が見えた好感の持てる作品。

M1「On your mark」ではのっけの一音から「あれ、俺WHITE ASHのアルバム再生したか?」と思う位骨太なギターリフとロックサウンド。そこからサビで急激にポップになる展開はオーサムならでは。
ただこの方向性で行くなら面白いな、と思いつつも聴き進めたら結果この楽曲が異色、という感じのアルバムだった。

その後のM2以降の流れはらしいバラードやミディアム曲が続くのだけど、全体的に落ち着いた作風だった前作とは一転、サウンド自体はかなり攻めに入ってる曲が多かった。彼らの「シティポップ」というよりは「ファンク」の側面をデジタル色の強い音で味付けしアップデートした感じか。

勿忘の次作、配信リリース曲「またたき」は勿忘の成功を追っているような印象も受けたので若干の不安もあったけども、フルアルバムとして同曲含めた10曲を聴いた時にその心配は杞憂に終わった。昔のシティポップバンドのオーサムでもなく、「勿忘」のヒットの後追いでもなく、その先を見据えた新しい音楽に挑戦していくという気概が見えた作品だった。
「Get Set」というタイトル、からの「On Your Mark(位置に付いて)」というタイトルはまさにそれを表しているのだろう。

強いて自分の好みを言うのであれば、初速が凄いアルバムだっただけに、その後のミディアムな流れからラストを「またたき」で締めるのはちょい物足りないというか。予定調和感というか。もう一曲終盤に「On Your Mark」並みのキラーチューンがあれば印象も変わった気がするのだけど。

裏を返せば昔のサウンドが好きな人、「勿忘」の大衆向けバラードが好きな人ともに困惑する感はある作品だと思うのだけど、いち音楽好きとしては大ヒットを経てなお守りに入らない今後の彼らの挑戦を心から応援したい。

オススメ曲:M1「On your mark」、M8「楽園」


☆単曲レビュー

三品瑠香「優しい泡」

(2022.3)(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)

ここで配信シングル曲を。アイドルグループ「わーすた」のメインボーカルの一人を務める三品瑠香ソロ曲です。

最近自身で作詞作曲をしたものを配信する、という試みを始めてるんですが、前作にあたる昨年のソロデビュー曲さよなら、わたしは彼女の得意とするロックナンバーで、本人も歌い上げ系の楽曲に適性があるシンガーなんですが

あんまり本チャンのグループ曲と比べると彼女の良さが出ていない気もして。

そしてこの「優しい泡」

いや、こんな手札があるとはびっくりしました。これ自身で作ってるんだから凄い。実際トラックメイキングやそれに沿ったメロは共作曲のTETTAさん(欅坂のアンビバレント、日向坂のアザトカワイイ等を手掛けてる方)の占めるところが大きいんでしょうが、ハウス調のリズムに乗せたアンビエントなトラックに肩の力が抜いたボーカルが入ってて聴きやすい。
最近のトレンドに合わせて3分以内でサラッと聴けるのも短い曲フェチの自分にとっては好物案件。

所々詞やボーカルに「ただの緩い曲で終わりたくない」感も垣間見えたりしますが、そこもご愛敬というか。
何と言うか、フレーズ回しがインディーズ後期~メジャーデビュー期のschool food punishment感ありますね。サビの入りと締めが「~a」の母音で余韻を作る感じ。

とりあえずこの人アイドル界でも歌唱力レベチだと思うので触れてみて下さい。


それでは、また次の記事で。

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