堀弁護士「国会抜きで政権が刑罰を勝手に決められる!」やっぱりこの人アカンかったわ

2012年の自民党草案ではなく、2018年の素案をベースに議論している件については、他のパ翼とは違って高い見識を持っておられるなと感じさせますが、しかしそれも「国会抜きで政権が刑罰を勝手に決められる!」で台無しですね(笑)。

そんなこと、どこに書いてあるのでしょう。

堀さんの根拠は以下の条文。

第73条の2
 (第1項)大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。

政令を定めることができる、とは書いてありますが、刑罰を科すことができるとはどこにも書いてません。

第一、刑罰を科すことができるのは政府ではなく裁判所です。裁判も経ずに政府が勝手に誰かを取っ捕まえて刑務所にぶち込むことはできないんです。

堀さんの想定では、刑事罰を定める条文を含んだ政令が(国会審議を経ずに)作られる、ってことなんでしょうけど、もし仮にその政令で誰かを逮捕したとして、有罪判決が確定するのは数年後です。そして有罪判決が確定するまでに政令は国会審議を経て法律としなければなりません。

それともまさか、緊急事態が数年間続く、という想定なのでしょうか。

何を考えて堀さんがこんなこと言い出したかよくわかりませんが、パ翼の根底には民主主義に対する強い不信感があると思います。普通に考えて、そんなことしたって政府にとっては1銭の得にもならないし、政治家としても4年に1度は国民の審判を仰ぐわけで、国民が嫌がるような法案や政策など、政治家は基本的にやりたくないわけです。だから「 #検察庁法改正案に抗議します 」みたいなハッシュタグが一夜にしてワーッと広まったとき、政治家はあっさり法案を引っ込めました。ハッシュタグを広めた人たちは「安倍が逮捕を免れるために黒川氏を検事総長に就任させるため」みたいな、事実無根の陰謀論を反対の根拠としていましたが、安倍政権からしてみれば、官僚が政府に持ってきた法案をそのまま出してるだけで、何の思い入れもない、どうでもいい法案なので、あっさり引っ込めたわけです。陰謀論者相手に丁寧に説明して誤解を解くなんて徒労に終わるだけでやるだけ無駄ですからね。

政治家は国民が嫌がることは基本的にやりたがらない、これが民主主義の国の常識です。いや、そうは言っても消費税増税をしたじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、そりゃ官僚の圧力とかもあるし、政権を担う者の責任感というのもあるでしょう。

翻って、政令で誰かを逮捕するとか、何のためにするのでしょう?それをして、誰が得をするのでしょう?なんだか、バカバカしくて議論にならないですね。

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