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〔旅エッセイ #1〕Brätwurst(ブラードヴルスト)とともに_Wien

2018年のクリスマスシーズンはウィーンにいた。私にとって、人生2回目のウィーンだった。

アイルランドに留学していた頃に出会った友人が、ウィーン大学に留学をしていたのだ。一人で遊びに行くには絶好のチャンス。そして、ウィーンに行くなら絶対にクリスマスシーズンだ!と願っていたので、今回は念願の旅だった。

とりわけ私がヨーロッパを好きになったのは、大学生になってからだ。でも、クリスマスが好きなのはずっとずっと昔から。通っていた幼稚園は、キリスト教系の幼稚園だった。園はチャペルをもっていて、冬のお遊戯会では「イエスキリスト」の生誕劇をやった。特にキリスト教を信仰しているわけではないが、物心つく前から、クリスマスが一番ワクワクするイヤーイベントだった。

いつだったか幼少期に本屋で「世界のクリスマスマーケット」が特集された本を見かけて、煌びやかな色とりどりの様子に心を奪われたことがあった。「こんな幸せな世界があるなんて」と驚いたのも覚えている。そしてその時、世界最古といわれるウィーンのクリスマスマーケットに、いつか必ず行こうと決めていた。


親友が連れてきてくれたのは、ウィーン市庁舎前のクリスマスマーケットだった。向かう最中に歩きながら聞こえてくる音楽やライトの装飾に、心が踊った。寒くてマフラーで口元を隠していたけど、口元は間違いなくほころんでいた。
マーケット入口の大型アーチを見た瞬間、寒さが一気に吹き飛んだ。ウィーンのクリスマスマーケットは、想像よりもずっと華やかだったから。それもそのはず。そこは、ウィーン最大のクリスマスマーケットだったのだ。

煌びやかなマーケットは、雑貨にお菓子、食べ物などが沢山売られていた。
友人とくっつきながらマーケットを一周して、ホットドッグ屋台の列に並んだ。ドイツ語表記でメニューの種類がわからなくて、一番最初に目立つ文字で書かれていたものをお願いした。王道なら間違いないだろうと思ったからだ。マスタードの有無などを、親友がササっと店員さんとドイツ語で会話して買ってくれた。
その時、初めてきいた彼女のドイツ語があまりにも流暢だったので、結構驚いた。後から彼女のドイツ語のCEFR*をきいたら、かなり高かったので、何も驚くことではなかったのだけれど。

*CEFR=ヨーロッパ言語に共通の語学レベル基準

マーケットで買ったホットドッグ
Wien, Austria(2018)

私が買ったホットドッグは「ブラードヴルスト」という種類で、豚肉と牛肉と仔牛肉でできているソーセージらしかった。大ぶりなソーセージに硬いパンがよく合っていた。なんの変哲もないパンだったけれど、寒い中で食べる温かいソーセージがとても美味しく感じた。
食べながら「今私は、あの憧れていた光の中にいるんだ」なんて考えていた。

大人になって、小さい頃の夢を叶えていくって良いなと思った夜だった。


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