見出し画像

タイムトラベル

コールセンターの仕事を辞めたばかりの頃に 書いた文章が出てきた(*ˊ˘ˋ*) 今は、この時とは違う視点で世界を眺めているけれど、 書かなきゃ!と思いたったので書きます笑
.................................
私は、タイムマシーンに乗って過去と未来を行き来している。

身近な人が幸運に恵まれた時、一瞬で未来へ行く。 周りの人の幸運は、
「次はあなたの番ですよ」
というお知らせだと勝手に思い込んでいるからだ。

そうすることで、
「未来で幸運を受け取っている私」と
「いま、幸運を受け取っている人」は
同じ時間軸で、お互いに近い感情を分かち合える。 分かち合うことで、喜びは2倍にも3倍にもなる。

無意識に過去へ行っていることもある。
何かのきっかけで、過去の感情が蘇り、 うっかり味わってしまう。

まだ向き合う準備ができていないと感じる時は、
すぐに現実世界へ戻ってきて、私だけのために紅茶をいれる。
五感を研ぎ澄ませて「いま」「この瞬間」を感じることだけに全集中する。

美味しい紅茶とシフォンケーキの組み合わせは、 すぐに私を現実世界へ連れ戻してくれる。

そんな風にタイムトラベルを繰り返し 自分の様々な感情と折り合いをつけてきた。

しかし、タイムマシーンに乗れず ひたすら現実と向き合い続け、感情を閉じ込めていた時期が私にもあった。

双子を含む4人の子供がいる。
双子出産の翌年、末っ子が生まれた。
長女はその時4歳。

まとめて取れる睡眠時間は1時間未満、 気がつけば意識が飛んでいるという時期が1年ほど続いた。

今、この瞬間をどうやって乗り切るか、今日一日をどうやってやり過ごすかに全神経を使っていた。
予想もつかない事が育児にも起こる。

ひとつ狂うと全てが狂い、目の前の出来事を後手に回りながら対処していくしかない。

毎日がその繰り返しだった。
末っ子が3歳になるまでの記憶があまりない。

目の前の出来事の対処に追われ、自分自身の感情に反応する 暇はなかった。
感情など、心の中から消えて無くなればいいと思っていた。
目の前の出来事に素早く対処するためには、感情が邪魔だったのだ。

睡眠を必要とせず、24時間体だけが正確に動き続ける ロボットになれたらいいのにとその時は本気で思っていた。

毎晩寝る前に 眠りについたまま死ねればいいのにと思っていたし
目覚めた時には絶望し、仕方ないと諦めて その日一日乗り切る覚悟を決めていた。

目の前の出来事とひたすら向き合う時期は、それだけ懸命に生きている証だと思う。
しかし、心を閉ざして必死にこなすだけの日々は ぼんやりとしたモノクロの記憶としてしか残らなかった。

子供達が小学生になった頃 モノクロの記憶へタイムトラベルを始めた。
行くたびに、当時は気がつけなかったことを体験して帰ってくる。

最初は、感情を探すことが目的だった。
辛かったこと、我慢していたこと、楽しかったこと、 色々な感情を沢山実感した。
どんな感情も大切に抱きしめて、 否定せず何度も何度も自分自身を慰めた。

そんなことを繰り返すうちに、不思議と心が落ち着き 少しずつ他の記憶も蘇ってきた。

「お母さん、あと3年したら絶対に楽になるから!     毎日ギリギリまで保育園に預けていいのよ」
そう声をかけてくれていた保育園の園長先生。

総合病院の待合室で、末っ子をおんぶし、ぐずる双子をあやしていると

「今、すごく大変でしょう?    
僕は母にとても感謝しています。    
双子の繋がりはとても特別で大切なものなんです。    本当に  双子で良かった。  
あなたにも、それを伝えたくて」

そう声をかけてくれた双子の男性。

保育園のお迎えの時 4人を帰る気にさせ、車に乗せるという作業に 1時間かかっていた時期に、

「マイニチ、タノシソウネ!」

と会うだびに声をかけてくる外国の方に、こっちは必死なのに!となんだかモヤモヤしていると

「子供達が毎日楽しそうってことでしょ!    
いいことじゃない!」

と気づかせてくれた友人。

他にも、手伝えることはないか?と声をかけてくださった方々の顔を思い出した。

自分が思っているよりずっと、 たくさんの人達に見守られ、助けられていたことに気がついた。
たくさんの愛情を受け取っていたのだ。

それに気がついいた途端に、 モノクロだった3年間が色鮮やかに蘇っていった。

私に向けられる愛情に気がつくたび、心が震え涙を流した。
まるで、モノクロの過去に光が降り注ぐような感覚だった。
辛く苦しい日々も、私の周りには愛しかなかったのだ。

私のモノクロ記憶が、色鮮やかな過去に変化したからなのか 今の私の周りも、愛であふれていることに気がつく。
過去が変化するたびに、今の私も変化し、未来さえも変えて行くのかもしれない。

これからも、私はこの過去へ何度も行くはずだ。
新たな視点で見る景色は、素敵な発見の連続に違いない。
辛く悲しいことを発見したとしても、より良い未来に繋がる変化をもたらす宝物であるはずだ。

この先、モノクロの記憶を作らないために きちんと「いま」を感じながら、感情に寄り添いながら 周りに頼りながら生きていこうと思う。

私はこれからもタイムトラベルを繰り返し 無数の過去と未来を目の前に作り続けて行くのだと思う。
毎朝私は生まれ変わり、今日もただ目の前にある愛に包まれている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?