地方を大事にしないプロ野球の未来とは?2

 先日鹿児島で開催されたホークス×イーグルスに行ってきました。鹿児島では三年ぶりのプロ野球開催ということもあって、18,000人を集めて盛り上がったのですが、観戦しながら悪い意味で鹿児島(地方)にとってプロ野球は年一の祭りなんだな。これでは野球は全国的な競技普及は難しいし、全国にプロチームを作って、どこに住んでいても試合が見られるようにしているサッカーやバスケに競技普及で後れを取ると思うのです。

 悲しいかな、地方開催は雨天中止になると代替試合を地方で組むのは不可能なので、主催するチームの本拠地で組むことになります。「だったら、代替試合も地方で組めばいいじゃない」と思う方もおられると思いますが、地方球場でも高校野球、大学野球、草野球などでスケジュールは埋まっているので、年内にプロ野球の試合を組むのは無理筋でしょう。事実、ホークス戦の前日には白波スタジアム(鴨池陸上競技場)で鹿児島ユナイテッドの試合が組まれているので、ホークスはユナイテッドと話し合って日程調整をしたと察しています。
 
 なので、雨天中止になるとプロ野球開催は来年を待たないといけないのです。そんなにかったるいことで、野球の競技普及を進むのでしょうか?「来年まで待つぐらいなら、常駐しているバスケやサッカーを見るよ」になるかなと。

 「地方には独立リーグがあるじゃないか」と意見がある人もいると思いますが、J3リーグには3,000人以上入るクラブがあるのに、独立リーグには1,000人も入らない別記事参照のこと)のです。1,000人も入らないのでは、地元に浸透していないのだろうなと思われてもしかたがないでしょう。

 たとえばJ3リーグはスポーツナビで試合結果、順位、日程をチェックできるのに対して、独立リーグの情報は自分で取りにいかないといけないのです。これでは独立リーグはJ3と五分、だから野球も地方で競技普及ができているとは言えません

 JリーグはJFLのチームに「順位や観客動員数などを満たせばJ3に入れる」という道筋を示していますが、NPBは独立リーグに関与していないので、有志が立ち上げるしかないのです。独立リーグのチームが出来ては潰れというのを見ると、有志が立ち上げて運営するのはいかに難しいかを察することができます。「地方への競技普及という意味でも独立リーグは頑張って欲しい」とNPBが資金なり経営のノウハウなりの援助があったら、もっと独立リーグは安定して運営できると思うのですが、それはないというのが現実なのです。

 「地方(岩手)から佐々木朗希のような逸材が出たじゃないか」という意見がある人もいると思われますが、もし僕が岩手県民だったら、「佐々木は週一ダゾーンで見ればいい」と言って、J2のグルージャ盛岡の試合を見るでしょうね。生で見られない佐々木より、生で見られるグルージャに興味を惹かれるのは自然なことでしょう。

 もし佐々木がケガなどで長期離脱すると、必然的に佐々木を見る機会はなくなるので、ますますグルージャを見ることになるでしょう。競技普及を、突然変異的に出てきた一人のスーパースターに頼るのはムチャというものでしょう。

 もうゴールデンタイムにテレビで巨人戦を見られた時代ではないので、プロ野球は地方への競技普及をもっと真剣に考えた方がいいと思います。そうじゃないと、野球は大都市のみの競技になり、全国的な競技はサッカーやバスケになるでしょうね。

 
 

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