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[勝手にお悩み相談]クリエイティブは思いやりから

POPライターの仕事を過去に十数年やってて思ったこと。デザインの極意はシンプルで、無駄を削ぎ落とすことだった。デザインの仕事はクリエイティブだと思われがちだけど、クリエイティブとかセンスとか関係ない。POPに関して言えば、センスは邪魔をする。デザイン学校出身の人がすぐに辞める一方、先入観を持たない未経験の人は、教えるとメキメキ伸びた。バランスのいい人、コミュニケーション能力の高い人が向いていた。黙々とやる仕事に思われるけど、よく動き、察知し、意思疎通しないとこの仕事はできない。どこに貼るんですか?後ろの壁の色は何色ですか?前にどれぐらいスペースありますか?どれぐらいの混み具合ですか?と、いつも状況を詳しく聞いてから、POPを作ってた。POPは単独のアートじゃない。景色の一部みたいなもの。センスより、想像力が重要かもしれない。

当時、新宿のルミネによく次長課長やタカトシを見に行ってた。新宿駅は大工事の最中。そこで衝撃を受けたどデカい数字の案内表示。後に、それを作った警備員の佐藤修悦さんがガムテープ文字で話題になった。あれはPOPの究極形だ。クリエイティブとかセンスとかじゃない。短時間で、遠くから、多くの人の目に届くもの。大声の代わりの、最も効果的で頭のいい品。皆が迷わないように、事故が起こらないようにという切なる願い。思いやりと優しさ。デザインの本質はそれに尽きると思う。

朝日新聞の土曜日のお悩み相談のコーナーに、クリエイティブな仕事がしたかったけど、結婚して安定した会社に転職し、人生が無難に落ち着いた、どうやって折り合いをつけたらいいか、みたいなことを相談していた人がいた。そんなことで悩んでる人がいるのか。勿体ない。わざわざ美輪明宏さんがそれに丁寧に回答していたのを見た。

幸せで恵まれてるからそう思うのかもしれない。人間は追い詰められた方がクリエイティブになる。佐藤修悦さんも、警備員をしながらあの傑作をクリエイトした。クリエイティブなことをしたいなら、思いついた時に、いくらだってできる。休みの日や、寝る前の1時間、忙しい家事の合間のひとときに。それに、一番大事なことは、会社や同僚と良好な関係を築いて、自分を理解してもらう努力を日々していること。そうすれば、今いるところでだって、クリエイティブなことはできるはずだ。次に行けばできる、今の会社は保守的だから、とかdodaのCMみたいなこと言ってたら、次に行ってもそこそこじゃないだろうか。今できていないことが、次に行ってできるはずはない。よく、今の人間関係が悪いんですって相談を受けるけど、今だけですか?って思う。自分の宿題は誰も代わりにやってくれない。今頑張れば、確実に次に繋がる。クリエイティブなことをしたいのか、クリエイティブな仕事に憧れてるのか。本当にクリエイティブなことをしたいなら、たった今そこでできる。そもそも、クリエイティブなことって何なのよ。

デザインはバランス感覚とコミュニケーション能力。デザイナーが天秤座の適職に載っているのも、デザインの本質を考えたらよくわかる。

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