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科目別学習法


FAR

学習の流れ

  1. テキスト3周

    • 1周目: 1ユニットずつ講義視聴

    • 2周目: 単位認定試験の範囲ごとに復習

    • 3周目: 全体を通しで本試験対策として復習

  2. MC5~6周

    • 1周目: 1ユニットずつ講義と並行して

    • 2周目: 単位認定試験の範囲ごとに

    • 3周目: 全体を通しで全問 (正答率7~8割)

    • 4周目以降: 日々10~30問ランダム演習 (正答率8~9割)

  3. TBS 1周 (完遂度3割程度)

    • インプット期前半では複合論点が絡むTBSはやらなくても良いとされていたので、MC個別論点を中心に学習していましたが、いざTBSも交えて演習を始め、そのボリュームの多さに圧倒。試験日までに全範囲を網羅できないと判断し、問題形式と解き方に慣れること、直前対策講義で紹介された近年の頻出論点に絞って押さえることに注力。

  4. 直前対策講義 (試験1か月前)

  5. リリース問題 (試験2~3週間前)

    • MCをメインに直近3年分

  6. 模試 (試験1週間前)

    • 2週間前を目安としていましたが実施日の日程が合わず已む無く延期、本試験直前となってしまいました。(合格者平均: 60.6点 / 結果: 61点)

やって良かったこと

  1. バランスシートの構成理解

    • 全ての CPA科目の土台ともなるFARですが、各財務諸表の構成や聞き慣れない勘定科目もたくさん出てきて最初は圧倒されると思います。もちろん今後も嫌というほど出てくるので自然と定着してきますが、テキストで新たな勘定が出る都度大きなボードに貼り付けて、位置関係を確認するようにしていました。 

  2. まとめノート

    • 講義、問題集、解説動画からの補足知識は基本的に全てテキストに書き込み情報は一元化、その上で覚えきれない論点のみを独自のまとめノートに図示。FARは4科目の中でも特に範囲が広いので、論点一つ一つを単発で覚えるのは大変です。複数ユニットにまたがる論点を見開き1ページに凝縮するつもりで要約すると、直前期の確認もスッキリです。

  3. リリース問題(RQ)

    • 実際の試験では一つの問題でも論点横断的な理解が問われます。過去問に触れる事で、テキストで一問一答で答えるのとはまた違う、複数の引き出しを同時に開けて解答を導く感覚が養われました。敵を知る為にも、演習が一段落したタイミングで一度解いてみると良いでしょう。直近の出題傾向も把握できるので、対策の強弱の目安になります。

  4. リサーチ問題対策

    • 重要度としては落ちるので教材ではあまり触れられて無いですが、必ず一題は出るので是非対策を。アビタスであれば特別収録講義でサクッと真似できるコツが伝授されています。この1点、2点で首の皮が繋がることも!(※2024年新試験では出題形式が変更となっています)



失敗だったこと

  1. TBS対策が遅れたこと

    • 基本的にはMCで問われるような個別論点の延長なので、太刀打ちできないことはないですが、網羅できていない事で不安材料にもなるし、ボリュームがボリュームなだけに早めの計画が大事。

総括

  • 1巡目 (単位認定試験用): 350h

  • 2巡目以降 (本試験対策): 180h

FARを1科目目に持ってくる人が多いので、学習方法の確立にも試行錯誤するかと思います。その都合でテキスト1周目は多少時間がかかっても仕様がないかなと思いますが、論点も多いので2周目以降はとにかくスピード感を意識して忘却曲線に打ち勝つイメージで取り組むと良いです。かく言う僕も1周目は学習のペースも掴めず途方もない時間をかけてしまいましたが、本試験対策に限れば所要期間3カ月程(週15時間ペース)。進め方としては予備校でも推奨される一般的な学習計画に沿って進めました。

仕訳は頭で考えても混乱するので、仮の数字を当てはめて書き出してみると良いでしょう。論点に対応する仕訳の引出しをスムーズに開けるよう整理して叩き込むこと。得意論点を増やすより苦手論点を減らし満遍なく。

単発な論点が多いとは言え複合的な問われ方もするので、ランダムでテキスト横断的に演習。テキストの論点が難解でも、問われる問題自体は基本的な事だったりもするので、その辺りの力加減も見えてきます。

AUD

学習の流れ

  1. テキスト3周

    • 1周目: 全体の概要&単位試験

    • 2周目: 章毎に全体復習

    • 3周目: 問題演習と並行して該当論点の精読 (後述)

  2. MC 5~6周

    • 1周目: ユニット毎 (単位試験)

    • 2周目: 章毎に全体復習 (正答7~8割)

    • 3周目以降: 全体ランダム30~60問/回 (正答9割以上)

  3. TBS 2~3周

    • 1周目: ユニット毎

    • 2周目: 本試験形式でランダム演習

    • 3周目: 苦手論点ピックアップ演習

  4. 直前対策講義 (1ヶ月前)

  5. リリース問題 (3~4週間前)

    • MC: 直近4年分 (内2年分は2回解き)

    • TBS: 直近2年分

  6. 模試 (3週間前)

    • 合格者平均: 68.9点 / 結果: 74点

  7. リサーチ対策

    • 関連動画も見て一応対策しましたが、あまり演習で正答した記憶なし。捨てるつもりはありませんでしたが、試験本番の問題運に賭けました。(何気に素点で6点程あるので侮れない)

やって良かったこと

  1. MC, TBSの演習記録

    • エクセルで演習一覧表を作り、○X△、正答数、一言コメント、良問、苦手論点など印を付けて、補強期にテコ入れすべき問題を探しやすくしました。

  2. レポートの音声耳学

    • 暗記用にレポートページのみを個別に印刷し携帯。毎回音読だと疲れるので、スマホのメモ帳に文字データをコピペして読み上げ機能を活用、通勤時などに聴き流し。

  3. テキスト精読

    • FAR以上に行間に込められたメッセージを理解することが肝。論点横断的に俯瞰し、繋がり•相違点の整理。問題で問われる角度からテキストを読み直す。表面的な暗記にならないよう本質を理解。(テキストそのものをじっくり読むというより、問題を通して該当箇所に立ち返ると、改めて細かい論点に気付く)

  4. 問題の選択肢の精読

    • リスク評価、内部統制、実証性テストに関する問題では、状況によっては選択肢のいずれも答えになり得るので、どの部分が間違っているから今回のケースには当てはまらない、と説明できる根拠まで意識して答えを選ぶ。(恐らくAUDはこれに尽きる)

  5. 質問教室動画の視聴

    • アビタスで提供されている補講動画のひとつ。他の学習者の質問を通して論点の復習ができることはもちろんの事、自分では思い至らない鋭い質問も多く、求められる深掘りの”深度”を知ることで、自身の論点理解の精度アップにも繋がる。


MC演習記録表
TBS演習記録表

失敗だったこと

  1. 試験日の設定をカットオフ直近にしたこと

    • 勉強期間をギリギリまで伸ばすことによるメリットもありますが、必要以上に長期化するとモチベーションとのバランスが難しい。短距離走的な勢いをつけて試験日に臨めるタイミングがベスト。

  2. 試験1週間前に初見問題演習

    • 力試しにやって無駄にはなりませんが、出来栄え次第では自信をなくすのでやりすぎない方が良い。直前はテキスト精読と苦手論点の補強に専念。

総括

  • 1巡目 (単位認定試験用): 130h

  • 2巡目以降 (本試験対策): 190h

実務に直結する科目だけに経験が無いとイメージし辛い部分もありますが、その点は要所要所で図示するなど、自分なりの監査人の世界を描くよう努めました。

計算方法を知ってさえいればある程度取れるFARと違い、覚えた論点を踏まえて問題の状況ならどうだろうかと踏み込んだ思考力が求められる点が、得意不得意が分かれる所以だと思います。演習の解答解説もひとつの読み物として、正答を選べるだけでなく、他が誤答である理由まで自分で説明できるレベル感にまでもっていければ、自ずと自信も付いてくるでしょう。

BEC

学習の流れ

  1. インプット期

    • テキスト学習、e-Learning視聴

    • MC3~5周, TBS1~2周

    • ITの初見問題対策: “よくあるサイバーアタック10選”など、ネットから知識の補足 (※手が回らなくて実際には活用できませんでしたが、AICPAが直々に出しているIT関連の記事 http://www.aicpa-coma.com/topic/technology ではサイバーセキュリティや仮想通貨といったホットな話題が取り上げられているので、読み物としても見識を広げるのに役立つかもしれません。)

  1. アウトプット期

    • 直前対策講義

    • 模試 (試験2週間前, 合格者平均: 64.2点 / 結果: 72点)

    • RQ: MC直近5年分, TBS/WC直近3年分(MCの計算論点は伝統的な問題なので遡ってなるべく沢山演習。TBSは近年の傾向もあるので、直近のものだけでもOK。)

    • AICPAサンプル問題(これまでサンプルは問題数も少ないし、あまり重要視していませんでしたが、意外と「なるほど!」と思うような論点整理に繋がる良問も。)

やって良かったこと

  1. 深掘り学習

    • 要点を押さえるだけでもある程度対応できるBECですが、AUDほどでは無いにしろ、やはり深掘り学習はしたいところ。例えば問われている事を答えて終わりではなく、financial leverageの比率を問われているが、これが高い/低いとどんなデメリット?とか、IRRがCost of capital以上なら投資案件を採用するが、その差異が大きくなると企業の意思決定にどんな影響が出る?とか、(時事問題ですが)米国の利上げと日本の円安との関係性のメカニズムを自分で考察してみる、とか。

    • BECで2回3回と落ちて”沼る”人というのは、この”広く浅く”が浅すぎる傾向にあるとのこと(例えば公式だけ覚えて、その意味を考えない)。経済も経営も、状況によっては適切な答えが変わってくるので、自分で問題提起したり、演習を通して色んな角度から論点を捉え、本質を理解するようにすると応用力も育つと思います。

失敗だったこと

  1. 先の科目の学習法をそのまま応用

    • 全体を監査ストーリーとして学習するAUDや、財務諸表の構成を学んだ上で個々の会計処理の知識が乗ってくるFARでは、ある程度全体に関連性をもって学習できますが、分野が広く浅く多岐に渡るBECでは、俯瞰するばかりの学習法をそのまま応用すると、却って知識の定着に時間がかかり非効率だったと反省。テキスト精読を交えながら論点毎にフォーカスして要点を押さえていくことが大事。

    • 同様にMC演習も、全範囲から30問ノックという形でやると広く浅くなりすぎて結局どれも中途半端になってしまったので、数章ずつのテーマに区切って知識の補強に努めました。

総括

  • 1巡目(単位認定試験用): 150h

  • 2巡目以降(本試験対策): 210h

テキストで、ちょっととっつきにくいなと思うような計算論点でも、実際の試験で出るのは細かい計算よりも、そのコンセプトを理解出来ているか?という、どちらかと言えば知識問題だったりもします。そういう意味ではテキストのMC正答率を100%に持っていく特訓をするよりも、80%前後取れるようになったら過去問や模試で実際のレベル感を確認する方向にシフトしていく方が効率的でしょう。

仕事でマネジメントをしている身としては、個人的にはBECがしっくりくると言うか、実務と重ね合わせながら楽しんで勉強できたのが良かったと思います。自分の時はやたらとvariance問題に偏っていましたが、伝統的に全範囲から満遍なく出題されると言われるので、得意と言わずとも苦手論点は極力無くすのが、トータルとしての解答力を高める王道かと思います。

REG

学習の流れ

  1. インプット期

    • テキスト学習、e-Learning視聴

    • MC3~4周, TBS1周(ビジネス法のTBSはテキスト内容の確認程度に活用。税法は本試験を見据えた総合演習としてガッツリ。税法規定には似たようなものも多く混同しますが、頻出する確定申告Form completionの問題で色んな規定を総復習できるので、うまく活用。)

    • 取り組み順: ビジネス法→税法(後述)

  2. アウトプット期

    • 直前対策講義

    • 質問教室、basis教室、問題演習教室などの補講動画視聴

    • 模試 (試験2週間前, 合格者平均: 56.6点 / 結果: 77点)

    • RQ: MC直近4年分, TBS直近4年分

やって良かったこと

  1. 演習よりテキストを主体とした学習

    • 追加論点、補足知識はテキストに書き込み。基本MC正答率80-90%いくようになれば、ランダム演習よりテキスト精読に切り替え。計算方法や考え方が分かっていれば良い他科目と異なり、細かい規定を知っているかが問われるREG。収録MCで扱いきれてない補足論点が網羅されたテキスト精読の方が復習としては効率的。

  2. 出題構成を踏まえた学習戦略

    • 広く浅く満遍なく出題される他科目と異なり、REGはビジネス法20-40%, 税法60-80%と、内容•ウェイト的にもメリハリのある構成なので、それを踏まえた戦略がポイントになります。税法の計算論点、ビジネス法の暗記論点、どちらから取り組んでも良いですが、カウンセラーさん曰く、計算モノの後に暗記系でブランクが開くと計算の感覚を取り戻すのが意外とキツいとのこと。先にビジネス法を一通り完成させてから、税法に取り組み、仕上げ期でビジネス法をキャッチアップさせてバランスをとる作戦で行きました。

    • 税法を進めている間もビジネス法の範囲を軽くジョギング的に問題演習&テキスト流し読みで、完全に流れを止めない。忘却曲線を意識した反復。

  3. テキストに無い規定も積極的に調べる

    • 基本的にテキストで扱われている税法規定は、試験対策上プライオリティの高いものに絞ってあります。頻繁な法改正も理由の一つですが、問題演習をする中でテキストにない新規定が埃を叩くように出てくるので、基礎論点を理解した後は応用演習の数をこなして一つでも多く潰していくしかないです。(この隙間を埋める作業をどこまで徹底できるかが合否に繋がってきます)

    • IRSの文献検索サイトで条文閲覧、ChatGPTで概要確認するなど、外部ツールで知識の補足。

総括

  • 1巡目 (単位認定試験用): 180h

  • 2巡目以降 (本試験対策): 270h

REGは日本人が比較的得意とする暗記の要素が多いとか、過去の受験者さん達が割とすんなり受かって卒業していったイメージから、サクッと叩き込んでクリアするスケジュール感でいましたが、範囲も内容もそれなりにヘビーです。他科目の学習ノウハウを活かして効率的に進められるとしても、FARくらいのボリュームを想定しておいた方が良いのかなと思います。

他の科目でも同じですが、暗記だけで乗り切れないのがCPA試験。講義、テキストで揃えた論点の武器を、しっかり手を動かしながら応用し、自在に使いこなせるまで落とし込む。 特にbasisは補講動画やRQなどテキスト外の教材も使って、いろんな角度から論点を立体的に理解、肌感覚で思考できるくらいにまで慣れ込むことが、合格力を高める秘訣かなと思います。

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