WBCがW杯に近づけない理由

 WBCに対するメディアとファンの反応を見ていると、「WBCはW杯を越えられるどころか、近づくことすらできない」とガッカリしているので、これからその理由を書いていきます。

 カーショウが不参加になりましたが、メディア、ファンが大騒ぎしないのに違和感しかありませんでした。もしメッシ、ネイマール、エムベバがクラブはW杯出場に理解を示し、本人もやる気があって、ケガもないのに、保険どうこうで不参加なら、大騒ぎになると思うんですよね。なぜ、カーショウ不参加に対して反応が薄いのかが疑問です。

 日本が過去予選ラウンドで対戦した南北アメリカ大陸の国はキューバとブラジル(2013WBC)だけです。2013年の優勝国ドミニカ、2013年、2017年準優勝国プエルトリコが同居するプールDのような死の組に日本が入ることはありません。このように、日本は予選ラウンドで優遇されていることを誰も指摘しないのも不自然ですね。もしサッカーなら「日本だけヌルいプールに入るのは不公平」とファンやメディアが指摘するでしょうし、死の組に入った国が「日本は優遇されている」と反発するでしょう。余談ですが、ドミニカやプエルトリコが反発しないのを見ると、「WBCはまだエキシビジョンの域を越えないのかな」と思うんですよね。

 メディアやファンは「世界一奪回」と景気のいいことを言っていますが、メジャーリーガーが5人(離脱した鈴木を含む)しかいない日本が、メジャーリーガーを揃えたアメリカドミニカプエルトリコに勝つのは難しいとなぜ考えない?と思うんですよね。カタールW杯の日本代表はほぼ海外組を揃えたのに、目標はベスト8、ドイツとスペインを倒すのは難しいから、グループリーグ敗退という下馬評だったことを思うと、WBCに対するメディアやファンは楽観的すぎるとしか思えません。

 W杯のときはファンはメッシ、ネイマール、エムベバのようなスターの活躍を楽しみに見ていたのに、WBCはベッツ、ゲレーロJr、ファン・ソト、アルテューべ、カブレラ、ペレスといったスーパースターさえ知られていないことにもがく然としています。トラウトは知られていますが、大谷と同じチームではないなら、知られていないでしょう

 W杯の決勝アルゼンチン×フランスは相当な視聴率、アクセス数を叩き出したと聞きますが、もしWBCの決勝が日本戦以外なら、話題にもならないでしょうね。「なぜ同じ日本人なのに、W杯とWBCではこうも考えが真逆なのだ?」と疑問、いや恐ろしさを感じます。

 「W杯に比べるとWBCはまだ歴史が浅いからだ」という方もおられると思いますが、日本がW杯に初めて出た98フランス大会から去年のカタール大会まで7回を数えるのに対して、WBCは今回で5回目と回数は変わりません。残念ながら、WBCはあと2、3回やっても日本以外の国やスターに興味を持つようになるとは思えません

 WBCを盛り上げるにはもっと日本以外の国や選手に興味を持たないといけないでしょう。W杯では日本戦以外で盛り上がり、WBCでは日本戦以外は無関心ということでは、いつまでたってもWBCはW杯を越えるどころか、近づくことすらできないというのが結論です。

追記 2013年WBCでモリーナを知らなかったことにがく然としたので、それから二、三年はMLBの勉強をしましたね。そうしないと、WBCで勝てないし、楽しめないと思ったからです。せっかくスーパースターが集結する大会なので、視野を広げて楽しまないとだと思うんですよね。


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