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新釈―『理由なき反抗』

もう半年近く前、NHKのBSプレミアムでジェームス・ディーンの『エデンの東』、『理由なき反抗』、『ジィアンツ』の三本の遺作を日替わりで放映していたが、今回は『理由なき反抗』について。
 まず簡単にストーリーを書いておくと、ジム・スターク(ジェームス・ディーン)という少年が会社の都合で引越しばかり繰り返している平々凡々な父親にうんざりしていて酒を飲んで酔いつぶれ、警察の青少の保護施設に収容される。そこには大金持ちの父親が送ってくる金で父親の豪華な邸宅で一人暮らしをしているプルートウ(サル・ミネオ)という少年と、自分を世間知らずの少女と思い、またそれを望む父親に不満なジェーン(ナタリー・ウッド)という少女がいる。
 この冒頭のシーンは顔見せという感じで、ジムは高校の戸外授業でプラネタリウムに行った時、プルートゥと知り合い、不良少年のグループを率いているバズという男に注意しろ、と言うが、授業が終わって早々、バズに自分の女を付け回している、と因縁をつけられる。その女とは、ジェーンのことで、ジェーンとはただ話をしただけだと言っても納得せず、ナイフを使った決闘を挑まれるが、その最中、プラネタリウムの警備員が割って入る。バズはジムに、バズはジムに自動車を使ったチキンレースで決着をつけようと言い、ジムは嫌々ながら受け入れる。


チキンレースを受け入れることにしたと、プラトゥーンに言うジム……だと思う。


 そのチキンレースは、海岸の絶壁に向かって自動車を走らせ、先に自動車から逃げ出したほうが負けとなる。その当日、ジムはバズより早く、ドアを開けて社外に逃げ出す。つまりレースはバズの勝利……のはじだったが、バスの袖が車内のドアにひっかかってしまい、ドアを開けられぬまま崖から墜落、バズは死んでしまう。 家に戻ったジムは父親に事情を打ち明け、警察に行って話をすると言う。ジムは青少年課の刑事のことを信用しているのだ。しかし父親は、警察には行くな、黙っていろと言う。一方、バズの子分たちは、ジムといつも一緒にいたプルートゥを脅してジムの行方を聞き出す。プルートゥは父親のピストルを手に、バズの子分がジムの行方を追っていることを知らせ、プラネタリウムの近くの金持ちの屋敷の廃墟にジェーンと三人で逃げ込む。


立派な家に見えるけれど、実際は廃屋で、プラトゥーンは追跡してきたバズの手下たちを撃ち殺したとジムに告げ、プラネタリウムに逃げ込む……のだと思う。

 その後、バズの仲間たちはジムが隠れている場所を突き止めるが、そこにいたのはプルートゥだった。ジムとジェーンは、別の部屋で……していたのだった。プルートゥは遭遇したバズの仲間の一人をピストルで撃ち殺すと、騒ぎを聞きつけてやってきた警官の制止も聞かずに、プラネタリウムに逃げ込逃げ込んだところに、ジムとジェーンが、私たちがプルートウを説得すると警察に訴え、プルートウと三人、プラネタリウムから現れたが、プルートウがイストルを手にしているのを見た警官はプルートウを撃ち殺してしまう。ジムはプルートウを説得してピストルから弾を抜いていたのに……!
 プルートウにすがって泣き崩れるジム……で、ジ・エンドという話で、最後の方はプルートウが主役だし、そもそもジムが関わった事件には常にプルートウがいたわけで、事勿れ主義の父親にうんざりしているジムをサル・ミネオ、一切姿を洗わな祭金持ちの父親から送られてくる金で生活しているプルートウを、ジェームス・ディーンが演じた方が、私にとっての『理由なき反抗』という映画の説得力が増すような感じがする。
 特に、チキン・レースで最初に逃げ出すのはジムであるわけで、それを見たバスは、車内で一瞬、得意そうに笑った……ような気がするが、そういう相手としてはサル・ミネオのほうが合っているような気がする。
 もちろん、こんなことを考えているのは私だけだと思うし、その証拠に、『理由なき反抗』の映像にはサル・ミネオはさっぱり現れず、掲載した写真しかなかったのは、残念だ。

薄幸の少年、サル・ミネオ。この後、『ジャイアンツ』では貧困なメキシコ人の役で、実際にはちらりとしか出てこないが、清浄機で覆った棺桶として現れ、常日頃、気にかけていた富豪の牧場主の妻、エリザベス・テーラーが嘆く、というシンボル的な役柄だった。

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