水素水はもう古い!時代は先進医療Bの水素ガス?


ネットサーフィン(もはや死語か?)していて、気がついた。どうやら時代は水素ガスのようである。

といってもトヨタの水素車「MIRAI」のことではなく、「ケンコス」という水素ガス吸引具のこと。サイトによれば健康増進機器らしのだが、水素ガスが体にいいとは知らなかった。

そういえばちょっと前までは「水素水」なるものがはやっていたが、最近は見かけないなぁ。

あの「水素水」、どうやって水素を水に溶け込ませていたのか今でもわからない。イメージとしては炭酸水のように高圧をかけて、栓を抜いたら「シュワシュワ~」なんだろうだけど、二酸化炭素とちがって水素は水にほとんど溶けないからなぁ。

水素水の会社のサイトを見ると、「水素濃度 1.6ppm」とあるけど、これはおそらく1.6mg/lと同じことだから、1Lの水に1.6mgの水素が溶けている計算になる。ちなみに二酸化炭素の水への溶解度は常温・常圧でだいたい1.45g/l。単位をそろえると1450mg/l。


 水素・・・1Lあたり1.6mg   二酸化炭素・・・1Lあたり145mg


その差、約90倍。うーん、炭酸のように水素にも高圧をかけて無理やり閉じ込めれば「シュワシュワ~」は無理でも、「シ」ぐらいなら可能か?いや、アルミ缶じゃなくてパウチの水素水もあったような気が・・・

水素水をスーパーで見かけたとき、「わざわざ面倒なことしなくても、もともと水素は水に入っているんだから飲むときに電気分解すれば」と思った記憶があるがどうやらこの「ケンコス」、それを実現したみたいである。しくみは良くわからないが、どうやら専用の電解液パックに電気を流して酸素と水素を発生させるらしい。


ん?電解液に電気を流して酸素と水素を発生?これってもしかして中学の理科の実験でやった「水の電気分解」そのものじゃないのか?


画像1

 水の電気分解 (参考画像・・・Pikuuより)



ということで持てるすべての力を振り絞り、水の電気分解について 思い出してみました 。(嘘。ネットで調べました)


■ 水の電気分解

2 H2O → 2 H2 + O2

■ 水素

元素記号 H
原子番号 1
分子式 H2
爆発範囲(空気中) 4.0 ~ 75.0vol%
発火点 527℃
炎色 無色
比重 空気を1とした場合 0.069

おお、懐かしい。


で、さっそく検証。といっても「水素が体にいいかどうか?」ではなく、「ケンコス」で発生した水素で爆発はおきないかどうか?

 
思い出して欲しい。中学生のころにやった理科の実験で、水素が「ボッ」と音を立てて燃えたの、覚えてない?こんなのが起きたら危険でしょ?

 
そもそもケンコスは電子タバコのように吸引式だから、おそらく人間が吸ったときのみ水素ガスが発生するものと思われる。もしかしたらボタン式なのかも知れない。プラスなんらかの安全装置があると思われるので、通常の使用で水素ガスが異常発生するとは思えない。

それに水素は非常に軽い物質なので、空気中に放出された場合はすぐに拡散する。

以上のことから今回は最悪の条件、「密封された空間で機器が故障した」という場面を想定してみた。


場所は無人の車内。助手席に置かれたケンコスが故障し、水素ガスが発生し続けたとする。車内に水素ガスが充満した場合、どうなるか?(おお、JAFみたい)


実験車両はトヨタの86(ハチロク)。ここのサイトによれば86の車内空間は約1500L。

水素の空気中での爆発濃度範囲は 4.0vol%~75.0vol%だから、1500Lの体積濃度が爆発下限界の4.0%となる水素ガスの体積を求めればいい。

水素ガスの体積を X  とすると


X/(1500+X)=4.0/100

両辺に100をかけて
100X/(1500+X)=4.0

両辺に(1500+X)をかけて
100X=4.0ⅹ(1500+X)

展開して
100X=6000+4X
96X=6000
  X =


あ、間違えた。(1500+X)じゃなくて(1500ーX)だ。いや、この場合は車内を密閉空間と仮定して発生した水素ガスは圧力の増加で・・・あれ、車内の空気は外気と循環しているから体積は一定で・・・水素は空気より軽いから天井付近にたまって空気だけが車外に逃げるから・・・えーい、めんどくさい。1500Lの4%ということで約60Lということにしておこう。


ということで86の車内に60Ⅼの水素ガスが充満すると爆発濃度に達する。


ケンコスの水素ガス発生濃度は 8㎖/分 だから60Lためるには 125時間。およそ5日。ケンコスが5日間、無人の86車内で暴走し続ければ大爆発する恐れが・・・おいおい、カートリッジの交換も充電もなしに125時間も動き続けるはずがないだろう。(爆発濃度に達すると書いたが仮に125時間動き続けた場合、正確には混合ガスではなく水素ガスと空気の2層が出来ます。これはこれで非常に危険)

 
ということで、ケンコスが水素大爆発を起こす可能性はゼロでしょう。ただし車内やカバンの中といった密閉空間では水素ガスがたまって引火・燃焼する可能性があるので、火気厳禁を徹底したほうよさそうです。


(参考動画  ブタンガスが充満した車内でタバコに火をつけたケース)



世の中には水素水をはじめ電解水素水、アルカリイオン水、シリカ水など体によさそうな水がいろいろあるが、実はwebmasterも1つだけ使っている。DHMO(ジハイドロジェン・モノオキサイド)、一酸化二水素と呼ばれるもので、非常にヤバいブツだが簡単に手に入る。詳しく知りたい方はwikiでどうぞ。



 注) 理科のお勉強は久しぶりなので、計算式等に間違いがある可能性あり。くれぐれも受験勉強の参考にしないようお気をつけください。





2021年5月16日追加>


ケーブルTVを見ていたら「ケンコス4」のCMをやっていた。なんでも「水素ガス吸入」は厚生労働省より「先進医療B」として認可されているらしい。「先進医療」がよくわからないので調べてみたら


先進医療A

・未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴わない医療技術

・未承認、適応外の体外診断薬の使用を伴う医療技術等であって当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいもの


先進医療B

・未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴う医療技術

・未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴わない医療技術であって、当該医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるもの


これってCMで言わないほうがいいんじゃないの?



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