南原四郎

昔、月刊OUTとか、ALLANとか、月光とか、牧歌メロンなどの雑誌を、自分の興味のおも…

南原四郎

昔、月刊OUTとか、ALLANとか、月光とか、牧歌メロンなどの雑誌を、自分の興味のおもむくまま、つくってきました。それらのテンテンバラバラな文章も、いま、振り返ってみると、一本の糸でくくれそうなので、きりがなくなりそうだが、やってみたい。

最近の記事

ゴジラマイナスワンを見て……あれこれ、考えたこと

 「ゴジラマイナスワン」を見た。確かに特撮はすごい。タイトル写真としてジオラマの写真を載せたけど、実際はもっとずっとすごい、アカデミー賞にふさわしい……とは映画全体の出来として、ちょっと……。  それは冒頭のシーンに凝縮して表われている。特攻隊の敷島浩一が出撃した後、零戦が故障したと偽って大戸島(小笠原諸島の一つだそうだ)の基地に戻ったところに、大戸島の島民が「ゴジラ」と呼んでいる怪獣が襲う。整備兵は小銃しか持っていないので零戦の二十ミリの機関銃で怪獣を撃退してくれと言うが、

    • 時空を行き交う西部劇――『クイック・アンド・デッド』

       後期高齢者としては全くめでたくないのだが、おかげさまでまた一つ、馬齢を重ねてしまった。  それはそれとして『クイック・アンド・デッド』という映画を見た。  「氷の微笑」で有名になったセクシー女優、シャロン・ストーン主演の西部劇。当初、本当にあのシャロン・ストーンが?……と思ったが、まだ名前の知られていなかったラッセル・クローと。若手のホープ、デカプリオを、自ら口説いたそうだ。おまけに日本の衛星放送の会社がが出資したそうで日米合作という意外な作品だった。  日本の出資者がマカ

      • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト

         マカロニ・ウェスタンの元祖、セルジオ・レオーネの「ウェスタン」を見る。原題は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」で、「ワンスア。ポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、「ワンスア。ポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の三部作の最初の作品。事情がよくわからなくて「ウェスタン」にしたのかも知れないけれど、タイトルは大事なんでもっと真面目に考えろといいたい。  マカロニ・ウェスタンをヒットさせたレオーネとしては西部劇はこれまで、次は「ワンスア。ポン・ア・タイム・イン・

        • 年末の朝生だけど……

          田原総一郎は九十歳だそうで、流石にボケて……と言うのではない、最初からボケているから、相変わらずボケていると言うべきだろう。今回はおきまりの「宮沢総理って知ってる?」は、出て来なかったが、パーティー券問題に触れて、「羽生田が云々」と言ったら、どこかのNPO法人の代表者だという若い女性が「はにゅうだって、だれ?」と言って田原の腰の骨を折っていたが、本当に自民の政調会長のことを知らなかったら、「朝生」に出て来る資格はないと思うけど……。それは兎も角、話がどんどん飛んで、一瞬、だけ

        ゴジラマイナスワンを見て……あれこれ、考えたこと

          メロドラマとしての『東京物語』

           数日前、小津の『東京物語』の後半部分、つまり笠智衆(平山周吉)と東山千栄子(とみ)が尾道市に帰ってからの話を見た。もちろん、『東京物語』は全部見てるけれど、ドラマが本格化するのは後半なので……都合がよろしかった……というか。  東京では元気だったとみが気分が悪いと言ったまま、昏睡状態になってしまう。医師は回復不能という厳しい見立てに子どもたちが尾道に集まる。とみは、結局、意識を戻さぬまま葬式となり、それを終えると、紀子一人を残し、子どもたちはみな東京に帰る。  一日遅れで

          メロドラマとしての『東京物語』

          小津安二郎と、山田洋次

           Eテレの「小津安二郎は生きている」を見たが、小津の戦争体験に注目していたようだった。例えば映画監督で戦場に召集されたが、映画監督として広く知られていたので、新聞記事にもなり、さらにそれを小津の母親がスクラップ・ブックにまとめている姿を紹介されていた。その小津は徐州作戦に送り込まれたが、入隊早々、訓練なんか即席だと思うが、それで激戦地に放り込むなんて無茶だと思ったが、いずれにせよ、そのことが『麦秋』に現れていると番組は言う。  『麦秋』は原節子が「紀子」という名前で出てくる「

          小津安二郎と、山田洋次

          愛のシャワー

           クリント・イーストウッド、主演、監督の『ガントレット』を見る。  荒唐無稽とも言える警官の一斉射撃が話題になった。銃撃ロボットと化した警官の中身もまた似たようなもので、女性蔑視も甚だしく、黒人男性を職務質問の形で殺したジョージ・フロイト事件を彷彿させる、と見ていて思った。ただ黒人は登場しないが、警官たちの女性蔑視が甚だしい、というか、今、気がついたのだが、女性蔑視がテーマになっている。  今回は、冒頭からビデオにとっておいたのだが、冒頭から見ないと本質がわからない映画なので

          愛のシャワー

          衝撃的な……

          衝撃的な二つの数字と、一枚の写真。 理由はうまく言えないけど、関係があるように思えてならない。

          衝撃的な……

          『ビューティフルマインド』と『リオ・ブラボー』

           ゲーム理論として経済学にも貢献した「ナッシュ均衡」でノーベル賞を受賞した数学者、ジョン・ナッシュが統合失調症に基づく、奇怪な妄想(夢想と言ってもいいかも)に悩まされたことを描いた映画『ビューティフルマインド』を見る。録画しておいたビデオを再度、見たので、二度目なのだが、三分の二近く見た時点で「あ、これは一度、見たがある!」と気がついた。見た記憶が消えてしまっていたのだ。しかし一般的に言って、映像は見た瞬間にわかるはず。ましてアカデミー賞をとった名作なのだ。それなのに三分の二

          『ビューティフルマインド』と『リオ・ブラボー』

          『ゲッタウェイ』に見る、ペキンパーの語り口

           『ゲッタウェイ』を見る。NHKのBSPでやっていて、でも、一度、見た映画だし、と思ってスルーしようと思ったが、どのテレビを見ても、ジャニーズ問題と汚染水問題と、なぜか、今頃になって、また統一教会問題を持ち出している。何を言うかわかりきっているので、改めて『ゲッタウェイ』を見たら、面白いこと、面白いこと。慌てて録画した。  録画したのは、スティーブ・マクイーンのドクが、大金を詰めたバッグを置き引きに盗まれ、あとを追って列車に乗り込むころだった。ドクは盗んだ男を見つけ、隣の席に

          『ゲッタウェイ』に見る、ペキンパーの語り口

          『ドライビング・ミス・デイジー』の小ネタ

           老齢の未亡人。ミス・デイジー(ジェシカ・タンディ。高齢の女性でも、未亡人なら〝ミス〟なのか、それとも〝愛称〟なのか……いや、これは小ネタではありません)は、夫が残した大きな屋敷に住んでいて、なおかつ運転手を雇っているのだから、それなりの金持ちのはずだが、他人、特に同年輩の女性には、「贅沢な生活をしている」とは思われたくないという意識の持ち主のようで、スーパーマーケットにも、自分が歩いていくと運転手のホーク(モーガン・フリーマン)に言い張る。ホークは自分は運転手として雇われた

          『ドライビング・ミス・デイジー』の小ネタ

          岸田の内閣改造報道

          ……を見ていて、橋本治の「ああでもなくこうでもなく」を思い出した。それは「日本の政治が混迷している原因は何か」というお馴染みの問題で、江戸幕府は三百年という長期に渡った政権だったが、その間に武士は官僚化していった。その幕府を継いだ維新政府は武士に代わる官僚を育成するため、明治十年に東京大学をつくった。つまり日本の近代政治は東大出身者による「官僚の政治」から始まり、明治二十二年に発布された明治憲法を受けて「天皇の官僚」として確立した。その後、対米戦争に敗れて「天皇の官僚」という

          岸田の内閣改造報道

          汚染水に関する雑感、その他

          昨日、今日の話題は、圧倒的に原発の処理水の放出に関する話ばかり。特に中国が「汚染水を海に垂れ流すとは、世界に対する犯罪行為に他ならない」と、国連で激しく非難、「科学的でない」と反論したとか。マスコミの論調も、日本代表の方が正しいというか、妥当な見解で、中国の主張は政治的な無理筋の主張だみたいな感じで、一貫していて、日本の世論も右に同じという感じ。まあ、確かに、汚染処理に関する中国の反日路線は、いずれ納まる感じがしないでもない。でも日本人にとって、それで安心だ、という話ではない

          汚染水に関する雑感、その他

          日大の大麻疑惑報道の異常性について

          日大のアメラグ部で、大麻が微量見つかったことで、マスコミ総出で叩いているが、その根拠は「大麻を皮切りに深入りする恐れがある」というもの。ということは、大麻には身体的依存性があり、それが問題だと言っていることになるが、警察自身がそれを否定している。警察白書に曰く「心的依存性はあるが、身体的依存性はほとんどない」と。大麻は医療用に広く使われているので、使用自体は罰することができないので、どんなに微量でも、持っていると捕まる。少し前までは、販売に関わることと認識されていたが、現在で

          日大の大麻疑惑報道の異常性について

          時代劇『血槍富士』を読み解く

           時代劇チャンネルで『血槍富士』を見る。一九五五年、中国での抑留生活から復帰した内田吐夢の作品。ストーリーをごくごく簡単に言えば江戸時代の侍にはあり得ないデモクラティックな思想の持ち主の若い殿様、酒匂小十郎(片岡栄二郎というあまり名前の聞いたことのない役者)が、酒乱癖があって侍と諍いを起こして斬り殺されてしまう。その殿様の槍持ちをつとめていた足軽の権八(片岡千恵蔵)が仇打ちを果たす……という話。タイトル写真は、その権八と、槍持ちになりたいと言ってついてくる孤児の少年と、権八を

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          新釈―『理由なき反抗』

          もう半年近く前、NHKのBSプレミアムでジェームス・ディーンの『エデンの東』、『理由なき反抗』、『ジィアンツ』の三本の遺作を日替わりで放映していたが、今回は『理由なき反抗』について。  まず簡単にストーリーを書いておくと、ジム・スターク(ジェームス・ディーン)という少年が会社の都合で引越しばかり繰り返している平々凡々な父親にうんざりしていて酒を飲んで酔いつぶれ、警察の青少の保護施設に収容される。そこには大金持ちの父親が送ってくる金で父親の豪華な邸宅で一人暮らしをしているプルー

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