たかまつななさん、相変わらずオツムが硬いなあ……

たかまつななさんが1ヶ月ぶりにnoteを更新しました。先月の更新はただの近況報告ですので、しっかりと内容のある記事を書かれたのは4ヶ月ぶりくらいでしょうかね。

私はabemaTVの番組は見てないのですが、見なくても橋下徹氏のほうが正論だろうなということは、たかまつさんの文面から想像できます。だって、たかまつさんは投票率至上主義でしょ。はっきり言って投票率至上主義については私は過去の記事で何度も指摘しているのですが、1933年3月のドイツの総選挙は投票率がなんと88.74%という今の日本では考えられないほどの高投票率を記録しています。この選挙の結果、ヒトラーは全権を掌握することになったわけです。この一例を示すだけで、たかまつさんの主張する

私は民主主義がうまく機能するための重要な条件は、参加人数が多いことだと考える。

という考えは、間違いだと分かるはずなのですが、残念ながら私は橋下徹氏のような有名人ではないので、いくら声を大にして意見を発信しても、たかまつさんの目にも留まらないし、相手にもされません。

私は、民主主義がうまく機能するための重要な条件は、下世話な言葉で言うなら「民度」だと思います。これは、アメリカが東南アジア、中東、アフリカなどの戦争に介入して、民主主義を根付かせようとした結果、うまくいった事例がないことを見れば一目瞭然です。唯一の例外が日本ですが、そもそも日本は戦前から民主主義国家であり、「アメリカが民主化した」などと恩着せがましく言われる筋合いはありません。

「民度」という言葉は定義がなく具体性に欠けるので、もうちょっと丁寧に解きほぐしていくと、民主主義がうまく機能するための条件として、まず教育水準の高さは必須だと思います。そして国民が民主主義を信頼していること。国民が民主主義を信頼していない場合、何が起こるかというと、武力や暴力で政権を獲ってしまおうという輩が必ず現れます。かつての日本でも、ごく一部ですがそういう勢力がいました。日本赤軍やオウム真理教などがそれに該当します。しかし彼らは極めて少数派であったために、そして彼らの実力が日本の警察力に対してまったく歯が立たなかったために、鎮圧されてしまいました。

そして最後に、政府が民主的に運営されていること。いくら国民が民主主義を信じていても、政府が非民主的に運営されていたら、国民は武器を持って政府と戦うしかありません。現在のミャンマーがそんな感じですね。日本赤軍やオウムのような非民主的な勢力を鎮圧するために軍や警察と言った実力組織は必要ですが、その力を、香港やミャンマーのように、民主主義勢力を鎮圧するために使うような政府であっては、民主主義はうまく機能しません。

そして、民主主義勢力を暴力で押さえつけるような政府を支持するような国民の下で民主的な選挙を行った場合、ナチスのような政権が生まれるわけで、そうならないためには、やはり国民が民主主義を信じている必要があるわけです。そして民主主義を信頼するためには「民主主義とは何ぞや?」ということを国民全員が理解している必要があるわけで、つまりそれが教育水準の高さ、という話にも繋がってくるわけです。

これは、裏を返せば、民主主義とは何かを理解していない人や、民主主義を信用していない人が、いくら投票に参加したとしても、民主主義はうまく機能しないということです。だから、たかまつさんの主張する「参加人数が多いこと」が民主主義がうまく機能する条件だという主張は、間違いなのです。

「私は、バカだから選挙に行かない方がいいと思います」これ結構、出張授業で学生さんに言われる。選挙に行く人が少なくなると、集める票数が少なくても当選することができる。そうすると、特定の利益団体と関わる人が当選しやすくなってしまう。

特定の利益団体と関わる人が当選しやすくなると何が困るのだろうか。別に特定の利益団体が儲かろうが儲かるまいが、大半の人は関係ないのではないか。その「特定の利益団体」を儲けさせないようにすると、自分にその利益が回ってくる、ということがあるなら話は違ってくるが、経済というものはそんな単純なものではない。経済は決してゼロサムゲームではない。お金持ちをイジメても貧乏人が豊かになるわけではないのだ。

若者が生きづらさを感じ、自殺率が増えている。
子どもを生みたくても、育てられる経済力や環境のなさから少子化につながっている。

自殺する人は生きづらさを感じて亡くなるのではない。自殺の原因の大半は鬱病だ。

少子化は日本特有の現象ではない。世界の先進国すべてに共通する問題であり、抜本的な解決に成功した国を私は知らない。先進国の中で最も出生率が高いのはフランスだが、それでも1.87と、2を下回っており、しかも出生率を引き上げているのは移民だ。子供を産みたくても育てられる経済力や環境のなさが少子化の原因ではない。なぜなら発展途上国では経済力も環境もない女性がポコポコと子供を産みまくっている。

稼ぐ力がある人は稼げる。でも、ある日交通事故にあっても、ある日失業しても、最低限度の生活を国が保証してくれる。それが社会のセーフティネットであり、日本に住んでいてよかったと思えることだし、起業なり転職なり、挑戦することにつながるのだ。

そこが揺らいでいるのだ。日々、いろんな事件がニュースで飛び交う中で、どうしてそういう人の声に耳を傾けてもらえないのか。

世の中、ニュースで取り上げられるような事件だけが全てではない。むしろニュースは人々の好奇の目に留まるようなセンセーショナルな話題ばかりを取り上げる。そしてその裏では当事者とその周囲の人たち以外は誰も知らない事件が毎日起きている。しかし、例えば20年前とか30年前とかに比べたら、凶悪事件も減っているし、交通事故も減っている。青葉真司や飯塚幸三のニュースばかり見てるから、凶悪事件も交通事故も増えているのかと思いきや、実はその逆なのだ。

そもそも、たかまつさん自身が、橋下徹氏の声に耳を傾けようとせず、彼の意見を「ディベートの達人」という言葉で切り捨ててしまっているではないか。そして、「許せない」とまで言っておられる。これは、他人の声に耳を傾けようとしている人の言葉ではない。それとも、たかまつさんは「橋下徹氏は強者だから、強者の声は聞かなくて良い。弱者の声だけを聞け」とでも言うおつもりなのだろうか。そういう考えもアリかもしれないが、私には、強者の声を聞けない人が弱者の声をちゃんと聞き取れるとは思えないんだなあ。

結局、たかまつさんは、投票率至上主義という自分の考えでカッチカチに凝り固まってしまっているから、それと異なる意見に対して感情的に「許せない」となってしまうわけです。そこには論理性はありません。たかまつさんに必要なことは「もしかしたら私の考えは間違っているのではないか」と疑ってみることです。


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