水島新司は残るのか?

 水島氏逝去から11ヵ月が経ちました。亡くなってからの扱いが予想以上に少なく、「これで水島作品は残るの?」と疑問を感じたので、それを書いていきます
 
 NHKクローズアップ現代で、今年亡くなられた藤子不二雄Aの特集が組まれたのに、水島新司の特集が組まれなかったのが意外でした。「プロ野球を盛り上げた」、「井上雄彦、森川ジョージなど水島氏に憧れた漫画家は多数いるので、漫画文化に貢献した」など切り口はいくらでもあるはずですが。

 水島氏が長く主戦場にしていた週刊少年チャンピオンでも追悼号が出なかったのが信じられませんでした。同誌の「バチバチ」連載中に逝去した佐藤タカヒロの場合は追悼号が出たので、長くチャンピオンに貢献した水島氏の追悼号が出ないわけがないと思っていました。それなのに1Pの追悼コメントだけなのは寂しかったです。

 その他にも過去作品の重版されたり、追悼ムックなどが無かったのも信じられません。オグマナオト氏の「あぶさん、ドカベン終了時にムック本を作る計画はあったが、プロダクションから断れて、出せなかった」という記事を読んだので、水島氏が亡くなってから、追悼番組や追悼ムック、過去作品の重版等を出せなかった理由はそこにありそうです。手塚治虫、水木しげる、高橋留美子などの作品を収録した異色の野球アンソロジー「変華球」の後書きに「水島作品も収録したかったが、プロダクションの意向で入れられなかった」とあったのは寂しさを感じました。

 「静かなるドン」が電子書籍化したところ、巣籠もり需要でかなり売れたと聞くので、水島作品も重版、電子書籍化したらかなり売れるし、作品も後世に残ると思うのです。

 没後30年以上経つのに、手塚治虫の「ばるぼら」は映画化、梶原一騎の「あしたのジョー」は「メガロボクス」にリメイクと、手塚、梶原作品は今でも人気があるので、水島作品も後世に残ると思うのですが、このままでは過去の作家として扱われて、後世には残らないと思うのです。水島作品の重版、電子書籍化を望んでも、プロダクションが「生前の水島はそういうことは望まなかった」と言えば終わってしまう話なので、ため息しか出ません

 僕が初めて親に買ってもらったコミックスは「大甲子園」で、水島作品から野球の楽しさ、見方を学びました。プロダクションの「水島作品を後世に残したい」と重版、電子書籍化に動く英断を望みます。


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