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タネも土も腸も宇宙

【うし子の日記】
前回のnoteでのやりとりから1年半以上が経ってしまった!ごめんね。。
今、昔のnoteを読み返してみたら面白いし、当時を思い返してみても、アウトプットする作業はメディテーションの様な効果もあったなぁと思う。細く長くでも良いので、この日記を続けて行けたら良いね。

1年半経って、お互い変わらない状況もあるけれど、変わったこともあるね。
一番の大きな変化は、うま子の海外暮らしが始まったことかな。また色々と新しい国の暮らしについて聞かせてね。

さて、今週は夏至の週だったね。陽がさす時間が長くなったので、新居のベランダでの家庭菜園を本格的に始めているよ。野菜のこと、自然のこと、タネのことって、知れば知るほど本当に面白い。
今年上半期に入ってから読んだ本を見返してみると農業にまつわる本が多かった。そのうちの殆どが、うま子に教えてもらった、無農薬リンゴ農家木村秋則さんのものだけど。彼の本から学んだことは、土の中の細菌の多様性の大切さ。だから彼の農園では、農薬も肥料も使わないけど雑草も取らない。あらゆる草の根に棲みつく多様な細菌のお陰で、彼の土は深く掘っても暖かく、柔らかいんだとか。これってまさに、人体で起きていることと一緒。腸の中の細菌の多様性が減ると、冷え性になることがあるけれど、メカニズムは土と一緒なんだなぁと。そして、多様性が如何に大事かと言うことを考えさせられる。

「食物のタネにも多様性を」と言う話でいえば、この本が、とっても面白かった!(こんなに素晴らしい本なのに、なぜKindleに無いんだっ!)海外からだと難しいかも知れないけれど、機会があったらぜひ手に取ってみて。

タイトルの通り、15歳でタネの会社を起業した男の子の書いた手記。
野菜の安全性については気にする人も多いと思うけれど、企業によるタネ占有化により、タネの多様性・自由が危ういという事実を、殆どの人が知らないのじゃないかな。
タネは今や農薬や肥料メーカーが、それらを売るためのツールとしていて、美味しいけれど病気に弱いタネと、それ用の農薬とがセット販売されているとか。これまで「品種改良」という言葉は「美味しいものを作り出す努力の賜物」というイメージがあったのだけれど、品種改良により出荷時期を過ぎると歩けなくなる豚の話とか、本来人類が大昔から食べているはずの小麦や米がアレルギー源となる原因は品種改良だとか、そういう話を耳にする様になり、品種改良への印象が変わってきた。木村秋則さんは「自然はそれ自体で完結したシステム」と言っていたけれど、やはり、自然のサイクルに従わないものは、どこかで歪みが生じるんだなぁと。

この本では、宙くんがタネにまつわる法や企業の動きをわかりやすく説明してくれ、それに危機感を抱いた彼が各地のタネを集めて、起業するまでの奮闘が書かれているよ。

「タネをとって(自家採取して)植えること」の禁止は、部分的に実現している。また、2018年には種子法という法律が廃止され、より企業によるタネの占有が進んでいくことも一部で懸念されている。

小林宙「タネの未来」16ページ

個人が採取しているタネは、その人がタネを取るのをやめてしまったら、受け継がれてきたその野菜自体が世の中から消えてしまうことになる。それはつまり、せっかく育まれてきた地域ならではの味、食文化、伝統がすっかりなくなってしまうということだ。だんだんと僕は、多様なタネを残すことは、多様な文化を残していくことなのかもしれないと思うようになった。

小林宙「タネの未来」49ページ

各地の様々な野菜の種類も紹介されていて、とっても興味深い。
希少なタネを持っている人同士がタネを交換するプラットフォームも計画しているらしくて、ぜひ利用してみたいと思っているし、彼の活動がもっと世界に認知されて、広まっていくのを応援したい。

余談だけど、宇宙の「宙」と書いて「そら」君だなんて、素敵な名前だと思わない?以前、何かの本でタネの形は宇宙の法則をそのまま形にしたものだ、という様なことを読んだけれど、子供の頃からタネが大好きでタネに夢中だった宙くんにぴったりな名前だなぁと思ったり。

タネの自由を守る活動家として世界的に有名なインドのヴァンダナ・シヴァさんの本も読んだのだけど、南インドでは、重要な9つのタネ(穀物)それぞれが、宇宙の星を表しているんだって。

9つの穀物(Navdanya)
小麦=太陽、 米=月 キマメ=火星 ムング豆=水星 
ヒヨコマメ=木星 白インゲンマメ=金星 黒ゴマ=土星
黒緑豆=ラーフ ホースグラム=ケートゥ

こうやって、タネの一つ一つに宇宙を感じると、家庭菜園もますます楽しくなるね。
うま子の新居でのガーデニングはどんな感じ?また色々聞かせてね。

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