アラフォー女が捻転毛デビューした時の事

ドライヤーで髪を乾かす度、思っていた。
 
「髪、ツヤがなくなってない…?」
 
そんな思いを抱えながら美容院に行ったのは半年ほど前だっただろうか。
 
 
 
「なんか最近髪に艶がなくなってきたんですよねー、歳かなぁ」
 
へらへらと笑う私の髪を手に取り、Nさん(仮)は言った。
 
ところで、私の髪は私のものであって私のものではない。もう10年近くNさんの手に委ね続けている。
基本的に、今日はカラーカット、今日はパーマで、といったざっくりした事以外は全てお任せ状態でお願いしている。
要するに、Nさんは全面的に信頼できるアメージングな美容師さんなのだ。髪の神。
 
「捻転毛になってますね」
「ねんてんもう…?」
「髪がねじれちゃってるんですよ」
 
髪だけは褒められる事が多い人生を送ってきた私にとってそれは絶望的な事実であった。
他に取り柄がないのに、髪までトウモロコシのしっぽみたいになってしまったらもう生きていける気がしない。
なんか艶を取り戻す方法があるのですか、と必死に問うとNさんは縮毛矯正をかける事を提案してくれた。
 
生憎その日のメニューはカラーカットで、カラーと縮毛矯正は同日にできないのでお会計の際にすぐさま縮毛矯正の予約を取った。
施術中は美容院のタブレットでファッション雑誌を眺めたりするのが常だが、
ひたすら耳慣れない捻転毛についての情報をググりまくって情報収集することでその日のカラーカットは終了した。
 
私はグレゴール・ザムザの事を思った。
ある朝起きたら虫になってた彼のことである。
まぁ私はある朝起きたらじゃなくていつも間にか、徐々に捻転毛になっていたのだろうが無自覚だったので
Nさんの宣告により捻転毛になったのである。突然である。やっぱグレゴール・ザムザである。
 
グレゴールは悲劇的な結末を遂げたが、私にはNさんがいる。
一週間後、縮毛矯正の謎の紙などに髪をひたすらに艶やかにのばしてもらう事数時間、
私の髪はうら若き乙女の如く艶やかで指通りの良さそうな見た目を取り戻した。
 
「これ大体半年に一回くらいかなぁ」
 
Nさんはそう言っていた気がするが、半年の間に唐突に引っ越すこととなり貧乏な私は美容院に行けずにいる。
ヘアアイロンで熱を加えれば艶が出るということも聞いているが、現在テレワークの身なので近所のスーパーに行く以外引きこもり生活、誰に見せるでもないのにヘアアイロンを使おうというモチベーションは0だ。

オチとかはないんですけど、ほんと人と対話してなさすぎてコミュニケーション力やら語彙やらが低下しまくりそうなのでnoteに初投稿してみましたよ、というやつでした。
続くんだろうか…?


 

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