これでいいのか沢村賞選考委員

山本由伸の沢村賞受賞には異論はありませんが、疑問を持ったのは選考委員の顔ぶれです。選考委員は堀内恒夫(委員長)、平松政次、村田兆治、山田久志、北別府学。説明不要のレジェンドですが、なにかおかしいとは思いません?

 違和感の答えは彼らは昭和年代のエースと言えても、平成年代のエースとは言えないからです。彼らの中で平成年代で二けた勝利を記録したのは村田一回(90年・平成2年)、北別府二回(91年・平成3年、92年・平成4年)、平成年代でのタイトルホルダーは村田(防御率・89年・平成元年)、北別府(最高勝率・91年・平成3年)のみ。堀内、平松、山田は昭和で現役を終えています。

 そう、令和の時代に昭和のエースが沢村賞投手を選ぶというのは異常と言っていいでしょう。彼らを老害扱いする気はないのですが、平成年代のエースを選考委員に加えて欲しいのです。平成年代のエースですぐ思いついたのは野茂と斎藤雅樹。二人とも実績は十分ですし、選考委員に加えても異論は出ないでしょう。

 「彼らが選考委員を受けるか?」という疑問を持たれるかと思われる方もいると思いますが、一年プロ野球を見て、沢村賞に相応しい投手を選んで選考に臨めばいいというだけの話で、選考委員を引き受けるとそれに掛かり切りになるから、他の仕事ができないというわけではないので引き受けてくれると思うのです。なにより、「プロ野球のために一肌脱いでください」と言われたら、断る理由はないでしょう。

 平成年代のエースを入れることで、選考基準にセイバー値を入れるなどの新しい考えが加わるという期待もあります。「サイヤング賞にクローザーのガニエ(2003年、55S)が選ばれたこともあるので、沢村賞もリリーフがもらってもいいのでは?」という発想も出るでしょう。申し訳ないのですが、今の選考委員にこれらの発想が出るとは思えません

 選考委員は本人から申し出がない限り変わらない固定制ではなく、任期制にして代替わりさせて欲しいですね。そうしたら野茂、斎藤雅樹→上原、川上→松坂、杉内→ダルビッシュ、田中といい感じで世代交代ができると思うのです。

 あと、「沢村賞選考委員は沢村賞受賞者に限る」という項目を入れて欲しいのです。そうなると、「沢村賞は、沢村賞を取った人間が選ぶ」という賞の重みが出ると思うのです。沢村賞投手が、「将来引退したときは、沢村賞を選ぶ立場、選考委員になりたい」とスピーチしたら胸熱じゃないですか。

 重ね重ねになりますが、沢村賞選考は令和、2020年代に合ったものになることを祈ります。

追記 サイヤング賞、MVP、新人王などMLBの賞レースが羨ましいのは、三人候補者を挙げて「この中で誰が取るんだろ?」とファンの興味を煽るアカデミー賞形式ということです。NPBもそういうことをやればいいのに。ハイレベルすぎるセリーグ新人王争いなんだから、ノミネーションからの新人王受賞という流れにしたら凄く盛り上がるのに。NPBに足らないのは、「なんとしてでも盛り上げる」というエンタメ精神だと思うのです。



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